遊ぶ【連載】わくわく遊んで大きくなるために おもちゃ屋さんの「あそび相談室」

相談5:「集中力がなくて、1分後には別のおもちゃで遊んでいます!」

2020.01.17

次々に違うおもちゃを手に取るうちの子、集中力がないの?おもちゃ屋さんのあそび相談室、第6回目です。

相談5:「集中力がなくて、1分後には別のおもちゃで遊んでいます!」

新しい年のはじまり、どんなスタートになりましたか?
かばんねこは秋田の実家でぐうぐうたらたらとしておりました。
やらなきゃのことがたくさんでも、かばんねこは目の前の楽しいこと・おいしいものにすぐに負けます。
負けまくるのですが、はたと
「自分の欲求コントロールもうまくできないのに子どもをどうこうしようと思うってどうなの、自分がその姿を見せないと、子どもだってそうなるわけ無いわい」
と、ちょっとしゃきっとしてみたところです。

さて、今回のテーマは「集中力」。
やっぱりお店でよく相談をいただくテーマです。
「集中力がないんです」
「すぐ別のおもちゃに行っちゃって」
「ひとつの遊びが長続きしないんです」
うん、そうですよね。でも、大丈夫ですよ。
だってね、子どもの集中力って、すごく短いのです。

だいたい、「年齢+1分」くらい。
0歳なら、数十秒からなんとか1分。
1歳なら、1~2分。
2歳なら、2~3分。
3歳なら、3~4分。
びっくりしますが、そんなものです。
実際、ちょこっと遊んで次のおもちゃ、ちょこちょこっと触ってまた次のおもちゃ、そしておもちゃは散らばり、部屋は散らかり、ああーもうー…!ってなりますね。
就学前の4歳5歳児さんでも、集中する時間は10分くらいといわれています。

(ちなみに、テレビやゲームを長い時間できるのは、強い刺激が次から次からどんどんやってくるから単に目や手が離せない…ということが大きいです。
わたしたちおとなも、「なんとなくテレビを見ていたら1時間もたってたよ、自分のバカ!」とか、あります。)

でも、子ども本人が面白がってやっていることや遊びは、長く夢中で取り組んでいませんか?
自分からわくわくと面白がって取り組んでいる遊びは、子どもの集中も、いつもよりずっと長く続きます。
それはだいたい、自分ができることを何度も繰り返し遊ぶことができたり、やってみたいと思ったことを存分に試すことができる遊びです。
そしてそこには必ず、自分の手を動かしたり自分の頭で考えることが伴っています。
「こうしてみたら、こうなった。だったら今度はこうしてみたら、どうなるかな?」…みたいに。

小さい子なら、まだまだ自分の手でできることは少ないですね。
それに数年しか生きていない分経験も少ないから、「こうしてみたらどうなるかな」っていう遊びの広がりも小さい。
だから、ひとつのおもちゃでできることも、少ない。
もしかしたら、あなたが「集中力が無い」と感じた子どもの姿は、たとえ遊ぶ時間が短かったとしても、
実は「そのおもちゃを存分に試して自分ができることをやりきったから、次のおもちゃに移っていった」姿だったのかもしれません。

できることが多くなれば、そのおもちゃへの関わりかたも多様になるでしょう。
毎日の生活やいろんな遊びをするなかで経験が増えれば、「じゃあこうしてみよう」「ああしてみよう」と想像したり工夫したりできる糧になりますし、それだけひとつの遊びに取り組む時間も増えるでしょう。

だから、集中力が無いなあ…ってため息をつく前に、
「まだ小さいんだから、できることが少ないんだよね」って、子どもが「今」できることを大事に見て、期待して待つことが、とても大事です。

そしてそれとともに大事なことがもうひとつ。
遊ぶ子どもの姿をよーく見てみると、集中が続かないわけ?というか、工夫のヒントがあったりします。

「あ、このパーツをまとめて箱に入れてあげれば遊びやすいんじゃない?」とか、
「床じゃなくてテーブルに置いたほうが扱いやすそうだね」とか、
「場所がテレビの近くすぎるから、ちょっと気が散るかも。あそこの場所に移そう」とか…。

どうでしょう、気をつけて見てみれば、いろいろできそうじゃないですか?
そんな遊びの環境を作るお手伝いは、その子の近くにいて、よく見てよく知っている、身近な大人こそできることです。
そばにいるからこそ、遊びを豊かにするヒントもたくさん出せるでしょう。
手を出しすぎず放ったらかしすぎずちょうどいい、絶妙のお手伝いもできるでしょう。

大人も子どもも集中力を鍛えることはできないけれど、遊びに集中できるように置き場所や置き方を工夫したり、テーブルの配置や高さなど場所の環境を整えることはできるのです。
もちろん大人の関わり方という工夫もね^^

ぜひぜひこの一年も、子どもたちがぴったりのよい遊びの道具と出会って、わくわくの遊びの時間を存分にぞんぶんに過ごせますように。
いっっぱい、遊ぼうー!

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髙橋 美樹
執筆者おもちゃ店店主、おもちゃコンサルタント
髙橋 美樹
群馬県桐生市、木のおもちゃの専門店(とレンタルスペース)「かばんねこ」店主。https://kabanneko.com はじめての子育てでがんばりすぎていたときに、美しいおもちゃたちに出会って開眼。遊びや暮らしを通じて、子どもが自分でわくわくと育っていく姿を尊敬しています。 趣味は読書。子どもにちょっかいを出すこと。

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