遊ぶ【連載】わくわく遊んで大きくなるために おもちゃ屋さんの「あそび相談室」

相談4:「わが子にぴったりのクリスマスプレゼントって?」

2019.12.13

子どもに寄り添ったプレゼント選びって、どういうこと?おもちゃ屋さんのあそび相談室、第5回目です。

相談4:「わが子にぴったりのクリスマスプレゼントって?」

もうすぐクリスマスですので、今回はサンタさんのプレゼントのことを。

サンタさんの存在は、子どもの時期だけに贈ることができる、大切なファンタジーです。
すてきな存在を無条件に信じて、想像をめぐらせてわくわくできるなんて、なんて素晴らしい時期でしょう。
だから大人のみなさんも、サンタさんの夢を大事にしながら子どもとお話しますね、とてもすてきな光景です。

サンタさんは、どんなプレゼントを送ってくれるでしょうね、楽しみですね。当のサンタさんたちは、今まさに悩みのまっ最中でしょうけれど^^

「子どもが願ったものをあげる」というサンタさん、もちろんです。
でも子どもが小さかったり、そこまではっきりと願うものがなかったりというとき。
大チャンスです!サンタさん、活躍しましょう!

サンタさんには、その子にいちばんぴったりのものを贈る力があるのです。
なぜなら、サンタさんはいちばん近くで子どものことを見て、いちばん子どものことをわかっているのではありませんか?

そのひとは、子どもが好きなことや今できること、今まさにやっていること、ちょっとがんばればできそうなことを、誰よりも知っています。
だから、子どもにとっていちばんぴったりのものを、贈ることができるのです。

「こういうことができてほしいから」でなく、「こういうことができてきたから」。
「流行っているから」でなく、「今、こんなことに夢中だから」。
「文字や数に興味をもってほしいから」でなく、「文字や数をたずねたり、数えたり読んでみたりしているから」。
大人の願いからではなくて、子どもの姿に寄りそって、選んでほしい。

なぜかというと、子どもは「今」できること、「今」やってみたいこと、「今」面白いと思ったこと…、それを繰り返し遊ぶうちに、育ってゆくからです。
楽しいことを繰り返しやっているうちに、新しいなにかがふっとできる。
面白いと思ってやり続けるうちに、新しいなにかにふっと気づく。 なんども同じことを体験するうちに、新しいいなにかがふっと分かる。
そうやって、うれしくなったりわくわくしたり、うまくいかなくてかんしゃくを起こしたり、でも立ち直ったりしながら、子どもは自分の力でも育っていくのです。

だから、サンタさんはどうぞ、あれこれと先んじてしまわずに。
「今のあなたにぴったりのものがもらえたね!よかったね!」と、子どもとよろこび合うことをいちばんに。

ところでサンタさん。
子どもの「これがほしい!」ということば。
これは子どもの本当の望みなのかどうかは、考える必要があります。

子どもがもつ情報は、ほんの狭い世界からもたらされるものです。
テレビCMやちいさな友達の世界のなかで選ばれた「これがほしい」のモノと、「あんなものもある・こんな世界もある」と知っている大人が、その子をしっかり見て贈るモノとでは、びっくりするほどちがいます。

だから、小さな子ほど、子ども本人に「なにがほしいの」と聞いてはいけません。
「あなたがこれがほしいって言ったから」は、愛情や思いやりではなく、大人のただのサボりの面があることを自覚しなくてはいけません。

自分で試食することなしに、小さい子に、自分が食べたことがないものをあげないでしょう。
サイズや素材を自分で触ったり確かめたりせずに、子どもに新しい服を与えないでしょう。
あなたのなかには絶対に、それに対する「基準」や「価値観」があるのです。
「添加物はいやだな」「甘すぎたら困るな」「動きやすいのがいい」「自然素材にしよう」…。

おもちゃを選ぶのも、同じこと。
子どもが楽しみ、育つ、大事な道具です。
だから、もちろん子どもの意見も聞くけれど、ご自身の価値感をしっかり感じながら、子どもに贈るおもちゃを選んでほしいです。

サンタさんのお仕事は、悩ましくも楽しい、限られた子ども時代だけの、すてきなお仕事。 ぜひぜひ、ぴったりの贈りものに出会えますように。
かばんねこも、お手伝いできたらうれしいです^^

ではでは、よいクリスマスを!
そして、どうぞよい新しい年をお迎えくださいませ!

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髙橋 美樹
執筆者おもちゃ店店主、おもちゃコンサルタント
髙橋 美樹
群馬県桐生市、木のおもちゃの専門店(とレンタルスペース)「かばんねこ」店主。https://kabanneko.com はじめての子育てでがんばりすぎていたときに、美しいおもちゃたちに出会って開眼。遊びや暮らしを通じて、子どもが自分でわくわくと育っていく姿を尊敬しています。 趣味は読書。子どもにちょっかいを出すこと。

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