子どもたちと触れ合う遊び Part1 (ハイハイ~歩き始め期) 作業療法士パパが実践した親子でふれあい遊び #6
2025.03.30
子どもが楽しく成長していくために、作業療法士で2児のパパが実践した親子のふれあい遊びを紹介します。

皆さまこんにちは。福永と申します。
作業療法士の私が、実際に娘たちと遊んでいる姿をご紹介しています。
「どんな遊びをしているか」も、もちろん大切ですが「どうやって遊ぶか」の大切さを伝えたくて、連載させていただいています。
前々回、前回は「リアクションをしよう(記事#4)」「リアクションを通した親子の相互交流の大切さ(記事#5)」をテーマにお話させていただきました。
今回は、パパと娘のふれあい遊びについて、実際の遊び方やその際の大人側の動きのポイントなど、一緒に考えてみたいと思います。
また、紹介している遊びを集めると日めくりカレンダーになるように、番号をつけながらカードのようにしています。実際に遊んでいる様子も見られるように動画のリンクを貼っておりますので、是非そちらの方もご覧ください。
目次
触れる遊びの大切さ
作業療法士が子どもの発達で大切にしていることの1つに「感覚運動体験」というものがあります。
子どもは、しっかり感覚を取り入れることで脳も身体も成長していきます。
触れあい遊びでは、感覚の中でも「触覚」の占める部分が大きいと思います。
触覚にはいろいろな役割があります。例えば、以下の通りです。
A:見なくてもどんな物か分かる
例えば、ポケットに手を入れて触ることでポケットの中に何が入っているか触ると分かります。
触ることで、どんな大きさ、形、温度、形、素材などを知ることが出来ます。
B:危険から身を守る
例えば、急に手に虫が触れた時に、ぱっと手を振り払うことがあります。
触れた物が「これは危ない!」など、害があるかどうか判断し、身を守っています。
C:自分の体が、どんな大きさ・形か分かる
私たちは、自分の頭を直接見ることができません。
しかし、見なくても頭を打たないように程よく屈むなど、物を上手に避けられます。
これは、見なくても自分の体がどんな大きさで、どんな形をしているか、頭の中に体の地図があるからです。
この体の地図を作るために、触覚がとっても大切です。
D:心が落ち着く
抱きしめられたり、毛布にくるまると、心が落ち着くという経験をした人も多いと思います。
泣いている人の背中をさすってあげた人もいると思います。
心地よい触覚は、心を落ち着かせ、情緒の安定に繋がります。
【実践】一緒にふれあい遊びを楽しんでみた
14:毛布ですりすり! 触る遊び

娘の好きな毛布を使って、顔をなぞっている遊びです。
写真や動画では、顔をなぞっていますが、お子さんによっては「顔はイヤ!」と人に触られることを嫌がる子もいると思います。
顔は比較的敏感で、防衛も強い部位なので、もっと広い部分(例えば背中、お腹、腕)などのお子さんが受け入れられるところから始めてみてください。
15:娘が楽器に変身! 触る遊びに効果音を

(Instagram投稿動画:15「DJパパ ターンテーブル娘」)
娘の体を楽器に見立てて、触りながら効果音を出しています。
おでこはターンテーブル、肩が太鼓、ほっぺがラッパ…のような感じです。触る時に効果音や声などをプラスしています。
一度やってみて、目を合わせてみて、どんな表情をしているか見てみてください。
「もっとこい!」と目を輝かせているか、ちょっと避ける姿を見せるか…。
反応を見ながら、子どもがどんな感覚を楽しめるのだろう?と考えてみることも大切ですね。
16:毛布をつかっていないいないばぁ!

(Instagram投稿動画:16-1「すりすりすりばぁ」 16-2「逆すりすりすりばぁ」)
まず、娘の上に毛布を掛けて覆います。そこから毛布を少しずつずらして、最後に「ばぁ」と娘が登場!な遊びです。
今回はパパが毛布を引っ張っていますが、娘が毛布を自分でめくるようにして遊ぶようにすると、体をしっかり使う遊びになります。
ノーマルないないいないばぁ(投稿動画:16-1)は、大人が手で顔を隠して行われると思うのですが、様々なバージョンも考えることができます。
例えば、何かの蓋を使って顔を出す方向を変えてみたり、ちらっと覗くようにしてみることもできます。
「投稿動画:16-2」のように、娘が毛布を引っ張ることでパパの顔が出てくる遊びもできます。
この遊びも、子どもが自分の顔に毛布が掛かってもOKかどうか、確かめながら遊んでみてくださいね。
【解説】それぞれの遊びの隠された「発達の素」
14:楽しく顔に触れる経験、ボディパーツへの気付き
顔を触られるのが嫌な子もいます。嫌がる反応は、本来は命を守るという意味から大切な反応です。
そのため、嫌がるのを無理に行わなくて良いですが、大人からの関わりを工夫することで楽しく顔に触れる経験が出来れば良いと思います。
例えば、人から触られるよりも自分から触る方が受け入れやすい子もいます。
その場合には、子どもに毛布を持ってもらい大人にマッサージしてもらうと良いかもしれません。
自分で毛布を持ってもらい、子どもの手を大人が操作する手もあります。
また、軽いタッチよりも、圧迫しつつしっかりと触られる方が心地よく感じる子もいます。
触ることで自分の体やボディパーツへの気づきが促されます。
例えば、鼻・口・耳は自分で直接見ることは出来ません。
似たような遊びとして、以前にシールを使った遊びを紹介させていただいたことがあります。(good us記事:「体全体を使ったシール遊び」)
自分の体をしっかり自分で触って、自分の体がどうなっているか知る機会になればと思います。
15:声を出すのが楽しくなる
触れ合い遊びにプラスして「音を出す」ことも楽しい遊びになります。
他にも、「オノマトペ」を追加しても良いと思います。
「ポフポフ」「モチモチ」…皆さんなら、子どものほっぺを触りながらどんなオノマトペを思いつくでしょうか。
私たちが声を出すことで、子どもが真似をしながら言葉を覚えていくという点も、発達に寄与すると考えます。
他にも、子どもが発声した時に、子どものお口に蓋したり開けたりを繰り返してみてください。
アワワワワ…と音程が変化するのが面白く、子どもたちも「もっと声を出したい!」と思ってくれると思います。
16:「いないいないばぁ」のいい所
「いないいないばぁ」を喜ぶ姿から、子どもの成長を感じることができます。
その1つに物の永続性の理解があります。
例えば、車のおもちゃの上にハンカチをかけた時に、視覚的にはおもちゃは見えなくなります。
子どもたちは、はじめは見えた世界が全てなので、見えなくなる=無くなると捉えますが、物の永続性が分かるということは、見えなくなってもハンカチの下におもちゃがあるということを理解することになります。
これが分かるようになると、「いないいない」で大人の顔が隠れたけど、奥にはまだ顔があることを理解し、「ばぁ」で再び出てきたのでやっぱりあった!と予測と楽しみを得られるようになるのです。
今回紹介した遊びでいうと、物の永続性が理解できると、大人の顔を見るために毛布を取るという、目的を持った行動が出てきます。
何気なく行っている遊びでも、発達的な側面から見るとたくさん意義があることが分かりますね。
次回は、『スキンシップ遊び Part2』をご紹介します!
Part2ではもう少しダイナミックな遊びを紹介しますので、ぜひご覧ください。

- 執筆者作業療法士、おもちゃコンサルタント
福永 寿紀 - 2児の父です。作業療法士として発達領域で勤務していた経験があり、現在は大学で教員をしています。作業療法士仲間と、発達×アナログゲームをテーマに動画配信中⇒【ネコさんとカメさん『発達とボードゲーム』チャンネル】、親子遊びをInstagramで投稿中⇒【hisanori.f】で検索してみてくださいね。
作業療法士パパが実践した 親子でふれあい遊び
遊ぶ育む2025.03.30