子どもたちと触れ合う遊び Part2 (ハイハイ~歩き始め期) 作業療法士パパが実践した親子でふれあい遊び #7
2025.05.27
子どもが楽しく成長していくために、作業療法士で2児のパパが実践した親子のふれあい遊びを紹介します。

皆さまこんにちは。福永と申します。
作業療法士の私が、実際に娘たちと遊んでいる姿をご紹介しています。
「どんな遊びをしているか」も、もちろん大切ですが「どうやって遊ぶか」の大切さを伝えたくて、連載させていただいています。
今回は、前回『子どもたちと触れ合う遊び Part1』に引き続いてパパと娘のふれあい遊びについて、実際の遊び方やその際の大人側の動きのポイントなど、一緒に考えてみたいと思います。
また、紹介している遊びを集めると日めくりカレンダーになるように、番号をつけながらカードのようにしています。実際に遊んでいる様子も見られるように動画のリンクを貼っておりますので、是非そちらの方もご覧ください。
目次
感覚を取り入れた遊び
前回、「感覚運動体験」を通して、しっかり感覚を取り入れることで子どもたちの脳や身体が成長していく、という話をさせていただきました。
感覚運動体験の中でも、前回は「触覚」について触れました。今回のテーマは「固有受容感覚」と「前庭感覚」です。
「固有受容感覚」とは、どのくらい力を入れているか分かる感覚です。また、この感覚のおかげで、関節がどのくらい曲がっているかが分かったり、自分の手足の位置が分かります。
例えば、目をつむった状態で、自分の膝を触ったり、両手を合わせたり、両手の人差し指を合わせてみてください。
見えなくても合わせられると思います。これは、視覚に頼らなくても固有受容感覚を感じているからです。
「前庭感覚」とは、体の傾き、回転、動きを感じています。この感覚が敏感な人は、ジェットコースターのような速い乗り物は怖いと感じるかもしれません。逆に鈍感な人は、何回でも乗りたいと思うでしょう。
私たちは、姿勢を保つ際にもこれらの感覚を活用しています。
例えば電車が揺れて姿勢が崩れたときには「傾いたぞ!」と前庭感覚を感じて、「まっすぐに戻そう!」とぎゅっと力を入れます。このように、私たちは様々な感覚を感じることでうまく生活していくことができます。
子どもたちにも、これらの感覚をしっかりと感じ取るような遊びをたくさん体験してほしいと思っています。そこで、今回はふれあいながらも、揺れや傾きを感じたり、力をぎゅっと入れる遊びを紹介します。
【実践】一緒にふれあい遊びを楽しんでみた
17:鼻と鼻でタッチ! 触りながら見る遊び

手以外の場所でもたくさん触れ合って遊ぶことができます。
今回ご紹介するのは、鼻と鼻で触れ合う遊びです。他にもバリエーションはたくさんあります!
例えば、娘のほっぺにパパがキスをしたり、そのまま「ブーッ」っと娘のほっぺを振動するように息を吹きかける遊びもできます。
前回紹介した【15:娘が楽器に変身! 触る遊びに効果音を】のように、娘のほっぺに手を徐々に近づけて最後は「プニプニ」と挟んでみても面白そうです。
ほっぺ以外にも、太もも、足、お腹…お子さまの好む場所を探してみましょう。
今回の遊びは最後に「触れる」で終わりになるところが共通していて、始めと終わりが分かりやすい遊びになっています。
18:飛行機遊びで力をしっかり入れよう

(Instagram投稿動画:18「娘飛行機:離陸と着陸」)
「たかいたかい」の遊びも、ご家庭でよくされている遊びだと思います。娘を飛行機に見立てて、空高く上げるところまでは一緒です。
違うところは、娘の手をパパのお腹に当てて、娘が自分で自分の体を支える時間を作っているところです。自分の体を自分で支えることはとても大切です。運動や、手先を上手に使うことに繋がります。
さらに、娘の足の方を高く上げるようにすると、より娘の手に体重がかかるようになるので難易度を調整してください。
向かい合って目と目が合うところも楽しいポイントです。
19:揺れる×触れる遊び バランスを取ろう

(Instagram投稿動画:19「パパの上でバンザイ!」)
パパの上に乗ってユラユラ揺れながらも、落ちないように体をまっすぐにしていく遊びです。
動画では、まだ娘は倒れそうだったので手を繋いで遊んでいます。
この遊びは、子どもの体のどこを支えるかによって難易度を変えることができる遊びです。例えば、娘の腰を支えるようにすれば、娘は自分で姿勢を起こすことをより求められます。
さらに娘の太ももを支えるようにすると、より難易度はアップします。
コツは、支えすぎないようにすることです。
先ほどの【18:飛行機あそび】と同じように、娘の参加を促していくところが大切です。
遊んでいるだけでなく、自分で体を支えたり揺れに合わせて体を使うといった練習にもなっています。
【解説】それぞれの遊びの隠された「発達の素」
17:目を動かしているのも筋肉(眼球運動)
この遊びで注目していただきたいことは目の動き(眼球運動)です。
私たちの目は、近くを見る時は寄り目になり、遠くを見る時には目がまっすぐになります。これは、焦点を合わせるために必要な目の動きで、筋肉によるものです。
紹介した遊びでいうと、だんだん近づくパパを目で追うと、娘はだんだん寄り目になります。他の場面でこの目の動きが必要になる時は、例えば小学校での板書する時です(目が近いノートと遠い黒板を行き来します)。
私たちは、物を目で捉えるために、目をしっかり動かすことも大切です。
18:重力に負けない体を(抗重力姿勢)
動画を見ていただきたいのですが、高い高いで上に持ち上げられた際、娘の頭や背中はピンとまっすぐになっています。この姿勢は、重力に逆らって頭や足を持ち上げている姿勢です。
普段から私たちは重力に逆らって姿勢を保っています。この記事を読んでいる最中にも、何かにもたれ掛かっていませんか?
重力に負けない体を作っていくことが大切です。動画では、脇と足の付け根を支えていますが、もっとできそうであれば、子どものお腹にパパの足裏をつけて高く上げてみてください。お腹だけを支点とするので、より背中の筋肉を使う遊びになりますよ!
19:揺れに合わせて体をまっすぐに(前庭感覚)
私たちの体はうまく作られていて、傾きを感じると反射的に手が出たり、姿勢をまっすぐに戻そうとしてくれます。この反応を立ち直り反応・傾斜反応といいます。戻すためには傾いたと感じることが必要になるので、前庭感覚を感じる遊びをたくさん経験して欲しいです。
娘も、もう少し年齢が上がるとお馬になったパパに乗る遊びをし始めます。私は、娘が遊ぶ場所には坂や段差を作るように意識していました。
自然と斜めや傾きを感じる工夫を、他の記事でも紹介できればと思います。
次回は、身近なもので親子遊び 紙編をご紹介します! すぐにでもできる遊びを紹介しますので、ぜひご覧ください。

- 執筆者作業療法士、おもちゃコンサルタント
福永 寿紀 - 2児の父です。作業療法士として発達領域で勤務していた経験があり、現在は大学で教員をしています。作業療法士仲間と、発達×アナログゲームをテーマに動画配信中⇒【ネコさんとカメさん『発達とボードゲーム』チャンネル】、親子遊びをInstagramで投稿中⇒【hisanori.f】で検索してみてくださいね。
作業療法士パパが実践した 親子でふれあい遊び
遊ぶ育む2025.05.27