遊ぶ作業療法士パパが実践した 親子でふれあい遊び

子どもたちからのメッセージを受け取り、繰り返し反応していこう! (ハイハイ~歩き始め期) 作業療法士パパが実践した親子でふれあい遊び #5

2024.02.17

子どもが楽しく成長していくために、作業療法士で2児のパパが実践した親子のふれあい遊びを紹介します。

子どもたちからのメッセージを受け取り、繰り返し反応していこう! (ハイハイ~歩き始め期) 作業療法士パパが実践した親子でふれあい遊び #5

皆さまこんにちは。福永と申します。
作業療法士の私が、実際に娘たちと遊んでいる姿をご紹介しています。
「どんな遊びをしているか」も、もちろん大切ですが「どうやって遊ぶか」の大切さを伝えたくて、連載させていただいています。
前回は「リアクションをしよう」をテーマにお話させていただきました。
今回は前回からのテーマを更に深堀りしながら、リアクションを通した親子の相互交流の大切さについて考えてみたいと思います。

また、紹介している遊びを集めると日めくりカレンダーになるように、番号をつけながらカードのようにしています。実際に遊んでいる様子も見られるように動画のリンクを貼っておりますので、是非そちらの方もご覧ください。

目次


相互交流から、因果関係を理解してほしい

対象操作とは

社会的参照とは

【実践】一緒に遊んでみた

 11:手挙げロボットに変身したら、娘からパパにたくさん触ってくれるように!

 12:パパを押し返せ!意志を感じる娘の行動が生まれてきた!

 13:もう一回!に応じると、娘が期待してパパを待つようになった!

【解説】ロボットよりも人がとても優秀!な理由

 理由その1 子どもが理解しやすい反応ができる点

 理由その2 子どもが大人の意図通りに遊ばなくても、受け入れてあげられる点

 理由その3 子どもの行動を細かくキャッチしてあげられる点

相互交流から、因果関係を理解してほしい

今回は、大人のリアクションから発展した、パパと娘のやり取りに注目して遊びを紹介していきたいと思います。
前回は、大人がリアクションを取って、子どもの行動に意味づけをしていこう!というお話をさせていただきました。子どもたちは、実際の経験を通しながら「こうすれば、こうなるんだ」という因果関係を理解していきます。
また、子どもたちは、いろんな方法で世界と関わりながら「こうすると楽しいな」という方法を探し、見つけると繰り返していきます。
子どもたちが「楽しむための自分の行動」といった因果関係を理解していくと、喜び期待するようにもなります。
大人と相互交流することで、子どもたちは様々なパターンの因果関係を理解していきます。

対象操作とは

大人を含めた、周囲の世界と繰り返し関わることは、子どもたちの発達を応援することに繋がります。その中の一つに「対象操作」があります。
対象操作とは、今回でいうと「娘がパパを操作する」ことです。
少し聞こえが悪く感じる人もいるかもしれません。しかし、私たちも望む結果が得られるように、相手にお願いしたりコミュニケーションを取っています。この上手く人に関わり、望む結果を得ようとするということは、とても大切なことです。

この後紹介する遊びの中で、『11:手挙げロボット』『12:パパを押し返せ!』では、パパに触ることでパパのリアクションを引く出そうとしていますし、『13:もう一回!』では「あ!」と声(言葉)を出してもう一回してくれ!とお願いをしています。

社会的参照とは

私は、リアルタイムにやり取りする相互交流が行われればいいなと思っています。
理由として、先の対象操作に加えて、社会的参照という点でも大切になります。
社会的参照とは、子どもたちが、自分の行ったことが良かったか悪かったかを判断をする際に、周りの大人の反応を参考にすることです。
例えば、積み上げた積み木をガッシャーンと勢いよく倒したとします。その際に、隣の大人が笑顔で「いやぁ、うまくいったねぇ」とポジティブな反応をしたら、子どもたちも「あぁ、今のは上手くいったんだ!もっとやろ!」と続けていく、みたいな形です。
私たちも、このまましてもいいの…?と不安になった時、相手の表情を確認することはありますよね。
子どもたちも、自分が関わったことに対してリアルタイムに反応や言葉掛けがされることで、子どもにとって「意味あるメッセージ」として伝わり、残っていきます。

【実践】一緒に遊んでみた

11:手挙げロボットに変身したら、娘からパパにたくさん触ってくれるようになった!

(Instagram投稿動画:11「手を挙げるロボットになりきってみた」)

娘がパパの手に触れた時に、声と動きで反応しています。最後は、まねっこして拍手もしているシーンです。
何気ないようにも見えますが、娘がだんだんパパのリアクションを狙ってあえて関わろうとしていることが分かります。
パパとしても、「いいぞもっとこい!」の精神なので、娘が期待しているであろう反応を繰り返しています。

12:パパを押し返せ!意志を感じる娘の行動が生まれてきた!

(Instagram投稿動画:12「パパを押し返せ!」)

パパのリアクションを引く出すために行動している点では、『11:手挙げロボット』と同じようなシーンです。
しかし、ここではただ触れただけでは思ったリアクションが得られない所がポイントです。
パパを押し返すためには強めに押さなければいけないし、繰り返す内に段々パパの迫る力も強まっていっています。
「え、今度はもっと力がいるの!?」と娘も思いながら、やり取りをしています。
更に、しっかり踏ん張って押し返しているので、娘が様々な体のバリエーションを練習することにも繋がっています。

13:もう一回!に応じると、娘が期待してパパを待つようになった!

(Instagram投稿動画:13「もう一回!やってみよう」)

娘の体に触れながら、スキンシップ遊びをしているシーンです。是非、動画を見ていただきたいのですが、娘からの「あ!」という声と仕草、皆さんは何と言っているように見えますか?
私は「もう一回」と言っているように聞こえました。なので、動画には写っていませんがこの後何回も繰り返されています。
実際には「くすぐったい!」「もうちょっと強く!」なのかもしれません。
大切なのは、こうかな?と大人が想像してみることです。

【解説】ロボットよりも人がとても優秀!な理由

いかがでしたか?
ただ遊んでいるようにも見えるのですが、中々に深い発達の応援要素が入っていたことが共有できれば嬉しいです。
最後に、この因果関係の理解や相互交流は「人だから」出来ることがたくさんあります。
ロボットに負けない、人だからこそできる理由をご紹介していきます。

理由その1 子どもが理解しやすい反応ができる点

子どもが注目したものに対して、子どもにとって分かりやすい反応をすることで、子どもにとって意味あるものとして残されます。
前回、絵本読みを紹介しましたが、娘が指さしたものの名前を言う以外にも、「赤いねぇ」「ふわふわしてるね」など色やオノマトペなど、私たちは子どもの発達に応じた、子どもが真似しやすい言葉をチョイスすることができます。
また、言葉のチョイスだけでなく、どのように言うのかという所もポイントです。
動画を見ていただいた方は、私の声掛けを聞いて「声高いな」とか「短い言葉だな」と思われたのではないかと思います。
声の抑揚・ピッチ・トーン、同じフレーズの繰り返し、短いインパクトのある言葉…バリエーションは沢山あり、子どもの反応を見ながら合わせていくことが出来るのは、人だからこそです。

理由その2 子どもが大人の意図通りに遊ばなくても、受け入れてあげられる点

子どもとの遊びは、まず大人の思った通りに行かないことを受け入れてあげるところから始まっていると思います。
今回の遊びも、「こういう時は、こうするんだよ」と教え込んでいるわけではありません。子どもの行動に意味があることを伝えています。
前回は、せっかく作ったポンポンをむしられて…と紹介しました。
正直、悲しさもありましたが、やっぱり子どもが自分で発見した、というところを大切にしてあげたいと考えています。むしろ「むしられるためにポンポンを作った」のです。

理由その3 子どもの行動を細かくキャッチしてあげられる点

子どもの行動はそれぞれ異なります。
13:もう一回!』では、娘は「あ!」と声を出していましたが、他の子では、目をじっと見てくるかもしれないし、お腹をポンポンと叩くかもしれません。
私たちは、「あれ、くすぐったらじっとこっち見てる…もしかして…」と、子どもの行動の細かな違いを受け取ってあげることが出来ます。大人側で子どもの行動を解釈し、読み取り繰り返してあげましょう。
言葉の有無に関わらず、伝える意図を持った行動を拾い上げていきましょう!

次回は、スキンシップ遊びシリーズをご紹介します!娘とパパの協働した遊び、ぜひご覧ください。

≪≪≪前回の記事:『パパのリアクションから始めよう!一緒に遊ぶ第一歩』

福永 寿紀
執筆者作業療法士、おもちゃコンサルタント
福永 寿紀
2児の父です。作業療法士として発達領域で勤務していた経験があり、現在は大学で教員をしています。作業療法士仲間と、発達×アナログゲームをテーマに動画配信中⇒【ネコさんとカメさん『発達とボードゲーム』チャンネル】、親子遊びをInstagramで投稿中⇒【hisanori.f】で検索してみてくださいね。

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