遊ぶ【連載】高齢者施設におもちゃと遊びをお届け!アクティビティ ディレクター活動記

投げて、取って、積み上げて!お手玉の遊び方は無限大

2019.11.08

懐かしい遊び道具、お手玉。実はいろいろな遊び方ができるんです!高齢者におもちゃ・遊びを届ける活動記、第3回。

投げて、取って、積み上げて!お手玉の遊び方は無限大

日本の伝統的な遊びのひとつにお手玉があります。
奈良時代に中国から伝わり、江戸時代から昭和まで主に女の子の間で遊ばれ親しまれてきました。
高齢者施設には必ずあると言っていいくらい、シニア世代にはお馴染みの玩具ですよね。
お年寄りにお手玉を手渡すと、こちらが何も言わなくても「投げ玉遊び」(片手で投げて落ちてきた玉を片手で受けとる)がはじまります。

「昔は何回もできたんだけどね~」
「着物の端切れでいくつも作ったねぇ」
「小豆を入れたり、お米を入れたりしたねぇ」
お手玉を手のひらに乗せて、懐かしい思い出話が次々と。
私は2つのお手玉を交互に受け取ることしかできないのですが、「3個投げができる方いらっしゃいますか?」と聞くと、「できるかしら」と言いながら名人が現れたりします。拍手喝采!!

そんな和やかなひとときもとても素敵ですが、お手玉の遊びはこれだけではないんです。 お手玉は、重さも大きさもお年寄りの手にちょうどぴったり。そんな特性を活かした、おじいちゃんもおばあちゃんも楽しめる遊びのバリエーションをご紹介します!

1:お手玉で体操

ひとりひとつのお手玉を使って身体を動かしてみましょう。
左右交互にひとりキャッチボール。何回できるか挑戦です!
歌いながらリズミカルに行うと自然と身体が動きます。
童謡『あんたがたどこさ』に合わせてまずは片手だけで投げて受け取ります。歌詞の中の“さ”の言葉の時だけ反対側の手に移します。そしてまた続きを歌いながらもとの手に持ちかえる。
はじめは利き手で。次は反対の手からチャレンジしてみましょう。
歌いながらお手玉をタイミングよくキャッチすることで全身を使った運動になります。
(施設では基本、座って行いますが、介護予防教室等のアクティブシニアには立って行ってもいいでしょう)

2:的当て・棒倒し

ゴムのボールは軽くていいのですが、弾んで遠くへ転がってしまうので、拾うのが大忙し。
そんな時はお年寄りの握力でも握りやすく、適度な重さがあって投げやすいお手玉が大活躍です。
的や棒は遊ぶ場所や人数によって、空のペットボトルや紙コップ、色紙など身近な材料で作ります。
テーブルの上で少人数で遊ぶ手軽さもあり、お手玉に馴染みのないおじいちゃん達にも人気です。

3:積み上げても楽しい!

先日、有料老人ホームで伝承遊びアクティビティを開催しました。
テーブルに広がった懐かしい玩具の数々。楽しそうに遊びが展開されていきます。
ふと見ると、ダルマ落としの上にお手玉が高く積み上げられているではありませんか!
バランスや集中力が大事!どこまで積み上がるかみんなで応援です。

別のテーブルでは、羽子板の上にお手玉を乗せて、落とさないように慎重にお隣りへ回している方も。

自然と上体を起こして腕を伸ばしたり、思わず手を叩いたり。
「心が動けば身体が動く」のアクティビティ効果も見られます。
そして何よりも、こちらが想像もつかないような遊びの発想力。やはり人生の大先輩は遊びにおいても上手です!

認知症を患っていたり介護が必要な状態になっても、遊ぶ力は生きる力を与えてくれる。 手のひらに収まる小さなお手玉ひとつにも、無限大に広がる大きな力が宿っているんだな!と改めて感じることができました。

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小平 有紀
執筆者アクティビティディレクター、アロマセラピスト、おもちゃコンサルタント
小平 有紀
フリーのアクティビティ ディレクター。介護職員時代にアロマセラピーと出会い、アロマセラピスト資格を取得。また高齢者現場にもおもちゃと遊びアクティビティを広げたいとの思いからおもちゃコンサルタントを取得。現在は介護施設や地域の介護予防教室で、五感に響く「アロマ」と「おもちゃ」を活用したケアやストレッチの指導を行っています。

【連載】高齢者施設におもちゃと遊びをお届け!アクティビティ ディレクター活動記

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