遊ぶ【連載】高齢者施設におもちゃと遊びをお届け!アクティビティ ディレクター活動記

おもちゃで生活リハビリ!コマを回して指先活性

2019.10.11

生活に欠かせない指先の動きを、遊びで鍛えることができるんです!高齢者におもちゃ・遊びを届ける活動記、第2回目です。

おもちゃで生活リハビリ!コマを回して指先活性

私が訪問している高齢者施設(東京都内のデイサービスセンター)で以前、お年寄りにこんな質問をしたことがあります。
「子どもの頃にどんな遊びをしていましたか?」
屋外で木登りやおにごっこの他に、おもちゃを使った遊びとしては、男性はコマやけん玉。女性はお手玉やお人形遊び、といった答えが多く返ってきます。

そんな中で、お年寄りの指先の活性化にも大いに役に立ち、遊びながら生活リハビリ効果も期待できる遊びがあるのです。

それは、コマ回し!

コマは、親指、人差し指、中指の3本指を使ってつまんで回します。
勢いよく回すには「つまみながらひねって離す」という動作が求められますが、加齢と共に指先に力が入りづらく、また手指の関節が固くなってくると動きがとても大変になってきます。

この3本指の動きは、生活の中でも欠かせません。
例えば小さいものをつまむ。お箸を使う。ペットボトルのキャップを開ける。ボタンをかける。靴下やズボンの端を持って引き上げる、など・・・。
ですから手指を鍛える運動はとても重要。
リハビリというと気乗りがしないお年寄りも、コマを回すことで自然と3本指の運動を促すことになります。

今回はおすすめのコマ3つをご紹介しましょう。

【色あそび独楽/銀河工房】

カラフルなデザインで回ると綺麗なグラデーションが見える色あそび独楽は、力の弱いお年寄りにも回しやすい形です。
「不思議な色だね~」「なんでこうなるのかね~」と顔を近づけてじっと見ながら何度でも繰り返し遊ばれる方が多い人気のコマのひとつです。

【透明こま/博進社】

「コマの中から何が見えるか、よく見ててくださいね~」とはじめに職員さんが回してみせます。
すると現れる富士山の姿にお年寄りは大興奮!
「綺麗だね~」「もう一度、見せておくれ~」と喜ばれます。
「コマは縁起物でもあるんですよ。人生がうまく回りますようにって願いをこめて回すんですって」
とお話すると、思わずそっと手を合わせる方もいらっしゃいます。
「だから昔はお正月になるとみんなでコマ回しをしたんだね」
伝承玩具に込められた想いもお伝えすると、昔話に花が咲くこともあります。

【投げこま/博進社】

ある施設では、投げこまが得意なおじいちゃんがいらっしゃいました。
「子どもの頃はよくやったな~、今はできるかな?」と少し不安そう。でもコマを手に取るとキュッキュッと上手に紐をまきつけていきます。そして中腰になり、勢いよくコマを回すことができました。
さすが!昔取った杵柄とはこのこと!
子どもの頃に遊んだ感覚は、自然と身体が覚えているものです。(投げるときには転倒に気を付けて、見守りやサポートをお願いします)

そしてちょうどその日は学生のボランティア活動もあり、さっそくおじいちゃんは得意気にコマ遊びを伝授!
教え教わりながら遊びが伝承されていくという経験が少なくなった昨今ですが、とても生き生きとした表情でコマ遊びをするおじいちゃんと学生たち。
そのコミュニケーションの様子を写真でお伝えできないのがとても残念ですが、心温まるひとときでした。

このほかにも、日本各地に色や形にこだわったコマがあります。
お年寄りから、故郷のコマはどんなものだったか聞いてみるのも楽しいでしょう。

職員さんにも休暇で旅行などに行かれた時には、お土産物屋さんなどでその地方のコマをひとつ買ってみてください、とお勧めしています。
いくつかコマが集まったらカゴなどにいれてテーブルの上に置いておくと、ちょっと退屈なときに手を伸ばしてコマ遊びができます。

遊びながら自然と指先を動かすことで日常生活動作に関わる運動になりますし、会話のきっかけになりコミュニケーションが豊かになること間違いなしです。

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小平 有紀
執筆者アクティビティディレクター、アロマセラピスト、おもちゃコンサルタント
小平 有紀
フリーのアクティビティ ディレクター。介護職員時代にアロマセラピーと出会い、アロマセラピスト資格を取得。また高齢者現場にもおもちゃと遊びアクティビティを広げたいとの思いからおもちゃコンサルタントを取得。現在は介護施設や地域の介護予防教室で、五感に響く「アロマ」と「おもちゃ」を活用したケアやストレッチの指導を行っています。

【連載】高齢者施設におもちゃと遊びをお届け!アクティビティ ディレクター活動記

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