園庭は草花いっぱい、発見もいっぱい - 保育園の遊び環境を考える#3
2021.05.28
自由に摘んで遊べる草花がいっぱいの園庭には、わくわくや発見もあふれています。園長先生が語る保育園の遊び環境、第3回目です。
草むらや築山には遊びのタネがいっぱい
保育園をあえて草いっぱい、でこぼこいっぱいの園庭にしようと動いています。
保育者と子どもたちとで赤土を運んで作った築山とスコップで掘った川。ミニ田んぼを作って稲作をしたり、そこに捕まえたカエルを放したり、土管や岩のある既存の築山とつなげて遊んだりしています。
最近では、築山の堅い土のてっぺんから水を流すと土が削れることに気づき、「ようがん(溶岩)」と言いながらその作業を繰り返しています。その年ごとに子どもの興味や遊びも様々で、築山や川、そのほとりには子どもたちの手が加わり風景も変わっていきます。
また、子どもたちがいつでも自由に摘んで遊ぶことができるよう、草花を根っこごと植えて3年目。しっかり根付き、放っておいてもたくましく育っています。
昨年の夏、ひまわりは2メートル超えるほどのあっぱれな生長ぶりで、その種を数えたら1980個ありました。
草むらにはテントウムシ、バッタやカマキリもやってくるようになった園庭。
しゃがみこんで虫や草花を見つめる子どもたちの目線はこんなにも地面に近くて、わたしの気づかないことがいっぱい。
今回は、子どもたちの園庭での発見をお話します。
お花はすてきなアクセサリー
この春も期待通りタンポポやシロツメクサ、ハルジオン、ホトケノザなどが育っています。広い園庭のすみっこで、しゃがみこんで遊ぶ子どもたちの姿が見えました。
大勢の子どもたちの声から少し遠ざかるその場所は、ほっとするゆるやかな空間です。シロツメクサを編んで花かんむりを作っているところでした。
りさ先生の指先をじっと見つめている子どもたち。
「できたよ」とひとつ編んでは子どもの頭にそっとのせてあげています。
そして、もうひとつ。
「やってみる?」「教えてあげる」と言わないのが、りさ先生のいいところ。
何より、りさ先生が花かんむりを作って楽しんでいるのが伝わってきます。
子ども時代にいっぱい遊んだのでしょう。その手が覚えていて、子どもたちの目の前で巧みに動きます。
花かんむりをひとつ作ってもらったNさんが「あっ!」と言ってその場を離れていきました。戻ってきた時にはパンジーの花を持っていました。
そして、「これもつけて」と言いました。
かわいいでしょ!と言わんばかりのその笑顔が印象的でした。
カラスノエンドウ、スズメノエンドウ、サヤエンドウ
この早口言葉のような3つにまつわるエピソードです。
ビニール袋ふたつ持ってS君がわたしのところにやってきました。
片方には、カラスノエンドウ。もうひとつにはもっと小さなスズメノエンドウ。こんなにたくさん見つけたよ!とうれしそうです。
「これ、スズメノエンドウって言うの?ちいさくてかわいいね。知らなかった。」
カラスとスズメ、こんなかわいい名前を草花につけた人っておもしろいなぁと思いながら、S君に誘われて行ってみると、一面、丸い葉っぱと小さなピンクの花が。
毎日、保育園で長い時間を過ごすわたしですが、身近にあるのに見逃しているものがいっぱい。なんてもったいないこと。
そんなことを気づかせてくれたS君は、お家にカラスノエンドウとスズメノエンドウをおみやげにして帰りました。
そして、お家の冷蔵庫に入れたそうです。
翌朝、冷蔵庫を開けて
「大きくなっている」とびっくり!!
お母さんのお話によると、スーパーで買ってきた「サヤエンドウ」を見て、自分が昨日冷蔵庫に入れたものが大きくなったとびっくりしたそうです。
お母さんとわたし、二人で大笑いしてしまいました。
保育園の遊びのあとにこんな楽しいエピソードも続いていたのです。
野菜にどんぐり、まだまだ園庭は進化中
子どもたちからわくわくをいっぱいもらって生活しているわたしは、3月にキャベツ、シソ、ゴーヤ、パプリカ、枝豆、オクラ、スイカ、キャベツの種を蒔きました。
いつもは野菜の苗を買ってきて畑に植えているのですが、種から育ててみたくなったのです。
わたしが大切に育てた苗を見て、毎日声をかけてくれます。子どもの声を浴びて順調に育っています。
こういったわたしたちの活動をおもしろがって、じゅずだま、どんぐり、おじぎそうを分けてくださる方がいて、保育園の園庭は進化中。
このどんぐりが大きく育つ頃、子どもたちどんなふうに大きくなっているのかな。
いかがでしたか?この執筆者の他の記事も読んでみてくださいね。
【保育園の遊び環境を考える】 連載一覧
3.園庭は草花いっぱい、発見もいっぱい
園長先生がときめいた遊び日誌~保育園の遊び環境を考える
遊ぶ育む知る2021.05.28