「動き回る」遊び (ハイハイ~歩き始め期) 作業療法士パパが実践した親子でふれあい遊び #12
2026.02.16
子どもが楽しく成長していくために、作業療法士で2児のパパが実践した親子のふれあい遊びを紹介します。

皆さまこんにちは。作業療法士の福永と申します。
このシリーズでは、私が娘たちと実際に楽しんできた遊びを紹介しています。
遊びの内容だけでなく、「どう寄り添うか」という関係づくりも大切にしながら、発達を支える関わり方や具体例をお伝えしています。
今回のテーマは「動き回る」です。
子どもは体を大きく動かす遊びが大好きですが、家の中で過ごす時間もあります。
そこで今回は、室内でもできる動きのある遊びを紹介します。様子が分かる動画リンクも掲載していますので、ぜひ併せてご覧ください。
目次
転んでも手が出ない子どもが増えてきた
前回は、ハイハイなど体を動かす経験の大切さをお伝えしました。
私たち作業療法士は、身近な物を使って「楽しくダイナミックに動ける環境」を整えながら子どもと関わります。
長机の脚を折りたたんで台にしたり、机を斜めに立てて坂道を作ったりするのもその一例です。
子どもの遊びは、発達とともに、平面から立体的な空間へ広がります。
安全面から段差を減らす工夫(バリアフリーや階段にベビーゲートを設置するなど)も大切ですが、立体的な動きを経験できる環境も同じくらい重要です。
以前は、ちゃぶ台や床の間に上る経験が自然にありましたが、近年は住環境の変化により、子どもが安全に昇り降りできる場所が少なくなっています。
また、「机の上に乗るのはお行儀が悪い」と感じるかもしれません。
しかし、子どもにとって必要な立体空間に関わる遊びの大切さや、「これならできそう」と思える工夫を、ひとつのアイデアとしてお伝えできたら嬉しく思います。
パパと「動き回る」遊びを楽しんでみた
35:台を昇り降りする遊び
この遊びは、100円均一で販売されている発泡スチロール製のレンガ型ブロックを、部屋に置くだけで始められます。
工夫として、ブロックの上面に木目調シートを貼って指や爪が引っかかった時に発泡スチロールが削れてしまうのを防いでいます。
また、ブロックの穴の中に500mlの水入りペットボトルを入れて重さを出し、安定させています。
1段目の昇り降りができるようになったら、段数を変更することで難易度を調整できます。
このブロックでなくても、登れそうな物を置くだけで始められます。
コツは、台をお子さんが通りそうな場所に置くことです。
「昇る練習をする」のではなく、「おもちゃを取りたいから乗り越える」という導入がおすすめです。
36:スロープを使って傾く遊び
(Instagram投稿動画:36-1「スロープを登ろう」 36-2「スロープを登ろう」)
スロープを使った遊びを紹介します。
我が家では、長机の脚を折りたたんで部屋に配置し、段差のある遊び場を作っていました。そこに、スロープを組み合わせています。
スロープは、三角形に切った段ボールを複数並べて作っています。
斜面が加わることで、姿勢調整やバランス反応がより必要になります。
実際に体を動かし、「次はこうしてみよう」と試行錯誤を重ねる中で、運動は上手になっていきます。そのためには、子どもが自ら部屋を探索し、活動の主体者であることが重要です。
まずは、部屋の中に「関わってみたくなる物」を一つ置いてみることから始めてみてください。
こどもたちが行っている遊びが、私たちが何気なく行っている動作の下地になっています。ぜひ、そんな視点で子どもたちの動きを観察してみてください。
37:パパに引っぱってもらう遊び
(Instagram投稿動画:37-1「パパに連れて行ってもらおう その1」 37-2「パパに連れて行ってもらおう その2」)
「毛布そり」とも呼ばれる遊びです。
毛布が動くとバランスが崩れるので、初めて行う場合は子どもが寝ている姿勢からゆっくり引っ張ってもよいです。
腹ばいで乗るのもおすすめです。発達段階に合わせて、進行方向を子どもの向きに合わせたり、後ろ向きや横向きにしたりすると、難しさが変わります。
また、毛布を直接引く代わりに、子どもに紐や輪っかを持ってもらう遊び方もあります。慣れてきたら、部屋を一周してみましょう。
バランスを崩して転ぶことは、体の傾きを感じる大切な経験になります。
転ばないようにするのではなく、布団の上で行うなど怪我せずこけることができる環境で遊んでみてください。
顔を見合わせながら、「もう一回?」「出発しようか」など、言葉や表情でのやりとりも大切にしてくださいね。
【解説】作業療法士から見た「立体的な空間での遊び」のススメ
子どもたちの遊びは、成長とともに、平面を移動するだけでなく、登る・降りるといった高さを感じる遊びへと広がりを見せます。
例えば、35で紹介した台に登る遊びでは、「自分の体はこの上に収まりそうかな」「この高さなら登れそうかな」と、考えながら動いています。
自分の体の大きさや、自分にできそうな動きを理解しているからこそできる遊びです。
この理解が発展すると、台の広さの認識など、空間認識を育てることに繋がります。
この理解を育てるためには、実際に体を動かして経験することが大切です。
私たち大人も、人混みを避けたり、荷物を持ちながら「この隙間を通れるかな」と判断し、この判断が上手くいくと動きもスムーズです。
子どもたちも、日々の遊びの中で同じような練習を重ねています。
36、37で紹介した遊びでは、斜めになったり、バランスを崩したりする要素が加わります。
体が傾いたことを感じて頭をまっすぐに戻したり、転びそうになったときに手を伸ばして支えたりする動きは、体の感覚を使って姿勢を立て直す大切な経験です(立ち直り反応、平衡反応といいます)。
たくさんバランスを崩し、また立て直すといった経験を、安全な環境の中で重ねてほしいと思います。
家の中に、少し高さがある物や斜めの物を一つ置くだけでも、子どもの動きは大きく広がります。
知り合いの保護者の方は、この話を聞いて開封前のおむつの袋を部屋に置いてみたそうです。
登ったり、ひっくり返したりと、いつもとは違う動きが見られたと教えてくれました。
これまで12回にわたり、さまざまな遊びを紹介してきました。
何気なく行っている遊びの中には、子どもの育ちを支える大切な要素がたくさん詰まっています。
今回紹介した遊びは、主に1歳前後から1歳3か月頃に行っていたものですが、発達や遊びの進み方には個人差があります。
今後は、別の年齢の遊びについても紹介できればと思っています。楽しい親子遊びを通して、お子さんの育ちが豊かに広がることを願っています。

- 執筆者作業療法士、おもちゃコンサルタント
福永 寿紀 - 2児の父です。作業療法士として発達領域で勤務していた経験があり、現在は大学で教員をしています。作業療法士仲間と、発達×アナログゲームをテーマに動画配信中⇒【ネコさんとカメさん『発達とボードゲーム』チャンネル】、親子遊びをInstagramで投稿中⇒【hisanori.f】で検索してみてくださいね。
作業療法士パパが実践した 親子でふれあい遊び
遊ぶ育む2026.02.16
