遊ぶ作業療法士パパが実践した 親子でふれあい遊び

「はいる」遊び (ハイハイ~歩き始め期) 作業療法士パパが実践した親子でふれあい遊び #11

2025.12.22

子どもが楽しく成長していくために、作業療法士で2児のパパが実践した親子のふれあい遊びを紹介します。

「はいる」遊び (ハイハイ~歩き始め期) 作業療法士パパが実践した親子でふれあい遊び #11

皆さまこんにちは。作業療法士の福永と申します。
このシリーズでは、私が実際に娘たちと遊んできた経験をもとに、親子でのふれあい遊びを紹介しています。
私は、遊びの内容そのものだけでなく、「どのように寄り添うか」という関係づくりもとても大切だと感じています。
こうした思いから、遊びを通してどんな発達を応援できるのか、そして子どもとの関わり方についても、アイデアやエピソードを交えてお伝えしています。

今回のテーマは「はいる」です。
前回は「物を入れる」遊びをご紹介しましたが、今回は子ども自身が「はいる」遊びを取り上げます。実際の遊びの様子が分かるように、動画へのリンクも掲載していますので、ぜひそちらも併せてご覧ください。

目次


ハイハイのススメ

【実践】パパと「はいる」遊びを楽しんでみた

31:トンネルをくぐる遊び

32:障害物をよける遊び

33:穴の中に入る遊び

34:段ボールトンネルを進む遊び

【解説】作業療法士から見たハイハイの「ここがすごい!」

ハイハイのススメ

子どもたちの運動発達は、首のほうから足のほうへ向かって、段階的に育っていきます。
たとえば、首がすわる→寝返り→四つ這い・ハイハイ→つかまり立ち→つたい歩き→歩行…という流れです。今回は、この中でも「ハイハイ」の大切さについてお伝えします。

保護者の方からは、「早く立てるようになってほしい」という声をよく耳にします。
立つ・歩く姿は発達が進んでいるように見えるため、そう願うお気持ちはとてもよく分かります。しかし、実は「ハイハイの時期にたくさんハイハイをすること」は、発達にとって非常に重要です。むしろ、ハイハイの時期を過ぎてからでも、遊びの中でどんどん取り入れてほしい動きです。

なぜならハイハイには、
・手先の器用さ
・姿勢の安定
・バランス能力
・空間認知(距離感や位置関係を感じる力)
・転倒への備え(とっさに手が出る力)

など、さまざまな発達を支える要素がぎゅっと詰まっているからです。

今回の記事では、そんな大切なハイハイを生かした遊びをご紹介し、最後に「ハイハイがどんな発達を応援するのか」を分かりやすく解説していきます。

【実践】パパと「はいる」遊びを楽しんでみた

31:トンネルをくぐる遊び

(Instagram投稿動画:31「おてせいトンネルをGO」)

まずは、身近な材料で簡単に作れるトンネルをご紹介します。使用しているのは、100円均一で手に入る園芸用の柵と発泡スチロール製のブロックです。
作り方はとても簡単で、柵の端をブロックにねじりながら入れるだけで完成します。

動画をご覧いただくと分かるように、遊び始めの頃の娘は、頭をぶつけたり、トンネルを倒してしまったりしながら遊んでいました。しかし、回数を重ねるうちに、少しずつ当たらずに進めるようになっていきました。
一見すると「失敗」のように見えるぶつかる経験ですが、実はここがとても大切なポイントです。
例えば、少しだけ開いているドアを通れるかどうか考えるとき、私たちは頭の中で自分の体の幅とドアのすき間の広さを比べています。
このように自分の体の大きさや形をイメージできる力を「身体図式」と呼びます。
実際にくぐってみてトンネルにぶつかる経験は、まさにこの身体図式を育てるための大切な学びです。
身体図式は、その後の運動の土台となるとても重要な能力なのです。

この遊びは、椅子の下をくぐる遊びでも代用できると思いますが、ぶつかると痛いかもしれません。
このおもちゃであれば軽いので安全です。また、倒れるのでぶつかったことも分かりやすいです。
是非、遊んでみてください。

32:障害物をよける遊び

(Instagram投稿動画:32-1「障害物競走!その1」32-2「障害物競走!その2」

この遊びの肝は、立っている所から四つ這いへ姿勢変換したり、ハイハイした後に立ったり、と姿勢をいろいろと変えながら遊んでいる所です。
娘は「パパの所へ行くには机の下を通らないといけないからハイハイの姿勢にしよう」とこれまでに獲得した姿勢を、環境に合わせて使いこなしています。

2つ目のビデオでは、おもちゃを取りたくて手を伸ばしています。
私たちも、食器棚から皿を取る時に、手を伸ばすとちょうど皿の場所になるように移動し位置取りします。無意識ながら、皿と自分との距離=自分の腕の長さを計算しているのです。
ビデオの娘は、さらに「どこまで自分の体を傾けても倒れないか…」を実際に遊びの中で考え経験しているのが分かります。

こどもたちが行っている遊びが、私たちが何気なく行っている動作の下地になっています。ぜひ、そんな視点で子どもたちの動きを観察してみてください。

33:穴の中に入る遊び

(Instagram投稿動画:33「穴の中に入ろう」)

段ボールに穴を開けているだけのおもちゃです。ひっくり返らないように、重しとして水入りペットボトルを中に入れています。
娘は光るスイッチを押すことに興味があったので、中に入れています。
中のペットボトルの水がキラキラして綺麗ですよ。

スイッチを押すためにはどう体を動かすと良いのでしょうか。
頭がひっかかるのなら、屈んで、腕に体重をかけてより頭を下げる必要があります。
ビデオを見ていただくと、それが分かっていない娘と、偶然知った娘を見ることが出来ます。私たちの運動の発達は、そういった偶然がたくさん重なって出来ている部分もあります。

34:段ボールトンネルを進む遊び

(Instagram投稿動画:34「段ボールトンネル」)

最後に、段ボールトンネルを紹介します。段ボールを繋げるだけの簡単にできるけどかなり重宝するおもちゃです。
ここでは、段ボールトンネルのアレンジを紹介します。

①ぬいぐるみをトンネルの中に入れる
ぬいぐるみを押しのけたり乗り越えながら進みましょう。ぬいぐるみに圧迫されながら、当たりながら進むことで触圧覚を感じ、身体図式を育てることができます。
②床に別素材の物を敷く
緩衝材のプチプチを床に貼ったり、カーペット素材を敷いてみるのも1つです。ハイハイをする際、手で床を触れることも大切な要素です。豊かな触覚体験を応援しましょう。
③出入口にゴム紐をつける
少し上級者編です。出入口にゴム紐をつけて、紐を避けたり端に寄せて通りましょう。いつもと違う環境にすることで「今度はどうやったら通れるんだ」と考えて動く経験に繋がります。その都度、環境に合わせた体の動きを計画してもらいましょう。
④穴をいっぱいあける
暗くて怖い、と感じる子もいます。穴をたくさんあけて光が入るようにしたり、トンネルの中から外を覗いたり、大人と顔を合わせられるようにしてみましょう。
⑤直角に作る
段ボールトンネルは、まっすぐ繋げていくと、倒れやすくなります。直角に合わせると自立しやすく扱いやすいです。部屋の角に沿って起きやすくもなります。

【解説】作業療法士から見たハイハイの「ここがすごい!」

ハイハイは、子どもの発達にとってとても重要な意味を持つ姿勢です。ハイハイで過ごす時間が十分にあると、その後の運動や手先の器用さ、姿勢の安定など、多くの力が育まれていきます。
ポイントをいくつかご紹介します。

① 手をつく“触覚体験”が豊かになる
床に手をつくことで、子どもは手のひら全体を通して「ザラザラ」「フワフワ」など、さまざまな感触を経験します。これは物をつかむ・押すといった巧緻動作や、扱う道具の質感を感じること(例:ツルツルしているから、少し力を強く握ろう)の基盤になります。
② 頭を上げる・体幹を支える → “抗重力姿勢”が育つ
四つ這いは、頭・背中・お尻を引き上げる力が必要です。これは姿勢をまっすぐ保つ力(抗重力姿勢)の発達に直結し、座って安定する・立つ・歩くなどにつながっていきます。
③ 肩まわりで体を支える → 手先の器用さにつながる
四つ這いでは、体重を肩・肘・手首で支えます。これが上半身の土台づくりになります。土台がしっかりしていると、その先についている手・指の細かい動き(ハサミ・箸・書字など)がスムーズに行えるようになります。
④ 手足を左右交互に動かす → 協調運動の発達を促す
四つ這いで前に進むには、「右手と左足」「左手と右足」を交互に出します。この左右・手足の連動は、歩行、ジャンプ、ボール遊びなど、さまざまな協調運動の基礎となります。私たちは、普段から体の複数の部位を連動させながら体を動かしています。
⑤ 手足を上げた瞬間にバランスをとる(傾斜反応)
進むときは、必ず体のどこかを床から浮かせます。例えば右手と左足を浮かせ、前にもっていこうとします。このとき、残りの左手と右足で体を支えるのですが、こけないようにバランスをとろうとし、傾いたときに姿勢を戻す「傾斜反応」が育ちます。これは転びにくさにもつながる大事な能力です。
⑥ 転びそうなときに手が出る(上肢保護伸展反応)
こけてバランスを崩したときにとっさに手が出る反応(上肢保護伸展反応)は、けがを防ぐためにとても重要です。手を出して頭を守っています。ハイハイで進むときにはバランスが悪くなるので、この反応が育っていきます。傾いたことを感じたり、姿勢を調整することはとっても大切です。
⑦ 自分で移動するからこそ味わえる視覚の発達
四つ這いで動くと、景色がダイナミックに変わります。自分が動くことで視界が変わります。自分が動くことで周囲の物が「近づく・遠ざかる」経験や、「高い・低い」などの視覚情報が豊かになり、空間認知や探索行動も広がります。

次回は、「動き回ろう!」をテーマとしたお家で出来る遊びをご紹介します。引き続き段ボールを使った遊びなどを紹介していきます。

≪≪≪前回の記事:『「物を入れる」遊び』

次回の記事:『「動き回る」遊び』≫≫≫

福永 寿紀
執筆者作業療法士、おもちゃコンサルタント
福永 寿紀
2児の父です。作業療法士として発達領域で勤務していた経験があり、現在は大学で教員をしています。作業療法士仲間と、発達×アナログゲームをテーマに動画配信中⇒【ネコさんとカメさん『発達とボードゲーム』チャンネル】、親子遊びをInstagramで投稿中⇒【hisanori.f】で検索してみてくださいね。

作業療法士パパが実践した 親子でふれあい遊び

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