遊ぶ作業療法士パパが実践した 親子でふれあい遊び

作業療法士パパが実践した「物を入れる」遊び (ハイハイ~歩き始め期) 作業療法士パパが実践した親子でふれあい遊び #10

2025.11.26

子どもが楽しく成長していくために、作業療法士で2児のパパが実践した親子のふれあい遊びを紹介します。

作業療法士パパが実践した「物を入れる」遊び (ハイハイ~歩き始め期) 作業療法士パパが実践した親子でふれあい遊び #10

皆さまこんにちは。作業療法士の福永と申します。
このシリーズでは、私が実際に娘たちと遊んできた経験をもとに、親子でのふれあい遊びを紹介しています。
私は、遊びの内容だけでなく「子どもたちとどうやって関わるか」「子どもたちにどんなふうに寄り添うか」もとても大切だと思っています。そんな想いから、少しずつ遊びのアイデアやエピソードをお伝えしています。

今回のテーマは「物を入れる」です。
前回・前々回にご紹介した「物を取り出す」遊びの次の発達ステージにあたる活動になります。
実際の遊びの様子が分かるように、動画のリンクも掲載していますので、ぜひそちらもご覧ください。

目次


物を出す遊びの次は、物を入れる遊び

【実践】親子で「物を入れる」遊びを楽しんでみた

27:ネームタグを入れる遊び

28:ペットボトルに紙くずを入れる遊び

29:シュート!する遊び

30:筒に棒を入れる遊び

【解説】作業療法士から見たこの遊びの「ここがすごい!」

27・28:まずは「押し込んで」みよう

29・30:環境・物に合わせた体の使い方を練習中!

物を出す遊びの次は、物を入れる遊び

「物を取り出す遊び」「物を入れる遊び」では、手をたくさん使います。もっと言えば、「物をつかむ」「持つ」「離す」といった手の基本的な動きを繰り返しながら遊んでいます。
手先を上手に使うためには、まず姿勢の安定が大切です。これは以前お伝えした通りですが、それだけでなく、「これを使いたい」「入れてみたい」といった「意欲(モチベーション)」も大切な土台になります。

手や指を使って物をつかむ動き(把握動作)は、
①手を物に近づける(リーチ)
②握る
③運ぶ
④離す
という4つの段階で発達します。
このうち「離す」は、「握る」「運ぶ」がしっかりできるようになったあとに発達する動作です。

【実践】親子で「物を入れる」遊びを楽しんでみた

27:ネームタグを入れる遊び

(Instagram投稿動画:27「貯金箱風!ネームタグ入れ」)

これは、100円ショップで「調味料メーカー」という名前で売られていた容器のフタに、細長い穴を開けて作っただけの簡単なグッズです。
穴の大きさはネームタグがぴったり入るくらいに調整し、さらに穴の周りに黒いガムテープを貼って、位置が分かりやすいように工夫しています。

遊び方はシンプルで、パパがネームタグを穴に差し込み、娘がそれを押し込んで入れるというものです。私の中では「餅つき」のように、二人で息を合わせながら交互に行うイメージです。
また、ネームタグをどこまで差し込むかによって、難しさが変わります。深く差し込めば軽く押すだけで入りますが、浅く差すと難しくなります。
その「ちょうどいい加減」を、やりとりしながら探っている様子も、ぜひ動画でご覧ください。

28:ペットボトルに紙くずを入れよう

(Instagram投稿動画:28「紙屑まとめてペットボトルへ」)

紙をビリビリに破く遊びも、とても良い手のあそびです。今回は、その次のステップとして楽しめる遊びをご紹介します。
パパが紙を小さく丸め、娘がそれをペットボトルに入れるというシンプルな遊びです。この中では、左手でペットボトルを支え、右手で紙を入れるといった両手を協調して使う動きが見られます。
また、紙をもっと小さく丸めると「つまむ」動きが増えて指先の細かな操作が育ちますし、「細長い筒」に変えると、今度は指を伸ばして押し込むような別の動きが促されます。
このように、ちょっとした工夫で遊びのバリエーションが広がり、手の使い方や体の動きの学びも深まっていきます。

29:シュート!する遊び

(Instagram投稿動画:29-1「ダンクシュート!(座りver)」29-2「ダンクシュート!(四つ這いver)」

おもちゃの箱やお菓子の箱に穴をあけて作ったおもちゃで遊んでいます。
穴に物を入れられたとき、嬉しそうに手をたたく娘の姿がとても印象的です。まるで「やった!」と言っているようです。
穴の大きさによって難しさを調整できますし、箱を高くすれば膝立ちして入れることを促せます。

パパは、ボールを転がして渡したり、手渡ししたり、時には少し隠してみたりと、いろいろな工夫をしています。
もちろん、優しく渡すやり方も良いのですが、時には少し「ただじゃ渡さないパパ」に変身してみるのもおすすめです。そうすると、娘はいつもと違うパパの動きに注目し、動画のように「まだ持っているんじゃないの!?」とパパの手を取るような反応を見せてくれます。
こうした人に注目して関わることも育てていきたいと思っています。ぜひ動画で、パパとの楽しい駆け引きをご覧ください。

30:筒に棒を入れる遊び

(Instagram投稿動画:30「おみくじ装置にIN」)

サランラップの芯に棒を入れて遊んでいるのを見て、そこから発想を得て作ったおもちゃです。
プラスチック製の水筒とプラカップ、そしてサランラップの芯を組み合わせて作っています。サランラップの芯の中から棒を入れると、水筒の中にストンと入っていく仕組みです。ひっくり返したときに、棒がスムーズに出てくるように調整しているのがポイントです。
子どもたちは、「出たら入れたい」「入れたら出したい」と、繰り返すことが大好きです。この“出し入れ”のくり返しは、手と目の協調や因果関係の理解にもつながります。

【解説】作業療法士から見たこの遊びの「ここがすごい!」

27・28:まずは「押し込んで」みよう

今回は「物を入れる」遊びがテーマですが、実はその前段階として「押し込む」動作から始めています。
遊びを広げるコツは、子どもに「おいしい場面」を持っていってもらうこと。
例えば今回の遊びでは、パパがネームタグをギリギリまで差し込んでおき、娘の手が偶然ポンと当たって落ちた…!そんな「偶然の成功」から、子どもたちの遊びの幅が広がります。
押す向きもポイントで、まっすぐ(垂直)に押し込まないと入りません。
娘はよく狙って、指先を細かく動かしながら真上から押している様子が見られました。
似たような遊びに、「ふすまに指で穴をあける」もありますね(遊びとしては少し困りますが…)。
子どもたちは“押す”“破る”といった感触のある遊びも大好きです。押す経験を通して、「こうすると入るんだ」と動作と結果のつながりを学んでいく…そんな場面の遊びでした。

29・30:目的達成のためにはいろんな要素がある!

この2つの遊びでは、娘が周囲の物や環境に合わせて、自分の体を使おうとしている様子に注目です。
ボールをシュートする遊びでは、「ボールちょうだい」とパパに視線を送り、パパの「ここに入れて!」というメッセージを受け取って行動しています。
ボールを拾いに四つ這いで移動し、ボールを掴み、左腕で体を支えながら右腕を上げ、手をうまく開いてシュート! 一見シンプルな遊びに見えますが、実は多くの動きとやりとりが詰まっています。
棒を入れる遊びでも、穴に入れるためには棒の持ち方を工夫する必要があります。動画の娘も、最後には「棒の端を持った方が入れやすい」ことを自分で発見していました。
また、装置が長いため、ひっくり返すのも一苦労。ひっくり返すときには、両手をうまく連動させる必要があります。

このように、何気なく行っている動作を細かく分解して考えることを「工程分析」といいます。
作業療法士は、子どもの様子をこのように分解して捉え、「どこができていて、どこがこれからの課題か」を丁寧に見ていきます。
さらに言えば、一見うまくできていないように見える中にも、実はできている部分がたくさんあります。そうした「できているところ」を見つける視点こそが、親子遊びをより楽しく、前向きにする秘訣だと思います。

次回は、「はいる」をテーマとしたお家で出来る遊びをご紹介します。お手元に段ボールがあるご家庭は、ぜひ捨てずにお待ちください。

≪≪≪前回の記事:『「物を取り出す」遊び Part2 (ハイハイ~歩き始め期)』

福永 寿紀
執筆者作業療法士、おもちゃコンサルタント
福永 寿紀
2児の父です。作業療法士として発達領域で勤務していた経験があり、現在は大学で教員をしています。作業療法士仲間と、発達×アナログゲームをテーマに動画配信中⇒【ネコさんとカメさん『発達とボードゲーム』チャンネル】、親子遊びをInstagramで投稿中⇒【hisanori.f】で検索してみてくださいね。

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