遊ぶ作業療法士パパが実践した 親子でふれあい遊び

作業療法士パパが実践した「物を取り出す」遊び Part2 (ハイハイ~歩き始め期) 作業療法士パパが実践した親子でふれあい遊び #9

2025.09.19

子どもが楽しく成長していくために、作業療法士で2児のパパが実践した親子のふれあい遊びを紹介します。

作業療法士パパが実践した「物を取り出す」遊び Part2 (ハイハイ~歩き始め期) 作業療法士パパが実践した親子でふれあい遊び #9

皆さまこんにちは。作業療法士の福永と申します。
このシリーズでは、私が実際に娘たちと遊んできた経験をもとに、親子でのふれあい遊びを紹介しています。
私は、遊びの内容だけでなく「子どもたちとどうやって関わるか」「子どもたちにどんなふうに寄り添うか」もとても大切だと思っています。そんな想いから少しずつお話を綴っています。

今回は「物を取り出す」パート2として、より細かな動きを使った遊びをご紹介します。ご家庭にあるもので出来るものばかりですので、是非、お子さまと一緒に遊んでみてください。

また、紹介している遊びを集めると日めくりカレンダーになるように、番号をつけながらカードのようにしています。実際に遊んでいる様子も見られるように動画のリンクを貼っておりますので、是非そちらの方もご覧ください。

目次


家にある物+αで遊ぼう

【実践】親子で「物を取り出す」遊びを楽しんでみた

23:洗濯ばさみを使った遊び

24:ストローを使った遊び

25:新聞紙を使った遊び

26:シンデレラフィットから始まる遊び

【解説】作業療法士から見たこの遊びの「ここがすごい!」

23:いろんな姿勢でバランスを取ろう

24:指先にぎゅっと力を入れよう

25:両手で細かい動きに挑戦

26:欲しい気持ちを活かして挑戦

家にある物+αで遊ぼう

今回は、家にある身近なものを使った「物を取り出す遊び」をご紹介します。
前回お伝えしたように、この遊びには「集中力」「触覚あそび」「全身を使った力加減」など、発達に大切な要素がたくさん含まれています。
しかも、身近なものを使うのでお金はかかりません。 「ちょっと遊びたいな」と思ったときに、サッと取り入れられる手軽さも魅力です。
実際にやってみると、大人の方も「こう工夫してみたらどうだろう?」と想像力が刺激されるはず。 親子でアイデアを出し合いながら、楽しい時間を一緒に過ごしていただけたら嬉しいです。

【実践】親子で「物を取り出す」遊びを楽しんでみた

23:洗濯ばさみを使った遊び

(Instagram投稿動画:23「カラコロツリーでいろんな姿勢を」)

パパが家にあるおもちゃに洗濯ばさみをつけ、娘がそれを取って遊んでいます。
このおもちゃは「カラコロツリー」と呼ばれ、本来は球を上から転がすと心地よい音が流れる仕組みです。今回は少しアレンジして使用しています。
この頃の娘は立ち始めたばかりで、親としてはしっかり立ったり座ったりしてほしい時期です。カラコロツリーのいろいろな場所に洗濯ばさみがついているため、取るために様々な姿勢を取り、移動し、転ばないように踏ん張りながら遊んでいます。
我が家ではカラコロツリーを使いましたが、家のカーテンやぬいぐるみ、本棚など、洗濯ばさみをつけられる場所は身近にたくさんあります。徐々に広い範囲に取り付けて「洗濯ばさみ探し」に発展させるのも楽しそうですね。

24:ストローを使った遊び

(Instagram投稿動画:24「ストローつまんで引き抜く遊び!」)

これは、段ボールに穴を開けその穴に紙ストローを差し込んだ遊びです。
娘は紙ストローをつまんで引き抜いて遊んでいます。前回に比べて、「つまむ」という動作が加わったのが進化したポイントです。
紙ストローでなくても、鉛筆など細長い棒であれば遊ぶことができます。
今見返すと、ストローの先にキャラクターのシールを貼ってもよさそうです。 また、段ボールに穴を開けただけなので、引っかかってすぐに抜けない抵抗感も面白さのひとつ。遊ぶときは肩からしっかり力を入れて取り組んでいます。

25:新聞紙を使った遊び

(Instagram投稿動画:25「紙破りをした後はキャベツ作り」)

これは、紙を破って遊んだあとに、パパがそれを丸めてキャベツのようにしたものを、娘がもう一度剥いでバラバラにして遊んでいる場面です。
以前ご紹介した【20:ティッシュ抜き遊び】が両手の協調運動の入門編だとすると、今回はそのバージョンアップ。写真のとおり、片手で丸めた新聞紙をしっかり押さえ、もう片方の手でつまんで剥がしています。
どんどん小さくなっていくため、難易度は上がりますが、娘は集中して取り組んでくれています。

26:シンデレラフィットから始まる遊び

(Instagram投稿動画:26「きっとある!家の中のシンデレラフィット」)

上の写真は綿棒ケースです。布製のブロックを入れるとぴったりはまりました。
さらに、綿棒ケースにボールを入れておくと、娘はボールを取るためにブロックを引き抜いて遊んでいます。動画を見ると分かる通り、布製ブロックを「引き抜き」、綿棒ケースを「ひっくり返す」など、複数の手の動きが自然に出ています。いろいろな手の使い方をしているのを見ると、パパとしても嬉しくなります。
家の中でぴったりはまるものを探して遊んでみてください。我が家では、ブロックの形に合わせておもちゃの箱を切り抜き、シンデレラフィットを作っていました。ほかにも、お弁当箱やふたつきのお菓子の箱、ビンなど、身近なものでも楽しめると思います。

【解説】作業療法士から見たこの遊びの「ここがすごい!」

23:いろんな姿勢でバランスを取ろう

前回の【22:安定するからこそ色んなことができる!!】でも、体幹の育ちを応援する大切さについて書きました。今回の遊びはそのバージョンアップ版です。
立つ、中腰、しゃがむなど、さまざまな姿勢でバランスを取る動きは、揺れや傾きをしっかり感じる経験になります。そしてそれに応じて体に力を入れる動きが自然に促されます。
同様の遊びをさらに発展させた例として、飛び石渡りや平均台渡りがあります。感覚を感じ取り、自分の体を調整する経験は、様々な運動能力の基盤となります。

24:指先にぎゅっと力を入れよう

指先を使う作業は、文字を書いたり絵を描いたり、食具を使ったりと、この先の日常生活でたくさん出てきます。だからこそ、指先を使う楽しい遊びをたくさん体験してほしいと思っています。

手の指は5本ありますが、役割がそれぞれ分かれています。
・親指、人差し指、中指(1〜3指):物をつまんだり押したり、細かい操作に使います。
・薬指、小指(4〜5指):手全体の安定性を支え、しっかり握るために働きます。

写真や動画でも、紙ストローをつまむときには親指・人差し指・中指が活躍しているのが分かります。
この両方の働きを育むためには、いろいろな物に触れ、いろいろな持ち方・使い方・動かし方を体験することが大切です。

25:両手で細かい動きに挑戦

この遊びはアレンジしやすいのも魅力です。
例えば、新聞紙キャベツの中に小さなお宝を入れておくと、最後に「やったー!」と大喜び。途中で「これにも入ってるのかな?」とワクワク感を持って取り組めます。
また、床や壁にシールや養生テープ・ガムテープを貼って剥がす遊びもおすすめ。端を少しめくっておくと、子どもが自分で始めやすくなります。
剥がした先に好きなキャラクターが隠れている…なんて遊び方も楽しいですね。

26:欲しい気持ちを活かして挑戦

今回の遊びでは、「これ欲しい!」という娘の気持ちが原動力になっている場面が多く見られました。
運動や体験は子どもたちの発達にとってとても大切ですが、単調な作業で「これを10回引き抜きなさい!」と指示だけ与えてしまうと、子どもは受け身になり、体験が発達につながりにくくなります。
遊びの中で「やりたい!」という気持ちを引き出す方法のひとつとして、「欲しい!」を上手に活用することはとても有効です。子どもが自ら動くことで、自然に手先の操作や問題解決力を育むことができます。



最後に、動画を見ていただくと、娘が取り出したあとに「入れよう」としている様子が分かると思います。
一般的に、「出す」動作は先にできるようになり、「入れる」はその後に発達します。

今回はパパが入れて娘が出す遊びでしたが、次回は「物を入れる」をテーマに、発達の段階に沿った遊びをご紹介したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

≪≪≪前回の記事:『「物を取り出す」遊び Part1 (ハイハイ~歩き始め期)』

福永 寿紀
執筆者作業療法士、おもちゃコンサルタント
福永 寿紀
2児の父です。作業療法士として発達領域で勤務していた経験があり、現在は大学で教員をしています。作業療法士仲間と、発達×アナログゲームをテーマに動画配信中⇒【ネコさんとカメさん『発達とボードゲーム』チャンネル】、親子遊びをInstagramで投稿中⇒【hisanori.f】で検索してみてくださいね。

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