遊ぶ作業療法士パパが実践した 親子でふれあい遊び

パパも一緒に盛り上がろう!遊びは共同制作(ハイハイ~歩き始め期) 作業療法士パパが実践した親子でふれあい遊び #2

2024.11.02

子どもが楽しく成長していくために、作業療法士で2児のパパが実践した親子のふれあい遊びを紹介します。

パパも一緒に盛り上がろう!遊びは共同制作(ハイハイ~歩き始め期) 作業療法士パパが実践した親子でふれあい遊び #2

皆さまこんにちは。福永と申します。
作業療法士の私が、実際に娘たちと遊んでいる姿をご紹介しています。
「どんな遊びをしているか」も、もちろん大切ですが「どうやって遊ぶか」の大切さを伝えたくて、連載させていただいています。
前回は「パパは最高のおもちゃになる」をテーマにお話させていただきました。
今回は「パパと一緒に盛り上がろう」をテーマに遊びをご紹介します。

また、紹介している遊びを集めると日めくりカレンダーになるように、番号をつけながらカードのようにしています。実際に遊んでいる様子も見られるように動画のリンクを貼っておりますので、是非そちらの方もご覧ください。

目次


どうやって遊びに誘うの?

実践 一緒に遊んでみた

 03:まずは協力プレイ。娘の遊びの幅が広がった

 04:大人が帳尻合わせて大成功!一体感が生まれる遊び方

解説 一緒に遊んで盛り上がることがなぜいいの? 2つの理由

どうやって遊びに誘うの?

「どうやって遊びに誘うの?」と思う人も多いのかなと思います。
遊び始めって難しくないですか?
遊びの内容については、書籍や動画などで幅広く紹介されているかと思います(私もその一人)。
面白そうだな、やってみたいな、とは思うもののどうやって子どもを誘えばいいのでしょうか。
つい、遊びを提供する側と遊んでもらう側のような関係になることってありませんか?逆に、大人の方が飽きちゃって困るということはありませんか?
私もそんな時、どこかで「遊びは子どもがするもので大人はそれに付き合ってる」と思ってしまう自分に気付くことがあります。
遊ばせなきゃ!ではなく一緒に遊ぼう!!これが今回のテーマです。

実践 一緒に遊んでみた

03:まずは協力プレイ。娘の遊びの幅が広がった

(Instagram投稿動画:03「まずは協力プレイから始める!」)

紙を使って破る遊びをしているところです。
さて、何から始めましょう。
人の発達を考えた時に、「発達の最近接領域」という考え方があります。これは、行うことには「自分一人でできること」「一人ではできないけど少し手伝ってもらえばできること」「手伝ってもらってもできないこと」があり、発達にとって大切なことは「一人ではできないけど少し手伝ってもらえばできること」という考え方です。
ちょっと頑張ったら出来るくらいが楽しいのです。

そして、そのすこし手伝う方法の1つは、見本を見せることです。
上の写真は、紙を一緒に千切りたいなぁと思った私が、娘に紙を差し出します。娘は何となく紙をつかむのですが、その時に私が手を動かし紙を千切っています。すると、二人で紙を千切れた経験になります。
「やったね!紙千切れたじゃん」「持っててくれてありがとう」など、声掛けも出来ます。そんな姿を見て、娘は「え、これ千切れるの?面白そう」と分かってきます。

更にもう一つポイントは、すぐに千切れるように仕込んでおくことです。
私の遊び方では始めは手が偶然当たっただけで千切れるくらいから始めます。
偶然でも、やってみて出来た!→え、じゃあもう一回!とだんだん遊びが深まっていきます。

04:大人が帳尻合わせて大成功!一体感が生まれる遊び方

(Instagram投稿動画:04「一緒に協力して成功へ!」)

つづいては、大人が辻褄を合わせちゃおう!がテーマです。
この頃の娘はハイハイが出来るようになってきました。ハイハイは、とっても大切です。早く立つことができるようになると、なんだか喜ばしい気持ちになりますが、私は立つよりハイハイ!そんな感覚です。

ハイハイは、移動の際に手足を浮かすので、浮かした際にバランスを取ること、手と足を連動させて動かすこと、自分の体重を腕でしっかりと支えることなど、たくさんの発達に関係してきます。
とってもとっても大切です。

ハイハイをしながら一緒に楽しみたいな、と思った私は「パパトンネルくぐり」をして遊びました。
向かい合った親子が互いに近づきながら、娘が私の下をハイハイでくぐります。
娘は面白そうにしていたので、次はこちらも四つ這いすると顔が近づいてもっと面白くなり…。
そんな中、娘が急に私から逃げるように逸れ始めました。
このままではくぐれない(失敗!?)ので、私も娘に合わせて回り込み、結果的にくぐれて成功できた場面を演出しました。

私が大切に思うことは「こっちだって!」「なんでくぐらないの!」「ちゃんとやってよ」と子どもをこちらのしたいことに合わせるのではなく、まずはこちらが合わせて動くと楽しくなりますよ!いうことです。
例えばキャッチボールの時には、相手の投げた球が逸れても合わせて動いてキャッチしますよね。二人で動いた結果、成功出来れば良いのです。
こうして盛り上がって遊んでいくと、次に娘はニヤニヤしながら私を避け始めます。逃げたい娘vsくぐらせたいパパの面白対決が始まるのでした。

解説 一緒に遊んで盛り上がることがなぜいいの? 2つの理由

今回も、前回に続いて2つの遊びをご紹介しました。
一緒に遊びを共有する体験そのものが、大人にとっても子どもにとっても良いものをもたらすということは皆さんも想像いただけるかと思います。

一緒に楽しく遊ぶと信頼関係が育まれたり、子どもも「自分を見てくれている」と満足感を得られます。
子どもも大人と楽しい経験をすると「もっと遊びたい!」と思ってより関わりを深めようとします。これはコミュニケーションの始まりになります。
コミュニケーションは、人と関わりたい気持ちから育まれます。
他にもいろいろと良い点はあるかと思いますが、もう2つほど紹介していきます。

1つ目 スモールステップで遊びを進められる
人はやってみて、成功して、もっとやりたい、をどんどん繰り返して、どんどんステップアップしていきます。
このサイクルをたくさん経験してもらうために、一つ一つのステップを子どもたちが乗り越えられるように調整することは大切なことです。
ステップをどれくらいの高さにしたらいいのかな?と適宜調整できるのは、やっぱり人です。
例えば、今回の「パパトンネルくぐり」も、大人の足の開き方で難易度は変わります。大人はまずは大股で遊びましょうね!

2つ目 お互いに楽しく遊べる
時に大人は設定した目標に達したか達していないかで良し悪しを判断しがちです。
遊びの結果は、子どもの出来不出来ではなく、一緒に遊んでいる人たちの共同作品のようなものだと考えています。
一緒に良い作品を作ろうね、と思えば相手がやりやすいようにどうしたらいいかな、と考えやすいのではないかと思います。
また、雰囲気づくりも大切です。同じ遊びでも、一緒に行う人が怖い顔をした人と楽しそうな顔をした人、どちらが行いたくなるかは明白です。
子どもが遊び体験を通して育むコツに「主体的」という言葉があります。
自らやってみたい、と思って行ってみたことは吸収が良いのです。
やりたくなるような雰囲気のためには楽しそう、自分の好きな大人が楽しんでいる、というのは大切なことです。

余談ですが、私は保護者の方とお話する際に「北風と太陽」をたとえ話としてよく出します。
独自の解釈になりますが、ムリヤリやらせようとするのではなく、やりたくなるように誘う…そのために、まずは大人も一緒に行い、協力することが大切だと考えています。

次回は、「大人が子どもの真似をする遊び」をテーマに、遊びやその際の関わり方について紹介します。引き続きよろしくお願いいたします。

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福永 寿紀
執筆者作業療法士、おもちゃコンサルタント
福永 寿紀
2児の父です。作業療法士として発達領域で勤務していた経験があり、現在は大学で教員をしています。作業療法士仲間と、発達×アナログゲームをテーマに動画配信中⇒【ネコさんとカメさん『発達とボードゲーム』チャンネル】、親子遊びをInstagramで投稿中⇒【hisanori.f】で検索してみてくださいね。

作業療法士パパが実践した 親子でふれあい遊び

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