パパは最高のおもちゃだった。目があう遊びで安心感を(ハイハイ~歩き始め期) 作業療法士パパが実践した親子でふれあい遊び #1
2024.10.06
子どもが楽しく成長していくために、作業療法士で2児のパパが実践した親子のふれあい遊びを紹介します。
皆さまこんにちは。福永と申します。
私の職種は作業療法士です。
作業療法士は、いろいろな領域で活躍をしていますが、私は発達領域の作業療法士です。
これまでに児童発達支援事業所、放課後等デイサービス、こども発達支援センターなどに勤務をし、さまざまな子どもたちと遊び、育ちの応援をしてきました。
子どもたちの発達や特性は十人十色ですが、その子らしく育ち、やりたい作業ができるようになり、元気になっていく、そんなことを応援する職種です。
私は発達領域の作業療法士としての経験を活かしながら、試行錯誤しながらも楽しく娘たちと遊んでいます。
私は、現在「遊んで満足!作業療法士パパの親子遊びカレンダー」と題し、子どもと楽しく遊ぶ秘訣を日めくりカレンダー形式でまとめている最中です。
今回、そのカレンダーの中から、発達の意義や子どもと交流する時のコツなどを添えながらご紹介したいと思います。
作業療法士は、その子らしい育ちを応援する専門家~カレンダーを作ろうと思ったワケ~
皆さんは、子どもたちと遊ぶことは好きですか?
遊ぶことがこどもたちの成長にとって大切だ、ということは多くの方が感じられていることだと思います。
しかし一方で、
「何して遊べばいいか分からない!」
「この遊び方で合ってるの?」
と正しく遊ぶ、という点でお悩みの人も少なくないと思います。
そんな悩みを受けてか
「これをすれば育つ!発達する!」といった文言も目にすることが増えました。
私は、発達領域で作業療法士として働くなかで、いろんなお子さんといろんな遊びをしてきました。
もちろん、こういう遊びをすればこういう発達が期待できる!と狙い計画はします。
しかし、そもそも子どもたちは出来る・楽しい・面白いことしかしませんし、そんな体験が次の挑戦を促し、育ちに繋がります。
そう考えた時に、私は、「どんな遊びをするか」と同じくらい「どうやって楽しむか」がとても大切ではないかと考えています。
とりあえずでも楽しくたくさん遊んでいる中には子どもたちの育ちを応援する要素はたくさんあるはずです。
どんなに栄養価が高い食材も、おいしくいただいてこそです。
おいしくいただくコツを、子どもと関わる大人の方と共有したいと思い、カレンダー(下記画像参照)の作成を始めました。
このカレンダーを作成する際、もっとも大切にしているのは
・ 子どもたちをよく見て
・ 子どもたちと交流し
・ 一緒に楽しむ
この3点です。
子どもたちが笑ったり、喜んだり、楽しんだりする姿を見て「やってやったぜ!」と喜ぶ方が増えると嬉しいなと思います。
今回の連載では、娘が「ハイハイ~歩き始め」た時期に親子で遊んだ記録をご紹介します。
カレンダーの下のリンクから、実際に遊んでいる動画を見ることができます。是非、そちらもご覧ください。
実践 パパがおもちゃになってみた(ハイハイ~歩き始め)
01:洗濯ばさみで挟まれてみたら、目と目が合った
まずは、パパの服に洗濯ばさみを付けてみましょう!
この頃の娘は、物を掴むことが好きになってつかまり立ちも始まった時期でした。
そんな娘を遊びにどうやって誘うか、大人が遊びにどう参加していくか、なかなか悩ましいところですよね。
私が考える一緒に楽しむコツの1つは、自分がおもちゃ役になる、ということです。
自分の服に洗濯ばさみをたくさんつけて「どうしよう、何かついてる!」「助けて~」など子どもを誘ったり、取ってくれた時には「ありがとう」「助かったぁ」など声をかけてみると良いかなと思います。
さらに、私は髪の先に洗濯ばさみを付けています(髪の毛が抜けるかもしれないのでギリギリにつけるのがオススメ)。
これが娘にはヒットしました。ユラユラ揺れている物にも興味津々です。
洗濯ばさみを取った後、娘は洗濯ばさみを私のおでこにグリグリ当てて「もう一度つけなさい!」と言っているようでした。
02:子どもが好きな物を頭に乗せてみたら、初めて歩いた
(Instagram投稿動画:02「子どもが好きな物を頭に乗せよう」)
つづいて、娘が好きなおもちゃ(私の場合、カラフルな布や布製の絵本)を頭の上に乗せてみましょう!
頭に乗せて目の前に行くと、娘も何か違和感に気付き、頭に乗っている物を自ら「えいっ」と取っています。
頭の上の物は取ってくれる!と分かったので、次に1,2歩分だけ離れて待っていると、頭の上の布を取ろうとして歩きました。
この時が、娘の初めて歩いた記念すべき瞬間でした。
この遊びの中で大切にしたいことは、「練習!練習!」とならず、子どもたちにとっての意味を考え、「やりたい」を育てることです。
子どもたちがなぜ遊ぶか、といえばそれは「やりたいから」です。
娘の場合は私の頭から布を取りたいので結果的に歩きました。
これは、年齢問わずいろんな場面で使えると思います。
例えば、字を書く練習!ではなく、「買い物のためにメモを取ろう」「手紙を友達に書こう」というところから字を書きたい気持ちや、字を書く必要が出てきます。
もちろん、この時も取った時には一緒に「イエーイ」と盛り上がります。
パパが最高のおもちゃになる4つの理由
今回は、2つの遊びをご紹介しました。
パパが子どもにとって最高のおもちゃになりうる理由を、沢山ある中から4つ紹介します。
1つ目 リアクションが適宜行える
おもちゃでも、ボタンを押して音が出たら面白いですよね。私たちは狙った反応がもらえると楽しくなります。
このように、反応・リアクションがある、ということは子どもたちにとって楽しさやもっとやりたい気持ちに繋がります。
喋ることだけがリアクションではないので、表情を変えたり、動いて見せたり…
動画でも、子どもの動きに合わせて効果音を言ったり、動きを加えています。
娘が振り回したおもちゃに合わせて私も顔を振って遊んでいる所です。これがしたいので、娘も繰り返し頭から布を取ろうとします。
2つ目 大人が子どもに合わせて難易度を調整できる
動画の中で、私は服をピンと張って取りやすいようにしています。取りにくそうにしている時には高さを適宜変えてあげたり、注意が向かない時には子どもたちの目の前に移動することもできます。
「Just right challenge」と表現されることがありますが、日本語で言えば「ちょうどよい挑戦」。これが遊びに夢中にさせるコツといわれています。
ちょっと頑張ったら出来るくらいが一番楽しいのです。
人がおもちゃになることで、この加減が行い易くなります。
3つ目 子どもと目が合う
目が合うことは、コミュニケーションの基盤です。
おもちゃの近くに顔を持っていき、顔を見てもらうということがとても大切です。
私は子どもたちに「人間って面白いんだよ!」と分かってもらいたいと思って遊んでいます。「私が遊んでいるんです!」とアピールするといった側面もあります。
子どもたちは面白いからこそまた関わりたくなるし、関わりたくなるからコミュニケーションを取ろうと思ってくれます。
4つ目 遊びの中で自然にスキンシップが取れる
今回紹介した遊びの中では、手すりとして私の肌や服に触れています。
いろいろな質感の物に触る・触覚は、いろいろな仕事をしてくれます。
例えば、肌と肌が触れ合うことや、心地よい感触の物に触れることは情緒を安定させてくれます。また、他の人や物に触れることで自分の体の形を知ることに役立ちます。
他にも、目で見て狙ったものを取るのは「目と手の協調動作」といって私たちが何かをするためには欠かせないことも練習できます。
動画、写真でご覧いただいたように、自分の体を自分で支えたり、バランスを取ったり、いろいろな要素が含まれています。
今後紹介する遊びでも、どんな育ちを応援するかご紹介していきますね。
次回は、「子どもと協力プレイで遊ぶ」をテーマに、遊びやその際の関わり方について紹介します。引き続きよろしくお願いいたします。
作業療法士パパが実践した 親子でふれあい遊び
遊ぶ育む2024.10.06