遊ぶ子どもの「食べる力」が育つ おうちでできる心がけ

離乳食卒業後の子どもたちには、食につながる多くの体験を-子どもの食べる力が育つ心がけ#4

2021.07.23

離乳食を卒業した子どもたちは、お手伝いや収穫など多くの体験をすることで食が豊かになっていきます。連載第4回目。

離乳食卒業後の子どもたちには、食につながる多くの体験を-子どもの食べる力が育つ心がけ#4

離乳食を終えて大人とほぼ同じものを食べられるようになったお子さん。家族で同じ食卓を囲めるのは嬉しいですね。

子どもは大好きなお父さんお母さんと一緒、というのを喜ぶので、大皿に盛って各自に分けていただくようなスタイルもきっと喜びます。大皿の中にこっそりお子さんが食べやすい形に切り分けたものを混ぜて、上手に「一緒」を演出しましょう。

この時期の子を持つ親御さんに伝えたいことは4つ。

1:食事作りを一緒にしましょう
2:畑や農場などに出かける機会を持って、食につながる体験をしましょう
3:ままごと遊びはぜひ一緒に
4:誰かと食事をする機会をなるべくたくさん作りましょう

1:食事作りを一緒にしましょう

まだお手伝いなんて難しい…と思われるかもしれませんが、この時期の子どもは親の真似をすることが大好き。どんなことでもいいので“一緒に作ったごはん”を演出できるようお手伝いをしてもらいましょう。
お皿やお箸を並べる、飲み物をコップに入れる。トースターや炊飯器のスイッチを入れる。そんなことでもきっと嬉々としてやってくれます。

 

心構えのコツは“効率を求めないこと”。
例えばお皿は1枚ずつ何度も往復しながら運びます。お箸も1膳(もしかしたら1本)ずつ。まずはやって見せて 2回目は一緒にやって 3回目は任せてみる。毎日1つずつで大丈夫。
食事作りに参加することで“もうすぐごはんの時間だぞ!”と心の準備をすることができます。そして自分はお客様ではなく家族の一員であると感じることもできるでしょう。

2:畑や農場などに出かける機会を持って食につながる体験をしましょう

私の運営する「親と子の自由空間ほっと」では、季節に1度収穫体験の企画を開催しています。
0歳のお子さんから参加しますが、最初は土遊びからスタートです。先日のじゃがいも掘りでは土の中からじゃがいもが出るのが楽しくて、ちょっとした宝探しのようでした。
近所に畑があるのなら作物が育つ様子を見せてもらったり、個人商店に行って魚をさばくところや肉を切るところを見せてもらうのもいいですね。果物狩りも楽しいです。

いただきますと言って口に運ぶ[ごはん]は自然の中で育まれ、誰かに育てられ、そして調理されて目の前に届くのだということを、言葉ではなく体験を通して伝えていきましょう。

3:ままごと遊びはぜひ一緒に

子どもは、男の子も女の子もおままごとが好きです。男の子には不要?なんて時代錯誤なことは言わず、ままごと遊びをたくさんしてください。

素敵なおままごとセットがなくても大丈夫。緑の折り紙を手でちぎってプリンのカップに盛ればサラダ。白い毛糸を適当な長さに切ってお椀に入れればうどん。本物を使うのはさらに好きですので、小さめのお鍋や使っていないお玉を貸してあげてもきっと喜びます。

ままごとで作った料理をあなたに持ってきてくれることもあるでしょう。そんな時こそチャンス。伝えたい食事のマナーをあなた自身がやって見せてください。
大きな声で「いただきます」。口をよく動かして噛んで食べる、食べ終わるまで席から立たない、「おかわりください」「ごちそうさま」。
そんなことも遊びの中でやって見せることで伝わっていきます。

4:誰かと食事をする機会をなるべくたくさん作りましょう

コロナ禍でとても難しくなってしまいましたが、誰かと一緒に食事をするのはとても大事です。ひとりぽっちで食事をさせることはできる限り避けたいですね。
仕方なく1人で食べさせる時も、必ず誰かがそばに座って食事の時間が楽しい時間になるように心を配ってください。

親子だけだと新しい食材や調理法に挑戦するのはちょっと勇気がいりますが、たくさんの人で食べるとそれだけ多様な料理が食卓に上がります。
食べる食べないは置いておいて、いろんな料理やそれをおいしく食べている人を見ることが豊かな食につながっていきます。

* * * * * *

同じようなものが食べられるようになったとはいっても、まだ歯が全部生えてませんし消化器官も完全に整っていません。 離乳食の時期が教習期間なら 1歳半から3歳位のこの時期はまだ仮免か若葉マーク。食事のマナーや楽しさが身についているわけではありません。
さまざまな体験を通して、一緒に過ごしている大人があるべき姿を見せていきましょう。

次回は幼児期のお話。
集団生活の中で、親のいないところで食事をする機会が増えてきます。周りの人と楽しくおいしいごはんの時間が過ごせるようになるために、親ができることをお伝えします。

次回の記事はこちらから≫≫≫

≪≪≪前回の記事はこちらから

石川 くに子
執筆者『親と子の自由空間ほっと』を運営。おもちゃコンサルタントマスター。
石川 くに子
おもちゃコンサルタントマスター。東京都昭島市で『親と子の自由空間ほっと』を運営し、親子のためのさまざまな講座やイベントを開催。「子どもたちの健やかな成長に少しでも力になることができますように。子どもを育てるママたちの楽しく充実した毎日を重ねていく力になれますように。そんな思いで運営しています。」

子どもの「食べる力」が育つ おうちでできる心がけ

この連載の記事一覧へ

遊ぶ育む2021.07.23