遊ぶ【連載】作業療法士が伝えたい 小さなおもちゃの大きな力

注意・推察する力 カードゲーム「レシピ」

2019.02.01

メニューに必要な具材を集めるカードゲームには、小さな子でも楽しめるポイントが。作業療法士が語るおもちゃのお話、第5回目。

注意・推察する力 カードゲーム「レシピ」

今回は比較的小さなお子さんでも楽しく遊べるカードゲームの紹介です。トランプやUNOを始め、さまざまなカードゲームがありますが、運動面や発達の遅れのあるお子さんにはちょっと難しい。でも「レシピ」なら、そういうお子さんでも、きっと楽しく遊べます。もちろん、大人同士で遊んでも楽しいですよ!

みんなでレシピ

小さいお子さんや成長の遅れのあるお子さんでもできるカードゲームを探していました。つまり手先の発達が遅かったり、自分の順番や何を出すかという判断が難しい成長段階では、できるカードゲームが少ないと思っていたのです。枚数が多くなったり、ルールが複雑になると考えることに集中してしまって、ゲーム展開そのものの面白さを感じられないからです。

例えば、UNOは色・マークのマッチングや枚数を取らせる「ドロー」などの複雑さに面白さがありますが、場合によっては枚数が増えていくことで、上手にカードを持つことができなかったり、手持ちのカードを認識して探すことが苦手な子どもには勝つことを難しくなってしまいます。

今回、ご紹介するカードゲーム「レシピ」は、具材を集めて料理を完成させるゲームです。最初に「メニュー」を引いて、そのメニューをつくる6種類の具材を集めます。例えば、「カレーライス」というメニューに必要な具材は「にんじん」「たまねぎ」「じゃがいも」「カレールー」「ごはん」「ぎゅうにく」の6種類で、これらの具材カードを早く集めた人が勝ちになります。
メニューカードには必要な具材6種類がイラストで描かれていますので、集める必要のある具材カードが視覚的にも理解できます。

最初に具材カードが6枚手札に配られ、残りは中央の場に伏せて置きます。その中に必要な具材カードがあれば自分の「キッチンカウンター」カードに伏せて置きます。
次に順番に場のカードをめくって、自分に必要な具材かどうかを見ます。必要なければ捨てます。このとき、他の人は、捨てられたのが自分に必要な具材ならば「レシピ!」と言って取ることができます。取った分、必要のない具材を捨てることで、手持ちの具材カードは減っていきます。
最後にキッチンカウンターに全ての具材が揃うと「できあがり」とメニューの完成です。

レシピのカード

このゲームのポイントを専門的に説明すると、
①枚数が多くならないので、持ちにくさを感じることがない(巧緻性がいらない)。
②文字だけだと理解しにくいお子さんでも、イラストで理解しやすい(視覚性認知)。
③ゲームを行う「集中力(集中性)」、順番や捨てられたカードに注意を向ける「注意配分」、
④どのカードが必要かということを覚えていられる「記憶(短期記憶)力」、
⑤相手のメニューを考える「想像力」、「推察力」などのいろんな能力が養われるゲームです。

特に、勝敗をわけるポイントは、⑤の誰が何のメニューでどの具材を欲しがっているかを知ることなので、相手の手札に気を配り、推察することが必要になります。

「レシピ」には基本的な家庭料理編から世界の料理編、沖縄料理編などメニューカードの種類によっていくつかのセットがあり、さまざまな食文化に触れることも興味深いですし、「うちのカレーは豚肉だけどだめ?」とか会話も弾み、交流の中でコミュニケーションを豊かにすることが可能です。

最後にダイエット中の人はこのゲームはやってはいけません。なぜならお腹が空いて大変だからです。ご注意を。

レシピパッケージ
松田 均
執筆者作業療法士、おもちゃコンサルタント
松田 均
発達障がい分野を専門にしています。おもちゃに一番詳しい作業療法士と呼ばれています。

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