遊ぶ【連載】高齢者施設におもちゃと遊びをお届け!アクティビティ ディレクター活動記

人生のフィナーレを輝かせたい!専門家たちがすすめる取り入れやすいおもちゃ・遊び

2020.02.07

高齢者のケアに関わる皆さん、おもちゃ・遊びを取り入れてみませんか?アクティビティディレクターの活動記・連載最終回です。

人生のフィナーレを輝かせたい!専門家たちがすすめる取り入れやすいおもちゃ・遊び

これまでの記事では、私の活動を通して、さまざまなおもちゃをご紹介してきました。
おもちゃや遊びのスペシャリストであるおもちゃコンサルタントと、高齢者福祉の専門家であるアクティビティ ディレクターが、施設の専門職と協力、連携しながらの活動です。
それぞれの専門性を活かしながらおもちゃ・遊びの楽しさや重要性を伝えて、もっと笑顔溢れるケアを現場に届けたい!人生のフィナーレを輝かせたい!という思いで活動をしています。

こうした活動について、少しでも知っていただければうれしく思います。
また、高齢者施設などにお勤めの方で、「私もおもちゃ・遊びを取り入れてみようかな」と思っていただければ、さらにうれしいです!

連載最終回の今回は、そんな方のために、すぐに取り入れられるおもちゃ・遊びをご紹介します。
加齢と共に低下しやすい身体機能の維持・向上や、コミュニケーションのツールとして、活用してみませんか?

1:深呼吸&お口の体操に「かざぐるま」

色鮮やかな風車を手に取ると、お年寄りは自然と笑顔になり優しく息を吹きかけてくれます。
はじめはゆっくり弱くても何度か吹いているうちに、だんだん強く長く息を吐くことができます。

高齢者は加齢と共に姿勢が悪くなり、背中が丸くなることで呼吸量が減ります。
そして、食べるものを噛む力や飲み込む力も低下しがちです。
お口の体操としてとしてかざくるまを吹くことで、腹式呼吸を促し口腔機能の維持が期待できるのです。
また、遊びながら無意識に口をすぼめて吹くことで、深呼吸を促します。
巻き笛やストローなどで行うことがありますが、かざぐるまなら衛生的で繰り返し使えます。

毎日の習慣として食前に行うと効果があると、施設の専門職の方がお話してくださいました。
いつまでも美味しく食べられることを目的に、「長息は長生き」、そんな願いもかざぐるまに込めて。

ただ、夢中になってしまうと息苦しさを感じる方もいらっしゃいます。心肺機能が弱い方には適さないこともあるので気を付けてください。

2:上半身の運動に加え、視覚や聴覚も刺激「羽根つき」

日本のお正月に行われてきた伝統的な遊びのひとつですね。
「この音がいいのよね」「羽根を落とすと上のきょうだいから墨を塗られて嫌だったわ」と懐かしい気持ちになります。
「この地域では昔、無患子の実に羽根を付ける内職が盛んだったのよ」とも教えてくれる方もいらっしゃいました。
病院にボランティアで訪問したときには、作業療法士の方が羽根つき遊びに興味しんしん。
羽根を落として遊びが中断しないように、羽根に紐を付けて打ちあってもらうように工夫しました。

羽子板を握り連続して上肢を動かうことで運動機能訓練に。
また、羽根を追視することや心地良い羽根をつく音で、視覚や聴覚も刺激。
遊びながら様々なリハビリ効果を見出していく現場の専門職の方達。
いつの間にか職員の方が夢中です。「いい汗かいたね」なんて笑いあって病棟が明るくなりました。

リハビリというと「辛いけど我慢して行う」というイメージがありますが、おもちゃや遊びアクティビティなら積極的に楽しんで行ってもらえるようになったり、現場の専門職の方とのコミュニケーションも深まったとの報告も頂きました。

番外編・アクティビティ探し&コミュニケーションのきっかけに!「日本伝承遊び事典」

おもちゃではありませんが、東京おもちゃ美術館が編集した「日本伝承遊び事典」は施設の職員さんにとても好評です。
普段のアクティビティにすぐにでも応用できそうな季節の伝承遊びから、地方色豊かな行事や祭り、わらべ歌、郷土玩具などがたくさん紹介されています。
お年寄りと一緒に事典を見ながら故郷の話を聞く。会話量が増え豊かなコミュニケーションの時間となります。ぜひ施設に置いて欲しい一冊です。

おもちゃ・遊びアクティビティを提供するときは、福祉の専門職の方々の意見やアドバイスもきちんと取り入れながら、お年寄りの認知度や介護度、残存機能を理解したうえで安全にアクティビティが行えるように配慮しています。
アクティビティディレクター、おもちゃコンサルタント、福祉現場の専門職の三位一体となったケアの実践がとても大事になってきます。
もし「アクティビティディレクター」「おもちゃコンサルタント」資格に興味をもたれた方は、「芸術と遊び創造協会」のホームページをご覧くださいね。

福祉文化は生活文化でもあります。
お年寄り一人ひとりの人生にそっと寄り添ってきてくれたおもちゃ達。
どんな時代も生きる力を育んでくれた遊ぶ力。

おもちゃや遊びには日本の福祉を変える力があるのではないかと、そう感じずにはいられません。
これからもアクティビティディレクター、おもちゃコンサルタントとして現場での奮闘は続きます。
お年寄りや施設で働く職員さん達の笑顔を引き出し「心が動けば身体が動く」心豊かな時間を提供していきたいと思います。

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小平 有紀
執筆者アクティビティディレクター、アロマセラピスト、おもちゃコンサルタント
小平 有紀
フリーのアクティビティ ディレクター。介護職員時代にアロマセラピーと出会い、アロマセラピスト資格を取得。また高齢者現場にもおもちゃと遊びアクティビティを広げたいとの思いからおもちゃコンサルタントを取得。現在は介護施設や地域の介護予防教室で、五感に響く「アロマ」と「おもちゃ」を活用したケアやストレッチの指導を行っています。

【連載】高齢者施設におもちゃと遊びをお届け!アクティビティ ディレクター活動記

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