遊ぶ日本三大秘境「椎葉村」に移住して考えた 子どもと暮らし

学年・性別が違ってもOK!遊び上手な子どもたち/日本三大秘境「椎葉村」に移住して考えた 子どもと暮らし3

2022.10.21

小さな子が混じっても、メンバーが変わっても楽しめる、臨機応変な「遊び力」はどこから?椎葉の子どもと暮らしをつづる連載第3回です。

学年・性別が違ってもOK!遊び上手な子どもたち/日本三大秘境「椎葉村」に移住して考えた 子どもと暮らし3

宮崎県椎葉村在住のおもちゃコンサルタント、池田文です。
普段は、村の交流施設でのおもちゃイベント企画、ベビーシッターとしての訪問保育、小さな学習塾の運営などを通して、地域の子どもたち・子育て中の親御さんと関わっています。

この連載では、山間の小さな村で育つ子どもたちを紹介しながら、子どもの育ちに関する私なりの気づき・学びを子育て中の皆さんや、保育や子どもに関わる皆さんと共有したいと思っています。

椎葉の子どもたちは、その場にいるメンバーみんなが楽しめるように、自在に遊ぶ力があると感じます。
今回は、椎葉の子どもたちの遊び方について触れてみたいと思います。

目次

遊び上手な年上の子どもたち

いるメンバーで、その場でできる遊びを楽しむ

関係性の上で成り立つ遊び

遊び上手な年上の子どもたち

椎葉の子どもたちは友だちと遊ぶのが大好きです。
特に、以前の記事でも書きましたが、椎葉の子どもたちは自分より小さな子をとてもかわいがり積極的に関わります。

遊びでも、小さな子を混ぜて遊ぶのがとても上手で、小さな子が一緒に遊びを楽しめるように自然にリードしたりフォローしたりしている姿が見られます。
鬼ごっこでも、小さな子にはゆっくり追いかけてあげたり、ドッジボールで優しく投げてあげたりと、大きな子に気持ちのゆとりがあるようです。

氷おにをする椎葉の子どもたち

氷おにをする子どもたち

いるメンバーで、その場でできる遊びを楽しむ

椎葉の子どもたちは、特別仲の良い子同士で遊ぶことももちろんありますが、その場にいるメンバーである程度まとまって遊ぶことが多いです。
それは、過疎地であり、元々の子どもの数が少ないことから、年齢・性別・好き嫌いを超えて一緒に過ごすことが多くなる傾向があります。

山間地のため、普段も自分で自由に家を行き来できる子どもは少ないため、友だち同士で過ごせること自体が楽しいようです。
十分なおもちゃや教材などがなくても、みんなが集まれば自然に遊びに展開していきます。雨の日の何もない室内でも、自分たちの身体一つで互いのまねっこや押しずもうなど「名前のない自由な遊び」をしています。

虫探しをする椎葉の子どもたち

みんなで虫探し

関係性の上で成り立つ遊び

その場にいるメンバーで遊ぶ時、ルールはそのメンバーに合わせたものになります。遊びながら、少しずつルールを変えていくことも多いです。
同一学年のみで遊ぶわけではないので、メンバーに応じた遊びでないと全員で楽しく遊びにくいからです。
そして、こうした臨機応変な遊び方は、互いの信頼関係やそれまでの遊びの積み重ねがあってできるのではないかと思っています。

というのは、教員のお子さんなど、毎年、都市部から毎年何人か、転入してくる子どもたちがいます。年度始めは、椎葉流の臨機応変な遊び方や過ごし方が理解できず、どちらかというと決まったやり方で遊ぼうとして、椎葉の子と衝突することもあります。
それが一緒に過ごすうちにいつの間にかお互いを理解して、あうんの呼吸で遊ぶようになります。

こうして自由に遊ぶ子どもたちの姿を見ていると、環境としてはやや不自由な面もありますが、椎葉での暮らしは子どもたちにとって、それぞれを受け入れながら自分たちのペースで過ごせる余地が、自然や地域の大人を含めてまだ多く残っているのではないかと感じます。

寒い日には縄跳び

寒い冬も、全学年で縄跳び

≪≪≪前回の記事「山仕事、農作業に神楽まで。大人への憧れがつなぐ地域の文化・風習」

池田 文
執筆者おもちゃコンサルタント。宮崎県の椎葉村で子育て支援に関わる。
池田 文
静岡県出身。2019年4月より、日本三大秘境椎葉村に移住しました。 前職が保育士だったこともあり、椎葉で育つ子どもたちに関心があります。先が見えない時代、子どもたちがいろいろなことに挑戦していける土台ってなんだろう? 椎葉にその答えがある気がしています。現在、村の交流施設でのおもちゃイベント企画、ベビーシッターとしての訪問保育、小さな学習塾の運営などを通して、地域の子どもたち・子育て中の親御さんと関わっています。

日本三大秘境「椎葉村」に移住して考えた 子どもと暮らし

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