遊ぶコロナ禍の全国を旅したおもちゃ箱のお話

手術した娘、留守番の子どもたち、どちらも元気づけてくれたおもちゃの力

2021.06.25

家族のピンチに届いたおもちゃ箱は、みんなを力づけてくれました。おもちゃと人の物語をお届けする連載、最終回は番外編として、コロナ前のエピソードです。

手術した娘、留守番の子どもたち、どちらも元気づけてくれたおもちゃの力

こんにちは。全国を旅するおもちゃ箱の管理人、きみです。

「全国を旅するおもちゃ箱」とは、東京おもちゃ美術館を運営する「認定NPO法人芸術と遊び創造協会」の会員特典、「おもちゃの宅配サービスセット」のこと。

この連載では、コロナ禍の2020年、おもちゃがどんな風に使われたのか、利用した方への書面インタビューをもとにレポートしてまいりました。

今回は「番外編」として、私が「宅配セット」管理人となってからずっと印象に残っていて、ぜひお話しを伺ってみたい!と切望した方をご紹介させていただきます。

コロナ禍前のご利用ですが、こんな活用方法もあったんだ!という気付きと、おもちゃの力を改めて再確認させていただき、その後のご家族のご様子も伺えて、とても有意義なインタビューとなりました。

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ストーリー6: 手術した娘、留守番の子どもたち、どちらも元気づけてくれたおもちゃの力/栗原理恵子さん(茨城県)

~宅配セットを利用しようと思ったきっかけは?

2019年9月、当時4歳の娘が手術を受けることになり、1週間の入院期間、私が付き添いをすることになりました。
自宅には、同じく4歳の双子の兄と小学生の娘2人がいます。
そこで、入院する娘と、自宅に残される子どもたち両方が楽しめるように、おもちゃの宅配セットを利用しようと思い立ちました。
20個近いたくさんのおもちゃが届きましたので、病室で使うおもちゃ以外は自宅に置いて、子どもたちがいつでも遊べるようにしました。

~病室と自宅、それぞれどのように遊びましたか?

病室では、音がなるべく出ない、軽くてコンパクトなおもちゃを選びました。
例えばカードゲームの「レシピ」や「かおレイヤー」、「ガーデンパズル」などのゲームやパズルです。
特に「レシピ」はすっかり気に入り、私と何度も病室で遊びました。点滴の腕でも遊びやすく、静かにできるので良かったです。
術後、声が出せるようになりプレイルームで遊べるようになると、お気に入りの「レシピ」を他の子に教えながら、初めてとは思えないほど打ち解けて笑い合う姿が印象的でした。一緒に遊んだ子どもの中には「レシピ」をクリスマスプレゼントにねだっていた子もいました。

(我が家での1コマです。「レシピ」「かおレイヤー」は、娘たちもお気に入りのおもちゃです。)

自宅では気兼ねなく音が出せるので、「動物ドラム」、床に広げて遊べる「Playmobil」「フィッシングゲーム」や「積み木」などで積極的に遊びました。

「物語シアターズ」は、4歳の息子が気に入っていました。知っている物語に沿って積み木を動かしたり、想像力にまかせて演じたり、手持ちのおもちゃを登場させてみたり。姉たちも巻き込んでよく遊びました。
始まる前に布をかけて幕のように開けるのが気に入り、セットを返してからも段ボールを枠にして同じように遊ぶ姿がありました。

~宅配セットを利用してみていかがでしたか?

普段はそれぞれの子どもと一対一でじっくり向き合って遊ぶことが難しいですが、今回は入院した娘とずっと向き合うことができました。
術後は辛い時期もありましたが、少しの間でも手軽に遊ぶことができたり、触っているだけで気が紛れたので、本当に助けになりました。
また、自宅で待っていた子どもたちは、「見て見て!」「こんなものできたよ!」とおもちゃを持って我先にと見せてきてくれました。こちらも、「ほんとだね」「おもしろいね」「ママもやろうっと!」と、個々に向き合う大切さをより意識して接するようになりました。

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栗原さん、ご利用とインタビューへのご協力を本当にありがとうございました!
娘さんは、退院後はすっかり元気でスクスクと成長中!とのこと。書面インタビューを通して嬉しいお知らせをいただきました。

乳幼児期を過ぎるとゲームなどルールのある遊びや物語性のある遊びで楽しめるようになります。
また、手先を使って遊ぶことで気持ちが落ち着き、元気が出てきますね。「おもちゃの力」を、改めて感じるお話でした。

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6回の連載を通して、全国を旅したおもちゃ箱のストーリーをご紹介してきました。
会員特典の「おもちゃの宅配サービス」が皆さまの公私共々にお役に立てていること、本当に嬉しいです。
そして、今回、書面インタビューに快く応じてくださった皆さま、コロナ禍でもおもちゃの宅配セットをご活用いただいた皆さまに心から感謝すると共に、アフターコロナの暁には対面でインタビューに回ってみたいと新しい夢も生まれました。

未曽有のことで生活様式の変化を余儀なくされたこの1年、心乱される出来事も多かったですが、少しでも皆さまの活動や生活にお役立てできたら幸いです。またお会いできるのを楽しみにしております。

君ひとみさんによる「子育てママ応援!赤ちゃん遊びのヒント」はこちらからどうぞ

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君 ひとみ(きみ ひとみ)
執筆者川崎市認定保育園非常勤保育士、おもちゃコンサルタントマスター
君 ひとみ(きみ ひとみ)
神奈川県川崎市認定保育園非常勤保育士、おもちゃコンサルタントマスター、木育インストラクター、他。市内の認可保育所主催の「おもちゃの広場」、自宅サロン活動、育児サークル活動のほか、 区役所主催の「赤ちゃんが来た!」プログラムのファシリテーター、こんにちは赤ちゃん訪問員など、産後ママを応援する活動に携わっている。

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