遊ぶ【連載】木や森の力で社会を良くする「木育」お仕事図鑑

木育お仕事図鑑1「森と暮らしをつなぐ木工作家」

2020.05.08

木工作家は、木の命を暮らしにつなぐお仕事です。木育(もくいく)にまつわるお仕事を紹介する連載第2回。

木育お仕事図鑑1「森と暮らしをつなぐ木工作家」

木育のお仕事紹介の1回目は「木工作家」です。
文字から察して頂くと、何かしらを木で作る人なんだな。というのはおわかり頂けると思います。木工作家や木工家と呼ばれるこの職業は、木を使って家具や小物、おもちゃなどを作ることができる「作り手」のことです。

日本は森林が国土の約7割を占める森林国なので、どこの地域に行っても木はあります。しかし、「この木を使って何かしたい!」というアイデアがあっても、それを形にするには専門知識や技術が必要です。
いま多くの地域で課題になっているのが「木でモノを作れる人」が足りていないこと。すなわち木工作家が求められているのです。

前回ご紹介したように、今は企業も自治体も「木育の活動をやってみたい!」と考えていますが「作り手」が不在で困っています。
もし、あなたが「木育を仕事にしたい!」と考えるのであれば、木工作家としての技術を学ぶのがおススメです。あなたとチームを組みたいという企業や自治体がいっぱいあります。

木のモノ作りは、木の命を暮らしにつなぐ仕事

木という素材の1番の特徴は、命がある(あった)ということです。そこが石やガラス、金属などとは異なります。

山で切られて命を絶った木は、木工作家の手によって道具や家具、おもちゃなど、身近な生活用具に作り替えられます。それは、言ってみれば、生活用具に木の命を移し替えることかもしれません。
この「命の移し替え」を、体験を通して伝えることができるのが、木育の活動をするときの木工作家の強みといえます。

都市では「作る体験」が人を集める

木工作家のニーズは地方にしか無いのでしょうか?

いいえ、都市にだって木育の活動、木工作家のお仕事があります。
昨今ブームになりつつあるグリーンウッドワーク(柔らかい生木を使った木工)は、手工具をメインにした「作る」+「使う」体験を楽しめるモノ作りです。
都市部で開催したスプーン作りのワークショップイベントでは、気軽にかつ普段使いできる作品が作れると大好評。暮らしの道具にもこだわりたい自作派を中心に、仕事帰りのアクティビティとしても今後広がっていきそうです。

以前は個人の「作品作り」が主だった木工作家という仕事ですが、今は木育という切り口から、社会につながる多様な形が生まれています。

【木育お仕事データ】 その1:木工作家

〔活躍の場〕 山の近くから街中まで。
〔向いている人〕 高い安いではなく「良いモノ」を使いたい人。
〔やりがい〕 自分が考える「良いモノ」を形にすることができる。しかもそれが皆に褒めてもらえる。



(写真提供 岐阜県立森林文化アカデミー)

≪次回の記事は2020年5月15日公開予定です≫

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前野 健
執筆者岐阜県立森林文化アカデミー講師(木工専攻)、おもちゃコンサルタント
前野 健
木工教員としてモノ作りと木育の授業を担当しています。 学生と一緒に様々な地域の課題に関わりながら、地域材の活用と地域の活性化を両立させる木育プログラムの開発・実践を行っています。ウッドスタート公認デザイナー。 活動ブログ「街と森の交差点」http://machitomori.forest.ac.jp/

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