遊ぶ【連載】おもちゃ美術館がやってきた! 移動型おもちゃ美術館「キャラバン」物語

ショッピングモールに木のおもちゃ大集合?? ~沖縄県豊見城市

2019.02.01

沖縄県豊見城市・ショッピングモールの中で開催した移動おもちゃ美術館は、家族で一日中楽しめる空間に! 連載第5回。

ショッピングモールに木のおもちゃ大集合?? ~沖縄県豊見城市

「うわー、お父さん、お母さん、見てみて? すごいよナニコレ??」と子どもたちが壁の向こう側のおもちゃたちに釘付けになると、お父さんとお母さんは顔を見合わせます。そして「どっちかが買い物に行って、残った方がここで一緒に遊ぶということにしない?」「じゃあ、入ってみようかね?」とハナシがまとまって子どもたちはもう大喜び?? ・・・開催期間中に何度も見られた光景です。
ここは沖縄県那覇市に隣接する豊見城市にあるショッピングモール「トミトン」のフードコート。中央にあるイベントスペースを利用して2013年12月21日から2014年1月13日まで開催されたこのグッド・トイキャラバンは、これまでの移動おもちゃ美術館開催の歴史で、今でも開催日数ナンバーワンの座にあります。

チケットコーナー

こちらのキャラバンのもう1つの特色は、チケット料金制を採ったこと。お客さまは入り口でチケットを購入して入場します。主催の琉球新報社は沖縄県を代表する新聞社で、家族が一緒に過ごせる時間がたっぷりある年末年始のこの時期こそ、開催する価値があると判断しました。また、新聞を購読している方への感謝をこめての無料招待枠を設けるなど、企業主催ならではの組み立て方を実感。いつもとは違うタイプのお客さんに出会えるかもしれない、と僕らも気持ちを引き締めて臨んだのです。

円形会場の様子

さて、この会場は円形で周りをぐるっと飲食店が取り囲むカタチになっています。一日中おいしそうな香りがしていて、遊んでは食べ、食べては遊んで、というご家族が多く、2度入場はできない、としながらも、なかなかそうはいかなかったような・・・そのあたりは受付の方がお客さんとしっかりコミュニケーションをとって、トラブルは皆無。飲食中のお客さまからは遊んでいる姿が見え、遊んでいる人の鼻にはいい香りが届いて、賑わいの絶えることはありません。

子どもとつみき

遊びに取り掛かれば、そこで生まれる熱気や集中はどこでも同じです。日本全国、いや世界各国どこでも同じように感じます。しかし例えば民族によって異なることはあるのでしょうか? もしかしたら、文化的な特色や生活習慣の違いから、1つのおもちゃが別の意味を持つことがあるかもしれません。沖縄の独特な文化のもと、もっと詳細に観察してみたいという気持ちになります。

子どもとつみき作品

会場にはミニステージがあり、こちらの無料スペースでは、どなたも自由に遊びを体験できます。国頭村が作った「琉球松の積み木」をたくさんご用意。ちょうど同じ2013年にオープンの「やんばる森のおもちゃ美術館」からの出展で、ここで遊んでから「もっと遊びたい」ということでチケットを購入するご家族もいらっしゃいます。キャラバンの特色は、そこがどんな会場であっても場所の構造を活かしてカスタマイズできること。白木が多いので屋外には向きませんが、屋内であれば、どんな場所でも面白い会場作りができます。そこはプロデューサーの腕の見せ所でもあります。

六角つみきの椅子

この椅子すごいでしょ?? 「六角積み木」を使って、兄弟で仲良く相談しながら仕上げたのですが、そういえばこれは「六角積み木」が「椅子」に変身した移動おもちゃ美術館史上唯一の作品。出来上がったものの面白さは千差万別ですが、子どもたちの発想のユニークさは全国共通。数多くのキャラバンを通じて、これだけは確信をもって言えます。

電車という交通システムがない沖縄での移動はクルマが頼り。ここトミトンも駐車場が広く充実しており安心です。近年、ショッピングモールで開催する事例は増えています。

誰もいない会場

キャラバン終わって夢の跡・・・また開催できるといいですね。琉球新報社が若いご家族にプレゼントしたものは、木のおもちゃとの素晴らしい出会いの日々でした。

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曽我部 晃
執筆者移動型おもちゃ美術館 総合ディレクター、おもちゃコンサルタント
曽我部 晃
長男誕生を機に、父と子のコミュニケーションを大切に思い、おもちゃコンサルタントの資格を取得。2009年より移動型おもちゃ美術館「グッド・トイキャラバン」「木育キャラバン」の座長・総合ディレクターを務める。

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