沖縄県の北部の「やんばるの森」は、世界自然遺産にも登録されている自然の宝庫。子どもたちの自然体験にはぴったりの場所です。

その玄関口となる森林公園の中にあるのが、「やんばる森のおもちゃ美術館」。
世界自然遺産の森の中のおもちゃ美術館らしく、館内は床・壁から遊具、おもちゃにいたるまで、やんばるを中心とした沖縄の木がふんだんに使われています。

「やんばる森のおもちゃ美術館」の通して感じられる、やんばるの森の知識を今回は３つご紹介します。

１：琉球王国の歴史を受け継ぐ。樹齢300年の「蔡温松」

沖縄を代表する木と言えば、琉球松です。琉球松は、木目の色合いが非常に強く、大理石にも例えられる見た目から世界一美しい木目とも言われます。 その琉球松のなかで、特に由緒正しい木が「蔡温松（さいおんまつ）」です。

「林業の父」として沖縄の人々に尊敬されている偉人・蔡温（さいおん）は琉球王国の時代、多くの琉球松を植樹しました。
これらの松は「蔡温松」と呼ばれて現在に至るまで大切に守られ、本来であれば伐採することはできません。
しかし、「やんばる森のおもちゃ美術館」オープンの前年、大型台風により一部が倒木。
特別にその材を譲り受け、遊具製作のために使わせてもらえることとなりました。

館内でひときわ目につくのは、木のトンネル。 このトンネルは、樹齢300年の「蔡温松（さいおんまつ）」と呼ばれる大変貴重な琉球松で作られています。

こうしてできた、大小２つの蔡温松トンネルは、美術館の象徴的な存在です。
子どもも大人も中をくぐれば、琉球王国の歴史、木の生命力を感じることができます。

（制作：大分県大分市・有馬晋平さん）

２：生物多様性の宝庫だからできる「多樹種積み木」

1000種を超える植物が生息するやんばるの森。特徴的な木で積み木をつくりました。

木というのは種類によって手触りや重さ、香りなどが全然違います。五感をフル活用しながら、それぞれの積み木にじっくり触れて遊んでみましょう。
・琉球松　　－　沖縄県の各地に生息する県木です。沖縄の土木を支えた材でもあります。
・クスノキ　－　クスリノキ（薬の木）とも呼ばれ、様々な薬効があります。
・センダン　－　防虫効果が高くタンスの材として使われていました。
・オキナワウラジロガシ　－　日本最大サイズのドングリを生み出します。名前の由来は葉っぱの裏側が白いこと。
・ウラジロエノキ－　成長がとっても早く、軽い木です。
・ハマセンダン　－　軽いので下駄の材料にもなった材。強い香りを持つ木のも特徴です。

３：首里城と交易の要「マーラン船」

やんばるの豊富な森林資源は、首里城建築の時に大きな役割を果たしました。
その際、木材を運んだとされるのが二本マストの小型帆船「マーラン船」（やんばる船）です。
昭和初期まで重要な海路手段として活躍しました。奄美諸島との交易にも使われるなど、やんばる地域の暮らしを支えた船です。

館内の壁面に再現されたマーラン船には、イリオモテヤマネコやダイトウオオコウモリ、ジュゴンなど、沖縄で見られる固有種や絶滅危惧種がつがいで乗船しています。

（制作：沖縄県南城市 ABECRAFT・阿部誠司さん）

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館内にはこのほかにも、沖縄県の木で沖縄の職人さんたちが作ったおもちゃ・遊具がたくさん。豆知識もまだまだありますよ。
やんばるの森を訪れた際には、ぜひおもちゃ美術館にも足を運んでみてくださいね。

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