遊ぶ【連載】明日がちょっと楽しみになる!おもちゃと遊びの話

出かけられない今だから、集まろう!オンラインで広がる遊びの場

2020.05.17

stay homeが続く中、オンラインで子どもも大人もほっとできる「遊び場」を開いた人たち。2つの取組みをご紹介します。

出かけられない今だから、集まろう!オンラインで広がる遊びの場

緊急事態宣言を受けて、休校や外出自粛の生活が続き、子どもたちが家で過ごす時間が長くなっています。

友達と会って遊ぶ、家族でお出かけする、イベントに参加するなどができなくなり、子どもたちも、家で一緒に過ごす保護者も、ストレスや不安で息苦しい!

そんな状況を打破しようと、オンラインで遊びを届ける活動を始めた人たちがいます。

「オンラインだからこそのメリットや可能性を感じた」という、2つの取組みを取材させていただきました。

【目次】

  1. 1:小学生から大人まで! 対話を楽しむオンラインボードゲーム会

  2. 2:オンラインは究極のバリアフリー! 難病の子どもたちと家族の「おもちゃの広場」

  3. 3:まとめと参考サイト

1:小学生から大人まで! 対話を楽しむオンラインボードゲーム会

ゴールデンウイーク中の5月5日。パソコンの画面上に小学校5年生から大人まで、9人の顔が並びました。
おもちゃコンサルタントで、板橋区で遊び支援活動を行っている「プレイフルいたばし」の小澤龍之輔さんが主宰した、オンラインボードゲーム会のスタートです。全員で自己紹介をした後、小澤さんの進行で2つのアナログゲームを行いました。

そのうちの1つ、「おばけキャッチ」は、場に出されたカードの絵を見て、条件に合うコマをいちはやく取るゲームです。
もちろん、実際にコマを取ることはできません。代わりに、「とるべきコマが分かった人は手を挙げて言う」という風に遊び方がアレンジされていました。
瞬時に判断する男の子たちのスピードに、あせる大人たち・・・!結果に一喜一憂しながら、全員が楽しんでゲームが進みました。

前日には小学校低学年の子どもたち5名で開催。その様子はグラフィックレコーダーの八代正樹さんによって楽しく記録されました。

主催者の想い「今だからこそ、ボードゲームの力が必要だと考えました」

主催した小澤さんにお話をうかがいました。

「家族以外の人との交流が難しくなっている今だからこそ、ボードゲームを通して親子・友達・地域の人とオンラインでの対話を楽しむことが大切だと考えました。

『オンラインで遊ぶ』という制限の中、工夫しなければいけないことはたくさんありました。
例えばパソコンのほかにスマホのカメラも使って、カードやコマを写すこと。なるべくシンプルなゲームを選んで、簡単な言葉で説明することなどです。」

「自分も相手もオンライン初心者なので、反応が分かりづらかったりする事もあります。それでも、子ども達の笑顔、ボードゲームの楽しい力は変わらないと感じました。」

「対話をする」というボードゲームの楽しさが、今だからこそ必要という小澤さん。今後もオンラインでもできる遊びの場を作っていきたいそうです。

2:オンラインは究極のバリアフリー! 難病の子どもたちと家族の「おもちゃの広場」

5月4日。おもちゃコンサルタントで保育士の吉田まりこさんの手遊び歌に合わせて歌い、笑顔を見せる子どもたちの姿が、パソコン画面にずらっと並びます。

この日集まったのは、特別支援学校に通う子どもたちときょうだい、保護者たちです。東京近郊を中心に、北海道や福井県など、全国から参加者が集いました。

「オンラインおもちゃの広場」は、東京おもちゃ美術館の石井今日子副館長が立ち上げた活動です。

通常は病院での遊び支援ボランティアや、難病の子どもたちのための「スマイルデー(おもちゃ美術館貸し切りデー)」に携わる石井さん。
オンラインでの遊び支援を思い立ったのは、活動の中で知り合ったママからの声だったそうです。

「特別支援学校も児童デイサービスも休みとなり、24時間自宅で過ごすようになった子どもたちは、友達や先生と会えず、生活リズムが乱れ、ストレスが溜まっています。
また、そんな子どもたちと毎日向き合い続けている保護者の方も、精神的に追い詰められているとのことでした。
何とか力になれないかと、これまでの遊び支援の経験を活かし、プログラムを考えました。」

石井さんが大切にしたのは、家の中で子どもが保護者にべったりな状況から、少しでも外の人とコミュニケーションを交わして世界を広げるきっかけにすること。
そのため、小グループに分かれて、ボランティアスタッフが一人ひとりに「昨日は何してたの?」「好きな遊びはなに?」と語りかけ、対話する時間を設けました。

「また遊ぼうね!」と画面越しのハイタッチをして、30分のプログラムは終了。
参加者からは
「毎日が単調で、子どもも自分もイライラして過ごしていたので、こういう時間は助かった」
「子どもが自分の名前を呼ばれ、話しかけてもらったのを喜んでいた」
という感想が続々と寄せられたそうです。

逆境を逆手に。インクルーシブな遊びの場がオンラインで実現

子どもたち、一緒に参加した保護者たちの笑顔を見て、ボランティアスタッフも、手ごたえを感じていました。

「病院での遊びのボランティアなどの活動がストップして2ヶ月半。活動で触れ合う子どもたちに元気をもらっていたんだなと切に感じていた時に参加でき、嬉しかったです。」 おもちゃコンサルタント齋藤暁子さん

「私自身はアナログ人間なので、オンラインでどこまでできるのか、イメージができませんでした。でも、参加してみて、家族以外の大人とのやり取りを楽しんでくれているところは変わらないと感じました。」 おもちゃコンサルタント森智恵子さん

企画した石井さんが感じた、これまでの遊びの場との決定的な違いは
「オンラインはバリアフリーだ!」ということ。

「普段からお出かけが大変な難病のお子さんたち。東京おもちゃ美術館の貸し切り デーの時も、地下鉄の乗り換えや歩道の段差を、ママ達は重いバギーを汗だくで押して来館してくれていました。
でも、オンラインでは、簡単に一瞬で大勢の人とつながれることに改めて驚きました。

寝たきりのお子さん、人工呼吸器を装着しているお子さんとも近づいて話ができま す。発語が難しいお子さんともチャット機能を使って会話できるんです。

貸し切りデーのように、お出かけの楽しさを味わってもらえるわけではありませんが、オンラインならではの、日本全国のお友達と一瞬で出会える楽しさに、なぜ今まで気づかなかったのだろうか・・・?と思いました。

この『オンラインおもちゃの広場』は、障害のあるなし、年齢に関わらず誰もが集える、インクルーシブな遊びの場になるかもしれません。

今後の状況が見えないなか、どうやって継続していくか、どれだけの子どもたちを受け容れられるかなど課題は山積みですが、逆境を逆手にとって、チャレンジしたいと思います。」

「オンラインおもちゃの広場」は、5月中は週4日、1日2回の開催を目指し、ボランティアスタッフを集め、態勢を整えています。

3:まとめと参考サイト

人とかかわり、対話をしながら同じ時間を過ごすこと、楽しみを共有することで、子どもも大人も元気になります。
その本質は、オンラインでも変わらないと感じました。

「集まれない」ではなく、「集まれる方法を工夫する」取組み。
発想をちょっと変えることで、誰もが不安やストレスを感じている状況を、前向きに転じることができるのかもしれません。

【参考サイト】

プレイフルいたばしFacebookページ



東京おもちゃ美術館/認定NPO法人 芸術と遊び創造協会

goodus 編集部
執筆者goodus編集部
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