「何かしたい!」がすべての始まり‐八王子市・阿部績子さんのおもちゃの広場
2019.02.15
東京都八王子市に突撃!そこは「おもちゃを真ん中に、人が集まる場を作りたい」という想いが実を結んだ広場でした。連載最終回。
東京都八王子市。人と自然が豊かに共存している街。公園などを管理するNPO団体でお仕事をしている、おもちゃコンサルタントの阿部績子さん。『まちなか交流・拠点kikki+』でおもちゃの広場を開催するということで、お邪魔してきました。
駅から少し歩いた文化施設の向かいにあるその場所は、人が行きかう街の中にあります。
開場の時間を見計らい、たくさんの親子がおもちゃの広場にやってきます。待ち遠しく、楽しみにしていたのが伝わります。笑顔で迎える、阿部さん。
元々は絵を描くお仕事をなさっていた阿部さん。来場のみなさんに、今回のおもちゃの、イラストと解説を描いた説明書を手渡し、その子が楽しめそうな遊びを提案していきます。
「この地域は、元々住んでいた人と、新しくやってきた人が一緒に暮らす街。お互いを結び付ける場所がなかなかなくて。だれもが遊びにいらっしゃる公園の施設で、何かできないかと思った時に、『おもちゃの広場』だ! と思ったんです。」とおっしゃる阿部さん。
おもちゃがあることで、自然と出会いが生まれ、コミュニケーションができる。そう思い、広場を開催するためにおもちゃコンサルタントの資格を取得されたのだそう。
阿部さんの想いを受けて、広場開催に協力する仲間ができました。職場の理解を得、定期的におもちゃの広場を開催するようになりました。そして、おもちゃコンサルタントの活動を支援するNPO法人「芸術と遊び創造協会」の助成金を得て、開催に必要なおもちゃや絵本を揃えました。
「おもちゃを真ん中に置いた人の集まる場を作りたい」という願いが、人を集め、形を整えていった。やわらかな笑顔でにこにこと話す阿部さんの力強いエネルギーを感じることができました。
全国各地のおもちゃの広場は、おもちゃコンサルタントの有資格者が開催しています。阿部さんのように、広場を開催しようと、資格を取る方も最近は増えています。
貸出おもちゃを活用して開催を重ね、その経験から生まれた「おもちゃと遊びでやりたいこと」を伝えられるように、自分で場所やおもちゃを整えていくようになっていきます。
いきいきとした広場のあり方を見て、阿部さんのように「わたしも『広場』をやってみたい」と思う方が増えていく。おもちゃコンサルタントとして、やりたいことをプロデュースする喜びを持てる人が、日本中に広がっていく、その原点を見るような取材となりました。
今までの取材の中でも、想いや、おもちゃ、やり方は、おひとりおひとりの中から出てきたもので、同じ広場は当然ながらひとつとしてありませんでした。
東京おもちゃ美術館のおもちゃを使って、自ら集めたおもちゃを使って、毎日どこかでおもちゃの広場が開催されています。
皆さまのお住いの地域でお知らせを見つけたら、どうぞお気軽にお出かけください。そして、主催のおもちゃコンサルタントに、広場への想いをきいてみてください。そこにあるおもちゃを、じっくり遊んでみてください。
そして、共感できることがあったら、ぜひわたしたちの仲間に入ってください。
たくさんの子ども達、大人たちに、おもちゃと遊びを通して、笑顔の時間を届ける場を一緒につくりましょう。
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【連載】突撃!となりの「おもちゃの広場」!
遊ぶ育む集まる2019.02.15