遊ぶ【連載】日本全国おもちゃ人名鑑 

横浜から糸魚川へ、情熱は続く ―おもちゃコンサルタント齊藤里沙さん

2019.03.29

おもちゃの力で人と人をつなぎたい!横浜から糸魚川へ活動の場を移した齊藤里沙さんの思いとは?連載第1回。

横浜から糸魚川へ、情熱は続く ―おもちゃコンサルタント齊藤里沙さん

毎年ゴールデンウイークに横浜そごう9階「市民フロア」で、移動型おもちゃ美術館「木育キャラバン」が開催されるのをご存じでしょうか?
ここには「伝説のアイドル」がいました。それは “辻ちゃん”こと、おもちゃコンサルタントの齊藤里沙さん(旧姓 辻さん)です。辻ちゃんのワークショップが楽しみで、毎年名指しで来場される方もいらっしゃったほどです。

辻ちゃんは2016年に結婚され、新潟県の糸魚川に引っ越されました。しかしその年の12月、この糸魚川は駅北から海までの商店街ほとんどを消失する大火に見舞われてしまいました。
大きな火災でしたが、それをきっかけに市民が一団となって街づくりの渦が巻き起こっています。
辻ちゃんは「おもちゃの広場」を開催したことがきっかけで、行政から声がかかり、今では学童や地域の施設などで「おもちゃのワークショップ」や「カプラで遊ぼうの会」を開催するようになりました。

更に、木のおもちゃが入手しにくいこの街に、実際に手にとって・触れて・買えるおもちゃ屋さんをオープン。
お店は、子育ての片手間でできる範囲で小小小規模とのことですが、嫁ぎ先は きのこ農家さんですから「おもちゃや木のこ」と云うお洒落な屋号です。

知り合いのいなかった街でここまで活動を広げている辻ちゃんですが、仲間集めは想像以上に大変です。ボランティアセンターに顔を出したり、知り合った方におもちゃコンサルタント養成講座の受講を勧めたり、地道にネットワークを広げている日々。そうやって知り合った方で、講座の受講を決心された方もいたそうです。

また、学童の子どもたちに「先生」として必要とされることや、おもちゃの広場で出会った家族同士の交流がはじまる場面を見ることが、大きな「やりがい」になっています。

糸魚川は、冬の間は天候が安定しないので、外遊びが難しい地域です。その割に、ショッピングモールなど遊びやコミュニケーションの場が少ないためか、インドア派の家族が多いと感じることがあるそうです。
辻ちゃんがおもちゃの場を提供することで、「人と人をつなぐ」おもちゃのパワーにより、そんなご家族にもっともっと外に出てきてもらいたいと考えています。

辻ちゃんに、「これから挑戦したいことは?」と質問してみました。
横浜でのキャラバンの経験や、学生時代のキャンプリーダーの経験を生かして、やってみたいことが2つあるそうです。
1つは、子育ての拠点づくり。
もう1つは「おもちゃがなくても遊べる遊び」をもっと学んで広げること。
共通して叶えたいのは「人と人をつなぐお手伝いがしたい」という思いでした。

二人の子育てをしながら、人や街のことに一生懸命な情熱がかっこいい! さすが辻ちゃん!
「今年も、5/3~5/5に横浜そごう9階で木育キャラバンがあるので、記事で宣伝してください」と語るなど、横浜の仲間たちへの思いも感じられました。

また、「おもちゃには無限のチカラがあって、想像以上のことが実現できそう」という言葉も印象的でした。

高田まさき
執筆者おもちゃコンサルタントマスター、おもちゃ学芸員
高田まさき
「外を見よう、よそを見よう」のスタイルで、木育や人のつながりを大切にする方策を日々模索。東京おもちゃ美術館では、オープン時からおもちゃ学芸員としてボランティアを続け、「科学おもちゃパフォーマンス」のイベントで、館内のおもちゃの隠れた魅力をお客様に伝えています。木育インストラクター、アクティビテイ ディレクターの資格も取得。 facebook : https://www.facebook.com/profile.php?id=100004043943455

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