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できた!の瞬間を一緒に喜びたい―おもちゃ学芸員ファイル01 中原伸一さん

2023.02.18

【新連載】福岡おもちゃ美術館のおもちゃ学芸員さんって、どんな人?第1回目は、皿回しや木工など多才な特技をお持ちの中原伸一さんです。

できた!の瞬間を一緒に喜びたい―おもちゃ学芸員ファイル01 中原伸一さん

みなさんこんにちは!福岡おもちゃ美術館スタッフの岡です。
今回からはじまる「おもちゃ学芸員ファイル」では福岡おもちゃ美術館を支え、活躍しているおもちゃ学芸員さん一人ひとりにお話を聞いて、どんな思いで活動しているのか発信していきます。

この記事をみて、あなたもコアな福岡おもちゃ美術館ファンになってくださいね°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°

この子はおもちゃ学芸員さんにインタビューしてくれる、年輪がチャーミングな木の妖精「ネム太郎」。(福岡おもちゃ美術館非公式キャラクターです)
福岡おもちゃ美術館のおもちゃ学芸員さんに、根掘り葉掘りインタビューをしてくれます。
ネム太郎と一緒に、おもちゃ学芸員さんとの距離を縮めよう!

目次


福岡おもちゃ美術館の大道芸人、中原 伸一さん

お客さんと「できた!」を共有できるのが嬉しい!

自分ができることを、相手に合わせて伝えられるようになりたい

福岡おもちゃ美術館の大道芸人、中原 伸一さん

●ネム太郎:
なかはらさ~ん!

お客さんと5連大皿成功の喜びを分かち合う中原さん

●ネム太郎:
お客さんに5連けんだまの大皿教えてる...しかも成功しててすごい!!

・・・ 待つことしばし ・・・

■中原さん:
お待たせしました(汗)

●ネム太郎:
大丈夫ですよ!5連大皿すごく盛り上がっていて楽しそうでしたね。
実は今回のインタビューをするにあたってスタッフからの中原さんの印象を聞いてきたんです。
「おだやか」「教え上手」「どの年代でも平等に接してくれる」「笑いのセンスがある」などべた褒めでしたが、お気持ちはいかがですか?

■中原さん:
なんか職場の評価表みたい!(笑)
「どの年代も平等に接している」、か~...。
そうかもしれないし、そうじゃないかもしれませんね。
自分が好きなことをやっているので、他の人に最低限できるようになるとか、そのおもちゃや遊びに対していい印象を持てるようにしてあげたいです。
熱くなると一生懸命教えすぎて、少し厳しくしてしまうこともあるんですが...(汗)

●ネム太郎:
実際僕も教えてもらったけど、ユーモアを交えながら指摘してくれるので厳しいと感じたことはないですよ。自信持ってください!
さっきのお客さんとのやり取りを見ても、真剣に取り組みつつ、できたときの喜びを中原さんと共有しているので、その瞬間に出くわした時はいつも素敵だなあと思って見ています。

なかはらさんはけん玉だけでなく、皿回しも得意なんですよね。福岡おもちゃ美術館とはどのようにして出会ったんですか?

■中原さん:
以前は特別支援の寄宿舎で働いていました。
子どもたちの誕生日会で、洗濯バケツの蓋を使って皿回しのようにして、お祝いしていたんです。
退職後は施設をまわって芸を披露することを考えていました。
65まで働いてその前から少しずつ自分で道具をそろえ、披露できるぞ!と思っていた矢先にコロナで施設への出入りができなくなったんです。

●ネム太郎:
コロナの時期と、活動しようと思った時期がちょうど被っちゃったんですね。

■中原さん:
そうなんです。どうしたもんかな~と思いながらも、子ども劇場の集まりや地域のイベントに参加して皿回しを披露していたところ、新聞でおもちゃ学芸員を募集していることを知って、現在に至ります。
準備段階があったこともあり、福岡おもちゃ美術館でも皿回しだったりで活躍することができているんです(笑)。
福岡おもちゃ美術館と出会うタイミングが本当に良かったと思います。

皿回しをする中原さん

●ネム太郎:
福岡おもちゃ美術館に来る前に人に披露する場所があったんですね!そりゃ人前で高度な技を披露できるわけだ。
なかはらさんは他にも、お手玉、コマやいとのこができたり、本当に多才ですよね。

■中原さん:
昔あそびは男の子はコマ、女の子はお手玉のイメージがありますが、私の時は男女関係なく一緒にお手玉で遊んでいました。そんな環境だったので、お手玉もできるんです。
いとのこは自分の家にも持っていて、今は2代目です。
季節の小物を作って、寄宿舎にいる・いらないは聞かずに持っていったりしています(笑)

●ネム太郎:
福岡おもちゃ美術館にも手作りのクリスマス雑貨作って寄贈していただいたので、クリスマスの時期いとのこ電車のところに飾らせていただきました♬

あと僕、なかはらさんのシフォンスカーフのお手玉がすごく好きなんですよ!

■中原さん:
やりましょうか(笑)

●ネム太郎:
わーい!

■中原さん:
よし。

▲近くで見ていたママたち:
なに...?マジックはじまるのかな...

■中原さん:
よっ...!ほっ...!

●ネム太郎:
おお... おお...

▲近くで見ていたママたち:
やばい...すご...((拍手))

●ネム太郎:
リクエストにお答えいただきありがとうございました(笑)
初めて見たとき、赤ちゃんたちと一緒に見入ったのを覚えてます。やっぱり綺麗!

■中原さん:
見た目より意外と疲れるんですけどね(笑)

●ネム太郎:
急にやらせてすみませんでした(笑)

お客さんと「できた!」を共有できるのが嬉しい

●ネム太郎:
いままでなかはらさんがおもちゃ学芸員として活動してきて、福岡おもちゃ美術館で一番好きな場所はどこですか?

■中原さん:
う~ん、おもちゃのまちのけん玉の所と、いとのこ電車ですかね。やっぱり好きなことができる場所なので。
できた喜びをお客さんと共感できるのが嬉しいです。
以前、けん玉ができなくて泣きそうな子に出会ったのですが、やり方を教えて、集中しだして、けんに刺さったときすごく喜んでくれたんです。
できた!を一緒に味わえる瞬間はやはり嬉しいですね。
「今日けん玉買って帰ります」とおっしゃる方もいます(笑)。

●ネム太郎:
けん玉は大人もやったことない人が多いので、親子でできた喜びを一緒に共感できる場面が多いですよね。

けん玉で積み木をし始めるなかはらさん

■中原さん:
そうですね。けん玉も皿回しもあそびなんだけど、そのあそびの中の達成感が自分の自信につながると思っています。
前職で働いていた時は(障がいなどの)ハンディを持っている子どもたちを見ていました。
自分だけではできなくて、何事にもなげやりだった子に、どうしたらできるようになるか考えたり、「自分だけではできないことも、人の力を借りたらできる」ということに気づいてくれたらと思って働いていたんです。
資格を持ってないため、けん玉〇級の認定とかはできないけれど、最低限の基礎スキルを教えることはできるので、少しでも自信につながると嬉しいですね。

●ネム太郎:
前職の経験が、今の活動にもつながっているんですね。できた経験が自分の自信につながるって、その通りだなあと思いました。

自分ができることを、相手に合わせて伝えられるようになりたい

●ネム太郎:
おもちゃ学芸員になって、自分が変わったことはありますか?

■中原さん:
遊びを説明したり伝えたりする力を、おもちゃを通して身につけようと考えるようになりました。
それは、自分が楽しむだけじゃなくて、一緒にやる人も楽しめるようになってほしいからです。
私はスキルトイ(器用さや技術を要する玩具)が好きだけど、自分だけができるのではなく、一緒にやる相手に合わせて、工夫して教えるようにしています。
施設だったらターゲットがある程度決まっていて、教え方のイメージができますが、ここだとけん玉を振り回す子もいれば、昔遊んでいた大人までいろんな人が来ます。幅広い年代の人が来るので、相手に合わせてかかわり方を見つけるのが面白いんです。

●ネム太郎:
福岡おもちゃ美術館には、本当に多世代のお客様が遊びにきますからね!
中原さんはどの人にも上手に教えているので、「どの年代にも平等」って言葉がスタッフから出たのかもしれないですね。
そんな中原さんにとっての福岡おもちゃ美術館とは?

■中原さん:
やはり出会いの場であって、自分を磨く場所というよりかは、人との関わり方を考えれる場所ですかね。
この歳になると新しく人と出会う場所が少ないんです。自分が持っているものを他の人に広められる喜びがあります。
娘にね、『おもちゃ美術館がなかったら生きる屍だね。』って言われたんです。 言葉として違うだろ!(笑)と思ったんですが、それくらい家族から見ていきいきしているんだなと。
家族もたまに送り迎えをしてくれて、認めてくれているのがわかって嬉しいです。
あと、家族の名前入りたまごが館内のたまごプールにあるんですが、長女だけ見つかってないので「わたしの見つかった?」って言われます(笑)

●ネム太郎:
最後に福岡おもちゃ美術館に遊びに来る人にひとことお願いします!

■中原さん:
もう、楽しんでください!
自分では買えないようないろんなおもちゃがあるから、とにかく楽しんでほしい。
わからないことは、スタッフや我々おもちゃ学芸員に聞いて。
自分たちにもわからない時はあるけど、そこは楽しみながら、使い方も含めて知ってほしい。
せっかく楽しみに来てくれるから、いい思いをして帰ってほしいです!!

* * *

第1回目は、中原伸一さんに色々お話を伺いました。

今回のインタビューで、前職のお話やどういう思いで活動しているのかなど、中原さんについてまた一歩距離が近づいた気がして嬉しくなりました。

インタビューの後、中原さんは2歳の男の子に連れられプルトイを引きながら赤ちゃん木育ひろばに帰りましたとさ。

中原さんのおすすめおもちゃ『ローリングエッグとアリさん』についてのエピソードなど、この記事での非公開写真を、福岡おもちゃ美術館公式インスタグラムに公開中!こちらも一緒にご覧ください♬
福岡おもちゃ美術館の最新情報やイベントの様子も載せていますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

福岡おもちゃ美術館で中原伸一さんと一緒にお待ちしています!

【福岡おもちゃ美術館公式インスタグラムはこちらから】

福岡おもちゃ美術館の「おもちゃ学芸員養成講座」の模様はこちらから

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執筆者福岡おもちゃ美術館のスタッフです
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福岡おもちゃ美術館スタッフです。館内の魅力や、館内で活躍するおもちゃ学芸員の皆さんをご紹介します。

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