遊ぶ【連載】木や森の力で社会を良くする「木育」お仕事図鑑

木育お仕事図鑑3「街と森をつなぐ木育コーディネーター」

2020.05.22

自治体職員として、あふれる情熱と行動力で木育に取り組む人たちがいます。木育(もくいく)のお仕事を紹介する連載第4回。

木育お仕事図鑑3「街と森をつなぐ木育コーディネーター」

木育のお仕事紹介、3回目は「街と森をつなぐ木育コーディネーター」です。

これまでの1回、2回は、現場で活躍する「プレイヤー」のお話でしたが、今回は木育事業の裏方である「コーディネーター」のお話をしたいと思います。

私は作り手として各地の木育事業に参加していますが、地域の事業ではコーディネーター役の自治体の職員さんにいつもお世話になっています。印象としては「スーパー公務員」という方々です。
彼らは、地域の課題を解決するために「木育」という手段を選び、私のような作り手と地域の木材生産者をつなげ、地域の子育て世代に木のおもちゃを届けたり、森に親しむプログラムを提供したりしています。

今、山や森を持つ地域では、木材や森林という環境を使って、地域の産業や福祉につながるいろいろなアクションを起こそうとしています。地域ごとにやりたいことは様々ですが、「木を使う=木育」というアプローチに向かっている部分は共通しています。

地域のニーズや課題を実際の木育事業に落とし込む調整役。それが「コーディネーター」の役割です。

コーディネーターはパッション(熱量)が重要

コーディネーターの方々の仕事ぶりを見ていると、仕事熱心という言葉以上の熱量を感じることが多いです。皆さん地域への郷土愛であったり、自身の地元を良くしたいという想いが強く感じられます。

コーディネーターは地域のことを熟知しています。地域にどのようなプレイヤーがいて、どんな課題があるのか?そして、地域に足りていないものは何なのか?
必要になるのは、木工や林業の知識よりも、「木育でこれをしたい!」という明確なビジョン。そして、必要な予算を確保する調整力!これがなければ、プレイヤーたちも動けませんからね。

木育事業をスケール化するには欠かせないポジション

木育の活動に、より広い地域、より多くの人を巻き込んでいくには、優秀な裏方の存在が欠かせません。なかなか光が当たりにくい仕事ですが、式典やイベント準備などコーディネーターが仕切ることも多く、リアルな現場でキーマンとなる存在です。

木育で地域を良くしていきたい!というのは、森林を持つ自治体共通の課題です。料理に例えるなら、プレイヤーは食材。コーディネーターはそれを調理するシェフの役目。とっても大切な存在です。

街と森をつなげるコーディネーターが、日本各地で求められています。

【木育お仕事データ】 その3:木育コーディネーター

〔活躍の場〕 森林を持つ地域。または、木を使って新しいことをしようとしている地域。
〔向いている人〕 裏方仕事が好き。行動力が強いと言われる人。
〔やりがい〕 自身が企画者となって、地域の暮らしや産業を良くしていけること。



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前野 健
執筆者岐阜県立森林文化アカデミー講師(木工専攻)、おもちゃコンサルタント
前野 健
木工教員としてモノ作りと木育の授業を担当しています。 学生と一緒に様々な地域の課題に関わりながら、地域材の活用と地域の活性化を両立させる木育プログラムの開発・実践を行っています。ウッドスタート公認デザイナー。 活動ブログ「街と森の交差点」http://machitomori.forest.ac.jp/

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