遊ぶ【連載】東京おもちゃ美術館スタッフが語る「赤ちゃん木育ひろばってどんな場所?」

0歳~2歳限定なのはどうして?「赤ちゃん木育ひろば」誕生の秘密

2021.11.19

東京おもちゃ美術館で唯一、年齢制限のあるお部屋「赤ちゃん木育ひろば」。その理由は「赤ちゃんの遊びを大切にしたいから」でした。

0歳~2歳限定なのはどうして?「赤ちゃん木育ひろば」誕生の秘密

こんにちは。東京おもちゃ美術館スタッフの花房佳奈です。

「東京おもちゃ美術館」は、1984年に東京・中野に誕生しました。
その後、閉校になった新宿区立四谷第四小学校の建物を活用した施設として閉館したのが2008年4月のことです。

今では大人気の「赤ちゃん木育ひろば」ですが、実は、開館当初にはありませんでした。

ではその当時、赤ちゃんたちはどこで遊んでいたのでしょうか。

「赤ちゃんがゆったり遊べる場所」の必要性

「赤ちゃん木育ひろば」がまだなかった頃、赤ちゃんたちはパパやママが抱っこをしたままおもちゃを見せたり、ハイハイしながらおもちゃで遊んだりと、少し大きいお子さんと一緒になって「おもちゃのもり」を始め、それぞれのお部屋で楽しんでいました。

しかし、だんだんと赤ちゃん連れの来館者が増えていく中で、「赤ちゃんがゆったりと遊べる場所」の必要性を考えるようになります。

そこで、展示室の1室を使い試験的に運用を始めたのが「あかちゃん広場」でした。
このお部屋では「0-2歳の赤ちゃんと保護者のみ」という年齢制限を設けました。

初めて遊びに来た赤ちゃんが、お部屋に慣れ、人に慣れ、おもちゃに興味を示し、遊び始める。
そこまでの時間の長さは、赤ちゃんによってさまざまです。もちろん、3歳以上のお子さんとも異なります。

一人ひとりの時間を大切に見守り、そして、遊び始めてからも夢中で楽しみ続けられるようにするために、「0~2歳まで」と年齢制限を設けた赤ちゃん専用の空間には、大きな意味がありました。

「赤ちゃん木育ひろば」で広がる遊びとコミュニケーション

2011年10月、現在の「赤ちゃん木育ひろば」が完成。
1年間、「あかちゃん広場」を運用した経験をもとに、スタッフやおもちゃ学芸員、デザイン、施工の担当者など多くの方の想いと技術が集結し、木質感たっぷりのやさしい空間となりました。

ここでは0-2歳の赤ちゃんとパパやママ、おじいちゃん、おばあちゃんたちが、赤ちゃんの遊びを見守りながらゆったりと過ごしています。

また、赤いエプロンをつけたボランティアスタッフ「おもちゃ学芸員」がおもちゃや遊びを紹介し、赤ちゃんとご家族をサポートしています。

同じような月齢の赤ちゃんが集まるからこそ広がる遊びやコミュニケーションもあります。
まだお話はできなくても、目線で会話をしていたり、真似っこをしたり、取り合いになったり、一緒に遊んだり。
おもちゃを「どうぞ」と渡し合ったりして交流をしている様子もよく見られます。
そこから、大人同士のコミュニケーションに広がることもあります。
それも、温かみのある安心できる空間だからこそ生まれるコミュニケーションだと思います。

どんな方が訪れても、ゆったりと遊ぶことができる、「赤ちゃん木育ひろば」は、10年たった今でも当時の想いを受け継ぎ、笑顔があふれるお部屋として多くの来館者が訪れています。

ぜひ、実際にお部屋に入り、ゆったりと流れる時間をお子さんと体感してください。
赤ちゃん木育ひろばで、お待ちしています!

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花房 佳奈
執筆者東京おもちゃ美術館スタッフ、おもちゃコンサルタント
花房 佳奈
2人の子どもの子育て中です。前職のとき、子どもとの遊びを豊かにしたくて「おもちゃコンサルタント」の養成講座を受講。東京おもちゃ美術館にも、家族で遊びに来ていました。現在はスタッフとして「赤ちゃん木育ひろば」を担当しています!

【連載】東京おもちゃ美術館スタッフが語る「赤ちゃん木育ひろばってどんな場所?」

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