遊ぶ【連載】わくわく遊んで大きくなるために おもちゃ屋さんの「あそび相談室」
相談8:「『きょうだいで遊べるおもちゃ』が欲しいです!」
2020.04.17
「きょうだいで遊べるおもちゃ」を探すコツは、年齢に応じた遊び方ができるか考えること。あそび相談室、第9回目です。

「きょうだいで、一緒に遊べるおもちゃが欲しいんですけど…」
かばんねこではそんなリクエストもよくいただきます。
そうですよね!子どもの年齢が違っても一緒に遊べたら、うれしいです。
おもちゃも増えすぎないし、経済的にも助かります。
下の子も上の子も遊べて、楽しい。理想です。
ですがなかなかうまくいかないことも。
下の子が上の子の遊んでいるものに手を出して、嫌がられてケンカになって、おとなに怒られる、とか。
上の子が「ちょっとかして!」ってさっと奪ってしまい、下の子に泣かれて、おとなに怒られる、とか。
もし、下の子が3歳までの年齢なら、自分以外の子にも「気持ち」や「やりたいことがある」が、わかりません。だから彼らは、自分のしたいことをします。(4歳くらいになるまでは)
それで、上の子は困るんだねえ…。
一緒に、と考えるから難しくなっちゃうのです。
「上の子も下の子も遊べるおもちゃ」って捉えたほうがいいですよ。
小さい子は小さい子なりに、大きい子は大きい子なりに、自分のできることややってみたいことを、存分にできるおもちゃ…。

例えば「カエルさんジャンプ」は、プラスチックのカエルを指で弾いてジャンプさせるおもちゃですが、
その遊び方ができない赤ちゃんにも人気です。
色を見て、かたちのおもしろさを触って、舌触りをみて、バケツから出したり入れたり、並べてみたり…。

玉の道をつくるおもちゃは、小さい子でも「坂道レールひとつ」と「誤飲しない大きさのボールひとつ」で十分に楽しめます。
坂道を転がして玉の行方を最後までみつめたり、トンネルをくぐらせたり、ボウリングのように的当てをしてみたり…。
だから、きょうだいのどちらも遊べるおもちゃをお求めでしたら、お店でおもちゃを見るときに、まずは上の子基準で選んでいただいて大丈夫です。
そしてそのときに、「このおもちゃは下の子がどんなふうに使えるかな?」という想像をたくましくしていただければと思います。
もちろん店員さんにもどんどん聞いてみることもおすすめします。
そしてここからは、そんなおもちゃをお家につれて帰ったあとのこと。
もし、積み木のようなパーツがたくさんあるおもちゃなら、下の子が使うのに十分な量は、上の子よりもずっと少ないはず。
だからその分を、はじめから入れ物などで分けてしまうのも、ひとつの手です。
そしてそれを「これはあなたの分よ」としてしまう。
(分けてどちらかが足りなそうなら、ぜひおもちゃの総量を増やしてあげてほしいな!)

あと、もし大人のかたが一緒にいられるのなら、同じおもちゃで遊ぶ上の子と下の子の間に座るようにすること。
きょうだいもできるだけ向き合わないように、座っている下の子のおしりをきゅんと方向転換させたりして、それぞれの視線の方向が別になるといいですね。
「見えなければ、いないのと同じ。」
上の子と下の子の間に、どっしんとおとなが座って、視線を遮ってしまえばいいのです。
視線を遮っても、大人はきょうだいそれぞれのすぐそばにいるし、声も掛けられます。寂しくないですよ。
一緒に遊べるのなら、もちろん一緒に遊んだらいいですよ。
でも、いつでも「一緒に」だけじゃなくて、上の子にも下の子にも、「自分のやりたいことを存分に」をしたいときがあります。
年齢がちがえば、できることも遊びもちがいます。
きょうだいで一緒に遊ぶ時間が楽しいのは、ひとりあそびの時間も充実していればこそ(上の子にとっては特に)。
一緒に遊んでほしいと願うなら、あそびの道具選びも、どんなふうに与えるのかも、遊ぶときの環境も、おとなの配慮が必要です。

ああめんどうくさい。
でもね、きょうだいの様子をよく見て、そういう準備に慣れてしまえば、そっちのほうがもめないし、楽ですよ。
騙してないけど騙されたと思って、きょうだいの間に座る「視線さえぎり係」してみませんか^^
≪次回の公開は2020年5月15日予定です≫
≪≪≪前回の記事はこちらから!

- 執筆者おもちゃ店店主、おもちゃコンサルタント
髙橋 美樹 - 群馬県桐生市、木のおもちゃの専門店(とレンタルスペース)「かばんねこ」店主。https://kabanneko.com はじめての子育てでがんばりすぎていたときに、美しいおもちゃたちに出会って開眼。遊びや暮らしを通じて、子どもが自分でわくわくと育っていく姿を尊敬しています。 趣味は読書。子どもにちょっかいを出すこと。
【連載】わくわく遊んで大きくなるために おもちゃ屋さんの「あそび相談室」
遊ぶ育む知る2020.04.17