遊ぶ【連載】明日がちょっと楽しみになる!おもちゃと遊びの話

木のおもちゃができるまで おもちゃ職人 若林孝典さんインタビュー

2021.12.22

プレゼントにもおすすめ!木製の電話のおもちゃが愛される背景は、リアルとファンタジーのバランスにありました。おもちゃ職人 若林孝典さんのお話をお届けします。

木のおもちゃができるまで おもちゃ職人 若林孝典さんインタビュー

丸みのあるかたち、木の風合いがかわいらしい電話のおもちゃ、「プッシュホン」。
受話器を取って、ボタンを押し、「もしもし?」と話せる、子どもたちに人気のおもちゃです。

作っているのは、兵庫県宍粟市のおもちゃ工房『チェシャ―ズ・ファクトリー』のおもちゃ職人、若林孝典さん。
どのような思いで誕生したのか、どんなことを大切にしているのか、お話を伺いました。

※このインタビューは、WOODY PUDDY社のコラムサイトより一部転載しています。

目次


こどもの世界はリアルとファンタジーで構成される


リアリティを生み出すには"重さ"が大切


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こどもの世界はリアルとファンタジーで構成される

子どもたちのごっこ遊びを見ていて気づくのは、子どもの世界にはリアルとファンタジーがある、ということです。本当に実現できることと、空想の中でのみ実現できることの両方の世界を持っているんですね。

例えば、僕の作ったおもちゃの1つに「プッシュホン」があります。プッシュボタンのついた今ではレトロな電話ですけれど、今の子どもたちにも人気があります。

この「プッシュホン」は、子どもが本物の電話で話をしたがっている様子を見て、作ったんです。子どもがその電話で誰かと話をする真似をして遊ぶのですが、それだけで大満足していました。話し終わったら、カシャ、と置く。作ったのは子どもが2,3歳くらいの時でしたが、小学生になった頃でさえ、この電話で話をしていましたね。何か気持ちがおさまらない時に、電話に向かって話していたみたいですね。これは先ほど申し上げた、子どもの遊びにおけるファンタジーの世界です。

またこの電話は、受話器を置くところに磁石がついているんです。僕の家の電話が壁掛け式の電話だったので、この電話もそれと同じようにしようと思い、壁掛け式にしました。その時、受話器が落ちないようにと磁石を入れたんです。子どもは大人の世界を模して遊びますからね。家の電話が壁掛けなら、おもちゃも壁掛けにこだわる。これがファンタジーと対をなすリアルの世界です。

実は、本当に話ができる電話も作ったんですよ。水道のホースを使って声が届くようにしたんです。でも、こちらはあまり遊ばれなかったですね。2、3歳の子どもには、離れたところでも声が聞こえるという面白さが分からなかったのかもしれないですね。

リアルとファンタジーのバランスは年齢によって変わりますが、こどもにとってはおもちゃの世界の中でリアルとファンタジーを行き来する必要があって、そういうことを意識しておもちゃを作っています。

リアリティを生み出すには"重さ"が大切

リアルな世界を感じるためには、重さが重要です。例えば、一般的なミニカーのおもちゃは「ダイキャスト」と言って、金属を加工して作られています。もし同じサイズの車をプラスチックで作ったら、重さが何分の1かに軽くなってしまって、形は同じでも、車らしい感覚がなくなってしまうんです。そのことは、子どもがよく分かっています。だから、重さは木のおもちゃにおける大きな魅力だなと僕は思いますね。

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若林 孝典さん

中京大学にて心理学を専攻、卒業後は神戸市内の児童福祉施設に勤務。自身の子供のためにおもちゃを手作りしたことをきっかけに、おもちゃ職人の道を進む。2016年には合同会社『チェシャーズ・ファクトリー』を設立し、兵庫県宍粟市を拠点に木のおもちゃや家具作りを行う。

『工房 童(わらべ)』

『チェシャ―ズ・ファクトリー』

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このインタビューは、WOODY PUDDY社のコラムサイトより一部転載しています。
インタビューの全文はこちらからご覧ください。

「おもちゃのはなし 若林孝典-木のおもちゃ職人」

WOODY PUDDY社は木製ままごとセットなどを制作しているおもちゃメーカーです。
「はじめてのおままごと アイスクリームセット」はグッド・トイ2021も受賞しました。

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執筆者goodus編集部
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