遊ぶ作業療法士パパがおうちで実践 子どもを育む遊び

体全体を使ったシール遊びで、動作や姿勢の基礎をつくる 作業療法士パパがおうちで実践 子どもを育む遊び #5

2022.11.18

シールは体全体を使う遊びにも使えるんですよ!作業療法士のパパがおうちで実践しているシール遊びをご紹介します。

体全体を使ったシール遊びで、動作や姿勢の基礎をつくる 作業療法士パパがおうちで実践 子どもを育む遊び #5

皆様こんにちは、福永と申します。
私は発達領域の作業療法士としての経験を活かしながら、もうすぐ3歳ともうすぐ2歳の娘たちと楽しく遊べないか、育ちを応援する遊びができないか、日々考え実践しています(娘に遊んでもらっています)。

これまでに「オセロ」や「積み木」を使った遊びをご紹介してきました。
今回は、「シール」を使った遊びをご紹介します。

目次


「シール」ってどんな遊び?

体にシールを貼って遊ぼう、探そう

部屋にシールを貼って探そう

細かい動作のためには、まずは大きな動作から

「シール」ってどんな遊び?

シールは、工作などに使うほか、ただはがして貼るだけでも楽しい遊び道具だと思います。まずはシールを貼る動作を少し分解して考えてみます。

・剥離紙からはがす、紙を押さえながらシールを貼るなど「右手と左手を一緒に動かす」
・狙った所に貼るので「目と手を一緒に動かす」

このように、複数の部位を協同(連動)させながら体を動かすことは、文字を書くことをはじめ、日常の動作のほとんどで行われています。
他にも、机の上で細かい動作を行うためには、集中を保つことや姿勢をまっすぐにして座っておく必要があります。

このように、シールで遊ぶことには、日常生活に欠かせない動作や体の動きが含まれています。

シールは、種類も豊富で子どもたちの興味に沿って選ぶことができます。また、形、色、大きさや分厚さも変えられるため難易度も調整もしやすい遊び道具だと思います。

机の上で遊ばれることが多いシールですが、今回は、楽しさをそのままに、もう少しダイナミックに体全体を使って遊んでみましたので、紹介します。

体にシールを貼って遊ぼう、探そう

シールを体に貼って遊んでみました。例えば、肘・膝・おでこ・おへそ・お尻などです。
娘たちに「膝どこー?」と聞きながら、娘たちが指した所にシールを貼っていきました。写真は長女の肘にシールを貼って、次女が指さしています。
次女は、まだ体の部位を言われてもよく分かりませんが、「ねずみさんどこー?」と言うと『ここー』と教えてくれます。

その後、「ねずみさん取ってー」と自分の体に貼ったシールを剥がして持ってきてもらいます。自分の体のどこかに貼ってあることは分かっているようなので、体を見渡して探します。
体の部位は、自分からよく見えない所もあります。例えば、お尻です。
写真はお尻についているシールを取ろうとしています。お尻をのぞき込んで見つけようとしますが、中々見えません。そんな時には姉妹で協力しながら「ここ付いているよ」とお互いに教え合っていました。
狙ったわけではないですが、協力した遊びにもなっていました。まずは、私(大人)が付けて見せ取ってもらうという遊びから始めると良いのではないかと思います。追いかけっこのようで楽しいです。

他には、おでこ。これも自分からは見えないので、お互いに取り合いっこして遊んでいました。

遊んでみて、気を付ける点として思ったことは
・肌に直接貼るのを嫌がる(剥がす時に痛い!)場合があること
・服が柄物だとシールが見つけにくくなるかも知れないので無地の方がよく、服の生地にも気を付けた方が良いこと
です。
我が家では部屋着の、多少どうにかなっても良い服で遊んでいます。
はがすときに皮膚が痛くないかも、確認してから遊ぶようにするとよいと思います。

自分の体をたくさん触ろう

自分のお尻を見ようとして股の間から顔を覗かせる写真を見ていただくと、バランスや姿勢の保持を頑張っていることが分かっていただけるかと思います。色々な姿勢をとりながら自分を支えることは、体づくりには大切なことです。

また、顔を洗ったり、トイレでお尻を拭いたりする動作は、自分の体のパーツがどこにあるか分かっている事が大切な要素です。しかし、自分では見えない場所もあるので見ずとも分かるということが重要なポイントです。
「あたま、かた、ひざ、ポン」の歌と同じイメージで、体のパーツに意識を向け、触ってみる遊びは子どもたちの体と脳の栄養素となります。

部屋にシールを貼って探そう

次に、部屋にシールを貼って探してもらいました。かくれんぼのアレンジ版のような遊びです。
少し違う点は、シールは小さいので中々見つけられないという点です。そのため、「指差しヒント」「声掛けヒント」というのがこの遊びのポイントです。

「指差しヒント」というのは言葉そのままですが、人が指さしている所を追うことや、人が見ている所(視線)を追うことは、案外難しいです。自分以外の人の視点をイメージする必要がある遊びです。

「声掛けヒント」は「上の方だよ!」「もう少し右!」といったような声掛けです。空間に関する言葉を身に着けるためにも体験が必要です。
お子さまの年齢によっては、逆にヒントを出してもらうことも良いと思います。

我が家では、少し高い所に貼って「どうやったら取れるか」考えてもらっています。写真では六角台を使って登って取ることを思いついたようです。

細かい動作のためには、まずは大きな動作から

今回は、シールを使った遊びの中でも、体全体を使った大きな動きの遊びを紹介しました。座って落ち着いて活動するためには、まずは自分の姿勢をまっすぐ安定して保てるようになることが大切です。「いつもの使い方」から少し離れると、遊び方も広がっていくと思います。

* * *

次回もシールを使った遊びを紹介したいと思います。次回は、主に座って行う遊びを紹介します。

≪≪≪前回の記事「オリジナルのサイコロを作って言葉遊び」

福永 寿紀
執筆者作業療法士、おもちゃコンサルタント
福永 寿紀
2児の父です。作業療法士として発達領域で勤務していた経験があり、現在は大学で教員をしています。作業療法士仲間と、発達×アナログゲームをテーマに動画配信中⇒【ネコさんとカメさん『発達とボードゲーム』チャンネル】、親子遊びをInstagramで投稿中⇒【hisanori.f】で検索してみてくださいね。

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