暮らす【連載】作業療法士が伝えたい 小さなおもちゃの大きな力

モチベーションの力 報酬系「コリントゲーム」

2018.12.07

モチベーションのアップにつながるおもちゃがあるんです。 作業療法士が語るおもちゃのお話、第3回目。

モチベーションの力 報酬系「コリントゲーム」

「報酬系」? 果物の「柑橘系」や、進路を決めるときの「理系・文系」、はやりの「肉食系」ならともかく、「報酬系」って聞いたことがありませんよね。
「報酬系」とは脳の機能で、心地よいことが起きたときの活性化に関係するところで、行動の動機、やる気につながります。そんなモチベーションを高めるおもちゃを紹介します。

コリントゲーム1

皆さんの「やる気スイッチ」はどこにありますか? たまの温泉旅行? マッサージ? チョコケーキ? 旦那さん・奥さんからの感謝のお言葉?(それはないか)。
まじめな話。やる気、いわゆるモチベーションを上げる原因には、例えば、お金や食事、ほめられることなど、人それぞれのきっかけがあります。それらが「報酬」と呼ばれるものです。
人は「報酬」を得られたときに、脳の中で「快楽物質」が作用し「モチベーション」を上げることがわかっています。

その報酬の1つに「ギャンブル」も考えられています。ギャンブル好きな人がギャンブルを止められない、依存的になるのは、「報酬」を得たときの快楽物質が作用しているということが言われています。

さて、実際に金銭を賭けなくても「勝つ」という報酬もあるもので、今回紹介する「コリントゲーム」は、パチンコの原点のようなものです。以前は「スマートボール」という名称で、ゲームセンターによくありましたが、原理的には一緒です。写真のものは、ユシラ社(フィンランド)のロングセラー商品です。

コリントゲームはパチンコ台と同じく上が丸くなっている形で、色は気分が燃え上がる赤が使われています。ビー玉をセットして、棒で一突きすると、釘をすり抜けたり、点数が10点から150点までの穴やコーナーに入ったりします。まさにパチンコと一緒ですね。

コリントゲーム2
コリントゲーム3

基本的なルールは、10個のビー玉の合計点数で競うもの。青みがかった綺麗なビー玉が光を反射する輝きと、釘に当たったときの何とも言えない乾いた金属音が、感覚的にも優れています。
狙ったところへ打ち出す力加減がポイントなのですが、跳ね返って思わぬところへ転がっていく偶然性も多分にあり、ワクワクドキドキします。よりたくさん、より高得点をねらって何回も繰り返すのはギャンブルそのもの。

やりすぎは困りますが、報酬系を高めることは、「やる気・モチベーション」を高めることに効果があることです。「心が動けば身体が動く」ということからも「心を動かす」報酬系、健全なギャンブルということで、子どもから大人まで楽しんでください。
パチンコに馴染みのある高齢の男性にも好んでいただけそうなアクティビティ・トイでもあります。

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松田 均
執筆者作業療法士、おもちゃコンサルタント
松田 均
発達障がい分野を専門にしています。おもちゃに一番詳しい作業療法士と呼ばれています。

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