暮らす【連載】作業療法士が伝えたい 小さなおもちゃの大きな力

おぼえる力 子どももおとなも「メモリーマッチ」

2018.10.12

子どもも大人も、遊びながら「おぼえる力」を鍛えましょう!作業療法士が語るおもちゃのお話、第1回目です。

おぼえる力 子どももおとなも「メモリーマッチ」

「今日は○○ちゃんが来るんだっけ」
「冷蔵庫にお肉入ってたかしら?」
「あの人どこで会ったかな~」と、とにかく「おぼえること」って日常的に多いですよね。そんなおぼえる力、記憶力をおもちゃで楽しく向上!

トランプで一度はやったことのある「神経衰弱」。「苦手だわ~」という人も多いはず! 僕も苦手です。だからこの「メモリーマッチ16 神経衰弱木製おもちゃ」(ボーネルンド ※販売終了)にひかれました。

構造は4×4の16個の丸いマスにペグを入れて埋めたところに、8種類のペアの絵柄を挿入して準備OK。覚えるパターンもいろいろ、白黒の動物やカラフルなちょうちょ、数字やアルファベットなど、絵柄のデザインもとってもステキです。
スタートで順番を決めて、後は神経衰弱のルール。ご心配なく、16個なので、だいたい覚えられます。

メモリーマッチ

ゲームのポイントは本当の神経衰弱と違って、「負けてあげやすい」こと。もし小さい子どもや認知症のお年寄りと遊んだ場合、連戦連勝しても仕方がないでしょう。相手によってはプログラムの流れで勝敗を操作して、気持ちよく帰っていただくこともできます。

また、薄いトランプは指の先だけで「めくる」動作ですが、この「メモリーマッチ」は厚みのあるペグを指でしっかり「つかむ」というところは、手先の不器用な子どもやお年寄りでも使いやすい点です。

ペグをつまむ

遊んでいて、「つかみづらい」「見づらい」とか、それだけでも遊びたい気持ちがそがれちゃうし、楽しくないじゃありませんか。

特に「おぼえる」っていうのは、集中して楽しくできるかってことが大事です。そういう意味でまさに「メモリーマッチ」という命名されるだけのことがあります。

ほかに例えば、「注意」「言語」「想像」「判断」など「数える力」「写す力」「見つける力」などを認知と呼びますが、「ババ抜き」などのように「見ておぼえて」「想像する」「判断する」「物を使う」などを同時に行うとなれば、それだけ大変さも増しますよね。

その点、この「メモリ-マッチ16」はシンプルに「おぼえて」「手を使う」だけ。

それでこれだけのコミュニケーションが取れて、達成感が感じられるというのは、シンプルな構造とデザイン性の高さによるものではないでしょうか。

私は発達障がい分野が専門ですが、障がいのあるなしに関わらず、またどんな世代の人でも「楽しく」「おぼえる力を鍛えて」遊べますよ。
一見、地味なおもちゃですが、玄人受けする一品です。

家族でゲーム

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松田 均
執筆者作業療法士、おもちゃコンサルタント
松田 均
発達障がい分野を専門にしています。おもちゃに一番詳しい作業療法士と呼ばれています。

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