育むおもちゃ美術館がやってきた! 移動型おもちゃ美術館「キャラバン」物語

大学が取り組む「木のおもちゃと木育」~福岡県福岡市

2018.12.07

短大生が主体となって開催された木育キャラバン。学生たちにも変化がありました。連載第3回目です。

大学が取り組む「木のおもちゃと木育」~福岡県福岡市

どうです? この会場、ちょっと雰囲気がいいと思いませんか。こちらは福岡・博多一の繁華街・天神にあるアクロス福岡2階の交流ギャラリー。建物上部が森。ちょっと天空の城ラピュタのような「アクロス福岡」です。たまたま自転車で通りかかった男性によると、オーケストラ・コンサートが行われる文化拠点として福岡市民に親しまれているそうです。

アクロス福岡

ここでは2014年~2017年まで毎年1回、短大生が主役を務めるとても賑やかなキャラバンが開催されていました。

短大生とキャラバン

スポットライトの光に照らされているおかげで、木のおもちゃたちがいつもよりシックな表情! 学生さんたちと子どもたちの遊びの輪が会場のあちらこちらに。主催の西日本短期大学・保育学科は、人口150万人を超える福岡市内にあり、毎春、前途ある若い保育士たちを世に送り出しています。開催時期の2月は、ちょうど学年総仕上げの時期にあたり、ゼミでの研究課題をまとめるなど保育士を目指す学生さんたちは皆大忙し。あえてそんな時期にこの木育キャラバン開催をぶつけたのには理由がありました。

ひとつは、各ゼミの研究課題発表を、大学内ではなく市民に開かれたこの場所でやってみること。
そしてもうひとつは、木のおもちゃで遊ぶ子どもたちと触れ合いながら、木育の魅力を体感すること。この二つを同時にやって、一学年の総仕上げとするのです。

木育セミナー

キャラバン開催の合間を縫って、交流ギャラリー下のホールでは「木育/木のおもちゃ講座」がありました。担当講師は僕、キャラバン座長の曽我部晃。
1年生と2年生に分けて2回のレクチャーでお伝えしたのは「木のおもちゃの魅力」と「木のおもちゃから引き出すコミュニケーション力」。座学だけでは実感が伴わないので、実演参加型として、たくさんの学生さんに参加していただきました。

短大や大学生のみなさんとご一緒するときは「あなたが子どものとき、木のおもちゃで遊んだことはありますか」と必ず質問します。これでわかったことは「まったく遊んだことはない」という人はほとんどいないということ。自宅になくても、保育園、幼稚園、友人の家・・・どこかで遊んだ経験があるのです。木のおもちゃに触れるときの表情が心なしか明るく見えるのは、そんな子どものときの記憶が蘇るからかもしれません。
レクチャーの翌日、より積極的に木のおもちゃに取り組む学生が現れたとか。うまく伝われば木のおもちゃの影響力には即効性があるのです。

コロロ
スロープ

福岡には、福岡生まれの素晴らしい木のおもちゃがあります。日本全国をキャラバンで巡るうちに、地域のおもちゃ作家や木のおもちゃに出会い、翌年にグッド・トイにノミネートされたり、木育キャラバンのおもちゃに加えられることは珍しくありません。たとえばこちらのコロロやLong SlowPは、こちらでの開催を通じて出会いました。
「これはこの地域で生まれた木のおもちゃなんですよ」と地元のみなさんにお伝えしたときの誇らしげな表情に、ああよかった、と僕自身がうれしくなったりしています。

木のたまごプール

さて、一学年の総仕上げとしてキャラバンに臨んだ学生さんたち、ふたを開けてみればこのとおり。はじめて出会うヒノキの玉子プールにつかって極上笑顔になりました。

保育の現場で大切なものの一つは、子どもたちへの共感力。木育キャラバンでの出会いと遊びの体験は、その後の人生で大いに役に立つことと思います。

キャラバン会場
曽我部 晃
執筆者移動型おもちゃ美術館 総合ディレクター、おもちゃコンサルタント
曽我部 晃
長男誕生を機に、父と子のコミュニケーションを大切に思い、おもちゃコンサルタントの資格を取得。2009年より移動型おもちゃ美術館「グッド・トイキャラバン」「木育キャラバン」の座長・総合ディレクターを務める。

おもちゃ美術館がやってきた! 移動型おもちゃ美術館「キャラバン」物語

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