育む【連載】突撃!となりの「おもちゃの広場」!

おもちゃと子どもに向き合う純粋な時間 -坂井市・笠原千江さんのおもちゃの広場

2018.11.23

福井県坂井市の保育園に突撃! おもちゃの広場開催を重ねるうちに見えてきた、おもちゃ・子どもの力とは? 連載第3回目。

おもちゃと子どもに向き合う純粋な時間 -坂井市・笠原千江さんのおもちゃの広場

おもちゃコンサルタントの笠原千江さんは、福井県坂井市のまごころ保育園で保育士をされています。
今年度から勤務園でおもちゃの広場を開催している笠原さんの、ある日の広場にお邪魔してきました。

玄関の「おもちゃであそぼう!」の大きな文字のタペストリー。そして、笠原さんの赤いエプロン。これが子ども達への合図。
「今日はおもちゃの日?」「おもちゃの広場?」
登園してきた子ども達が、目を輝かせて話しかけてきます。
「そうだよ~、ほら、先生、エプロンしてるでしょ? おもちゃの日だよ!! あとで遊ぼう」

在園児と近隣の未就園親子に向けての広場です。親子は自由に、園の子たちはクラスごとに、会場にやってきます。
子ども達は、一瞬でお気に入りのおもちゃを見つけだし遊び込み、自分のタイミングで遊びを終えて、部屋を出ます。
静かなその姿に感心していると、保育の中で、やりたい事をやりきって、納得しておしまいを決める子どもたちの気持ちを尊重しているとのこと。
たくさん遊んでいたいと思う子もいます。夢中で遊び続ける子どもの姿を見守る、笠原さんはじめ先生たちの目がとても温かいのです。
遊びきった子ども達は、どの子も晴れやかで満足したお顔で会場を後にしていました。

「今日の広場は3回目。初めての時は、私たち(先生)自身がどうしていいかわからなくて。一生懸命、遊んでみせたりしたけれど、今日は、子ども達が自分でおもちゃの所に行って遊んでいる。これでいいんだなって思いました。」
ひとりひとりを大切にする保育だからこそ、それぞれが選ぶおもちゃと遊びを、先生たちが大らかに面白がっているように感じました。

初回や2回目との遊びの違いに『おもちゃが子どもたちの栄養剤になっている』ことを感じ、とても嬉しくなったという笠原さん。
「保育という仕事柄、どうしてもおもちゃを通じた子どもの成長や発達に目が行きがち。でも、このおもちゃの広場だけは、純粋におもちゃと子どもに向き合う時間」だとも。

片付けの後、笠原さんがつぶやきました。 「この子たちに遊ばせたくて、わたし、おもちゃの広場をやってるんだなあ」
おもちゃの遊びをどんどん広げていく子たち。おもちゃを通じて仲間と遊びあう子たち。子どもたちのちからで、どんどん豊かになっていく、広場の時間。
笠原さん自身も気づいていなかった、「おもちゃの広場に求めていたこと」が、同じ場所同じ子ども達と回を重ねるうちに見えてきた。だからこその、つぶやきの瞬間に立ち会えて、感動しました。
笠原さんのおもちゃとこどもの双方への想いは、これからおもちゃの広場を開催する度、こどもたちにとってのかけがえのない時間へと結びついていくのだろうと思います。

笠原千江さん、まごころ保育園のみなさん、取材を快く受け入れてくださり、ありがとうございました。
新潟、福井とお邪魔してきました。さて、次はどこのおもちゃの広場? お楽しみに!!

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加藤 理香
執筆者おはなしパフォーマー、おもちゃコンサルタントマスター
加藤 理香
ある時はおはなしパフォーマー、またある時はおもちゃコンサルタントマスター等、活動は多岐に。おもちゃの広場運営お手伝い中。岐阜市在住、活動範囲は北海道から沖縄まで。「どこでもドア」を持っているとの噂あり。

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