遊ぶ東京おもちゃ美術館のゲーム・おもちゃがもっと面白くなる話

バックギャモンは世界最古&3億人のプレイヤーがいるボードゲーム

2022.08.12

【新連載】東京おもちゃ美術館で楽しめるゲームの魅力を、達人にインタビュー!第1回目のテーマは、すごろくのルーツでもあるバックギャモンです。

バックギャモンは世界最古&3億人のプレイヤーがいるボードゲーム

東京・四谷にある東京おもちゃ美術館は、世界中のおもちゃに触れて遊べる体験型ミュージアムです。
「おもちゃ学芸員」が、遊び方・楽しみ方を教えてくれるほか、その道の達人たちによるイベントやワークショップも行われています。

そんな達人たちに、東京おもちゃ美術館で体験できるゲームやおもちゃの魅力や奥深さについて教えていただきました。東京おもちゃ美術館に遊びに行く前に読むと、より面白さが増すかもしれません!

第1回目は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にも登場したバックギャモンについて、日本バックギャモン協会 来住野香子さんにお話をうかがいました。
インタビューの様子を、おもちゃコンサルタントの高木萌子がお届けします。

目次

・バックギャモンは世界最古のボードゲーム

・初心者や子どもにおすすめ。入門用のかわいいバックギャモン

・世界のセレブを魅了!高級ブランドによるボードも

日本バックギャモン協会 来住野香子さん

来住野香子さん
日本バックギャモン協会理事 普及担当

バックギャモンは世界最古のボードゲーム

5000年前からあるとされているバックギャモンは、世界最古のボードゲームです。日本におけるバックギャモンの認知度は、あまり高いとはいえない状況かもしれません。
でも、今なお世界中で愛されており、世界に3億人のプレイヤーがいると言われています。そのうち、世界ランキング上位2位は、実は日本人なんですよ。

「バックギャモン」は、日本でもなじみの深い双六の原型でもあります。その起源は古代メソポタミヤ(エジプト)といわれ、日本へはシルクロードを通じて奈良時代に紹介され、日本書紀にもその存在が記されています。

現在放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも、後白河法皇が源行家や北条時政と盤双六に熱中していたというシーンが登場するほどで、当時の貴族や武士の間でも楽しまれていたことがわかります。

サイコロを振って駒を動かし、自分の駒を先にゴールさせたほうが勝ちというシンプルなルールでありながら、技術や戦略に加え、サイコロを振る運も加わり、最後まで勝敗が分からない面白さが人気の秘訣なのかもしれません。

初心者や子どもにおすすめ。入門用のかわいいバックギャモン

来住野香子さんは、幼い頃からお兄さんの対戦相手としてゲームに親しんでおり、そこからバックギャモンの魅力にはまっていったとのこと。
現在では、日本バックギャモン協会の普及担当として、東京おもちゃ美術館で活動しています。

「バックギャモンってなんだか難しそう」と思う人もしばしばいるかもしれません。一度体験すればルールやコツが分かるのですが、最初の一歩はなかなか難しいものです。
そこで、2019年には「おさんぽギャモン」という入門版ゲームをプロデュース。
「なるべくわかりやすくルールを伝えるために、通常のバックギャモンの半分サイズのものをつくりました」と来住野さん。
駒をペンギンに見立て、バックギャモンのルールをベースに、ペンギンをお家に連れて帰ることをゴールする設定にしていて、かわいらしさや手に取りやすいデザインになっています。

初心者や子どもにもおすすめ、おさんぽギャモン

余談ですが、インタビュアーの高木もこの時が実はバックギャモン初体験で、この「おさんぽギャモン」でルールを教えてもらいながら一戦させてもらいました。将棋やチェスのような駒の複雑な動きを覚える必要がないので、初心者の私でも、楽しくプレイすることができました。
これをきっかけに、「おさんぽギャモン」を購入! 4歳の娘とプレイをしています。また、夫と対戦するため大人用に大判のバックギャモンを購入し、家族でバックギャモンにはまってしまいました(笑)

世界のセレブを魅了!高級ブランドによるボードも

さて、そんなバックギャモンですが、冒頭でも述べたように世界で3億人のプレイヤーがいて、世界中に愛好者がいます。なので、バックギャモンを通じて世界と繋がれる面白さがあります。
最近では、AIを使ったスマホアプリも普及しており、いつでもどこでも、誰とでもプレイを楽しむことができるようになりました。

日本バックギャモン協会の代表理事であり、現世界王者でもある望月正行さんには、世界中の愛好家からプライベートレッスンや講義の依頼がくるそうで、バックギャモンのプロとして世界中を飛び回っているそうです。

また、盤のオリジナリティを楽しめることも特徴の一つです。世界のプレイヤーたちは、自分好みオーダーメイド盤を作って楽しんでいます。
有名なブランドであるルイヴィトンやエルメスなどの高級ブランドもバックギャモンの盤を製作しており、自分の好きな色やキラキラの装飾をあしらったもの、高級感のある素材を使った盤までさまざまです。お家のインテリアとしても見栄えするボードゲームでもあります。

ピンクのバックギャモン

来住野さんのお気に入りの盤はピンク色をあしらった盤だそうです!

もちろん、競技性の高さがその人気を支える要素といえます。技術や戦略を活かした駒の動かし方は、まさに頭脳戦。プロ級になると、コンピューターの計算予測を上回る一手を打つこともあるそうです。
また、1ゲーム、5分~20分ぐらいで終わるスピード感のあるゲームで、何回でも勝負を挑み続けられるので、親子で対戦するにもちょうど良さそうです。

最後に、来住野さんにバックギャモンの魅力を伺ったところ、
「子ども達には、言葉や文化が違っても、バックギャモンで世界中の人たちと繋がれる、そんな素敵な未来があることを知ってもらえると嬉しく思います。」と語ってくれました。

東京おもちゃ美術館では、2ヵ月に一回、バックギャモンの魅力を伝える活動を行っています。
初めての方も、勝負を挑みたい方も、ぜひ東京おもちゃ美術館に遊びにきてください。

【東京おもちゃ美術館のイベント情報はこちらから】

高木 萌子
執筆者おもちゃコンサルタント。全国おもちゃ美術館ファンブック』の制作を担当。
高木 萌子
おもちゃコンサルタント。NPO法人芸術と遊び創造協会で、全国のおもちゃ美術館のグランドデザインや『全国おもちゃ美術館ファンブック』の制作を担当。ファンコミュニティを盛り上げるためSNSで情報発信中。 【Instagram おもちゃ美術館】 ☆是非フォローをお願いします☆ ]https://www.instagram.com/toymuseums_in_japan/

東京おもちゃ美術館のゲーム・おもちゃがもっと面白くなる話

この連載の記事一覧へ

遊ぶ知る2022.08.12