遊ぶ【連載】木や森の力で社会を良くする「木育」お仕事図鑑

木育お仕事図鑑5「森を作る仕事、林業」

2020.06.05

木育(もくいく)お仕事紹介、最終回は「林業」。先人から次世代へ森をつなぐお仕事ですが、近年は新しい取組みも見られます。

木育お仕事図鑑5「森を作る仕事、林業」

木育のお仕事紹介、最終回は森や木に関わる仕事の最前線「林業」と、その現場で行われている木育についてご紹介します。

皆さんのイメージの中にある林業とは、どんなお仕事でしょうか?
山へ行って、木を伐り、木を下ろして、木を売る。
それで間違ってはいないのですが、他にも、木を植えたり、作業用の道を整備したり、木に登って枝を落としたり、シカの食害を防ぐために防護柵を作ったり。山の成長段階や季節に合わせて色々なことをするお仕事です。

林業は山や地域の将来を担う仕事

一昔前、木が高値で売れた時代の林業は、いかに高値で売れる木を育てるかが重要でした。しかし、木材の値段が暴落して、単純に木を売ってそれで商売が成り立つ時代は終わりました。
今は経済的に成り立つ森を作るだけでなく、森林の生態系を保全したり、災害に備えるために自然環境によるグリーンインフラとして整備するなど、森林の扱い方にも多様性が生まれています。

林業は100年先を見据えて森を作る仕事です。
今、この一瞬の経済性で判断するのではなく、100年先の子どもや孫の世代にとって「価値ある森」を残すことも、昨今の林業では大きなテーマになっています。

林業経営の様々な新しいかたち

これまでの林業では、木材が育って金銭的な価値を生むまでは「待ち」の時間になっていました。しかし近年では、この育成期間の森林環境を使い、積極的に収益を上げる取り組みが始まっています。
例えば、樹上空間を使ってワイヤーやロープを張り巡らし、ジップラインやアスレチック体験のアクティビティを行うツリートップアドベンチャーなどが一例として挙げられます。

これは経済的な森林活用というのももちろんありますが、地域の森林に目を向けてもらったり、都会の人たちにとってストレスの解消やアクティビティ的な価値を提供する木育の活動という側面も持っています。

他にも、シイタケ栽培やキャンプ場、炭焼きやジビエ観光など、既存の林業にとらわれない、森林空間を使ったビジネスが始まっています。
チェーンソーや重機を使った現場もたくさんありますが、それだけではない、さまざまな森林活用が今後も出てくることでしょう。

【木育お仕事データ】 その5:林業

〔活躍の場〕 山の中、森の中。
〔向いている人〕 自然の中にいるのが好きだったり、体を動かすのが好きな人。
〔やりがい〕 先人から引き継いだ山を次の世代に届ける責任感。地域の景観を作るという時間軸と物理的な広さの双方でのスケールの大きさ。



さいごに

今、さまざまな地域で「木育のプロ」が求められています。
そのニーズは、森から街から、さまざまな形があります。
今回の連載を読んで、木育の仕事に興味を惹かれたり魅力を感じたようでしたら、どうぞお気軽に相談に来てください。

あなたも、木育を仕事にしてみませんか?



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前野 健
執筆者岐阜県立森林文化アカデミー講師(木工専攻)、おもちゃコンサルタント
前野 健
木工教員としてモノ作りと木育の授業を担当しています。 学生と一緒に様々な地域の課題に関わりながら、地域材の活用と地域の活性化を両立させる木育プログラムの開発・実践を行っています。ウッドスタート公認デザイナー。 活動ブログ「街と森の交差点」http://machitomori.forest.ac.jp/

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