西粟倉村から、DNAに響く音を作り出す ―おもちゃ作家 石川照男さん
2019.12.06
楽器おもちゃを手がける工房「mori no oto」の石川さん。木によって奏でられる音への思いをうかがいました。連載第3回。
「音を楽しむおもちゃ」といえば、どんなものをイメージされるでしょうか?
今回は、振ったり叩いたりして音を楽しむ木のおもちゃの工房「mori no oto(もりのおと)」の石川照男さんをご紹介します。
岡山県と鳥取県の県境の西粟倉村。廃校になった小学校を利用した施設に、数件の工房があります。その一番南側の 「mori no oto」にお邪魔しました。
広い印象の工房には、制作中のおもちゃが並び、工作機械もイキイキと並んでいて、工作マニアの私はゾクゾクします。
代表の石川照男さんは、会社勤務から一転、バイオリン製作を学ばれ、木のおもちゃの製作者に転身された異色の経歴をお持ちです。
現在は、西粟倉産の杉やヒノキを主材料に、楽器玩具を製造/販売されています。また、カズーなどを手作りするワークショップを各地で開催されています。
石川さんには、おもちゃ作家として、忘れられない出来事があるそうです。
ある日、「バードコール」作りのワークショップで、重い障害を持ったお子さんがいらっしゃいました。そのお子さんは、お父さんが作ったコールの音に感動し、満面の笑顔の笑顔で喜んだそうです。
そのとき石川さんは、「木の音には人を幸せにする『心地よさ』『あたたかさ』があって、それは、人間のDNAに刻み込まれた響き、音波なのではないか!??」と感じたそうです。
現在も石川さんは、人間のDNAに響くような音を生む木のおもちゃを作り続けています。
そのうちのいくつかは、東京・新宿区にある「東京おもちゃ美術館」や、各地で開催される移動型おもちゃ美術館「木育キャラバン」などで遊ぶことができます。
今回、石川さんの工房にお邪魔してみて、おもちゃの「生まれる姿」を見たり、作家さんの話を聞いたりすると、そのおもちゃの魅力がさらに増すと感じました。
皆さんも「mori no oto」を、ぜひ訪ねてみてください。
高速道路の「西粟倉インターチェンジ」から車で3分、鉄道なら「あわくら温泉」駅から歩いて10分ほどです。
ローカルベンチャー起業者が多く 活気あるこの西粟倉村で、いつか石川さんは「mori no otoミュージアム」を作ることにも挑戦してみたいそうです。
≪次回の公開は2020年1月10日予定です≫
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